歯科医院経営が「治療中心型」から「長期管理型」へ確実に移行していく中で、見逃せない経営指標があります。
それが 中断率 です。
キャンセル率には目を向けている院長でも、「中断率」まで正確に把握できている医院は、まだ多くありません。
一口に「中断」と言っても、実は種類がある
・主訴の治療途中での中断
・治療計画が完了しないままの中断
・歯周病治療・SPTへの移行前後の中断
・口腔機能管理、う蝕管理の中断
これらはすべて、「患者が医院との関係を途中で手放した結果」 です。
保険制度上、「治癒」と判断されれば予防管理は自費扱いになりますし、保険でカバーできるのは基本的に「重症化予防」までです。
しかし、患者の健康を本当に守るためには、制度の枠を超えた 長期的な関わり が不可欠です。
見えている中断と、見えていない中断
多くの医院では、
・無断キャンセル
・主訴治療中の来院停止
こうした 分かりやすい中断 には気づいています。
一方で、
・治療が一段落した後
・いつの間にか来なくなった患者
こうした サイレント離脱 には、ほとんど気づいていません。
なぜでしょうか。
トライアル型経営が「成功体験」
理由はシンプルです。
これまで多くの地域で、
・新患を集め
・補綴物セットまでの回転を速める
いわゆる トライアル型経営 が成立してきたからです。
特に、地域のう蝕罹患率が高いエリアでは、今でもこのモデルが機能している。
ただしすべての地域で、これが今後も通用するとは限りません。
静かに進む「経営モデルの分岐」
地域によっては、
・定期管理型の大規模歯科医院が増えている
・医療政策が「治療・管理・連携」を軸に再設計されている
こうした変化が、すでに始まっています。
実際、定期管理型を掲げる大きな歯科医院であっても、気づかれないまま離脱している患者は少なくありません。
つまり、
・新患が来ているから大丈夫
・売上が落ちていないから問題ない
とは、必ずしも言えない時代に入っているのです。
バケツの穴が示す、これからの経営リスク
よくある例えですが、患者が流入する「バケツ」の、
・穴が多い
・しかも穴が大きい
この状態では、どれだけ水を注いでも、バケツは満ちません。
新患獲得に使っている時間・労力・広告費の一部を、患者維持(顧客維持)に振り向けた方が、結果的に収益性も、医療の質も高まる。
そう感じる場面が増えています。
令和8年以降、構造はさらに明確になる
今後の診療報酬改定では、
・管理
・連携
が、より評価される体系へ進んでいきます。
その入り口が「口管強基準」 です。
これは点数の話ではなく、「長期管理型医療に参加する資格」 と考えた方が分かりやすいでしょう。
バケツの穴が多く、しかも大きいままの医院は、気づかないうちにジリ貧経営に向かっていきます。実際に、医院の全盛時に増設したユニットが使われない様になった。そんな歯科医院が出始めているのです。
先生の医院ではいかがでしょうか?
・中断患者を、どこまで把握できていますか?
・「来なくなる患者」を、どれくらい減らすことが出来ているでしょうか?
・新患獲得と患者維持のバランスは、適切でしょうか?
これからの歯科医院経営は「注ぐ量」より「漏れをどう防ぐか」 が問われる。
だから一人でも多くの院長が、「長期管理型経営」へ移行できるよう、今後もこのテーマを掘り下げていきたいと思います。
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