令和8年改定を見て、院長は色々な感情を持たれたでしょう。
しかし私は、別の問いが浮かびました。
それは令和10年令和12年はどうなるのか?ということ。
今回の改定は“完成形”ではない。
むしろ、2040年に向けた構造改革の準備期の改定に見えるのです。
すでに医科では始まっている「アウトカム評価」
答申の「個別改定項目」には、
「アウトカムにも着目した評価の推進(Ⅲ-2)」
と明記されています。
医科の領域ではすでに、
・入院医療での再入院率
・リハビリの実績指数
・データ提出加算の要件化
といった形で、結果(アウトカム)を評価する仕組みが入り始めています。
これは偶然ではありません。
「どれだけやったか」ではなく、
「どれだけ改善したか」へ。
評価軸が変わりつつあります。
歯科にもアウトカム評価は入るのか?
私は、将来的に入る可能性は高いと見ています。
ただし、一気には来ない。
いきなり「歯周ポケット改善率で評価」などという話にはならない。
その前に、必ず地ならしがあります。
例えば、
・カルテへの記載の厳格化
・治療計画・管理計画の明確化
・管理料の算定要件の整理
・データ提出の拡大
こうした「実態の見える化」が進みます。
今回の歯周病継続支援治療治療の「重症化予防連携強化加算(100点)」にも「診療情報を当該他の保険医療機関に提供した場合には」という要件が加えられ、必要な連携が行われているかがデータで見える化できる様になったのです。
AI活用は令和12年以降か?
標準型電子カルテの本格普及、AIを活用した自動評価。
これは確かに、令和12年以降にずれ込む可能性はあります。
しかし重要なのは、AIが本格稼働する時ではなく、その前段階の整備期です。
令和10年改定は、AI時代の本格導入ではなく、AIで評価できるようにするための整理改定になる可能性が高い。
評価体系を簡素化し、管理項目を明確化し、数値化しやすい形に整える。
これが準備期の改定です。
※ヨーロッパではそれぞれの医院が出した治療成果によって評価、報酬が支払われている国がすでに存在します。
では、歯科医院はどう分かれるのか
ここからは現状の歯科医院の話です。
すべての医院が同じ道を進むわけではありません。
① 外来完結型・自費強化型
都市部で、
・自費治療患者が多い
・歯科衛生士枠が拡大
・アライナーを含む矯正需要が拡大
・患者のLTVが高く変動比率が低い
こうした医院の一部は、自費ブランドを強化することで生き残れる可能性は高い。
競合は増えます。
デジタル化によってコモディティ化も進むでしょう。
しかし院長の戦略が明確で戦術に長けていれば、立ち位置は保てる。
※ただ、都市部(医院が多い地域)の開業は今後更に抑制されます。今回、指導に従わず開業した医院へのペナルティが登場しました。
② 地域包括ケア型
在宅や周術期連携、生活習慣病連携管理、口腔機能管理における連携に積極的に関与する医院。
こちらは、国の方向性と整合的です。
地域の中で役割を持てば、制度の変化と共に評価のおける恩恵は受けられます。
ただし、院長の本気度や多職種との連携力、人間関係構築力が弱いと道を切り拓けませんし、経営資源を分散させだけの院長も成果を出せないでしょう。
地域包括ケアシステムを担う多職種には、日々、本気で患者の健康や困りごとと向き合う方々がいます。
なので、そこに貢献する意識より点数算定の意識が強いと相手にされないのです。
地域包括ケア型に参加すれば自動的に経営が成立する訳ではないのです。
③ 最も危ういのは「中途半端」
問題はここです。
・自費ブランドも確立できない
・地域包括ケアにも深く関与しない
・医院の組織化、チーム強化も進んでいない
・経営の定量的データ、診療データ、アウトカムデータも整っていない
・生産性が低い
外来は回っている。
目の前の診療も忙しい。
しかし、経営の方向性が曖昧。
経営戦略もなく、現在の収益モデルや規模も意図した訳ではない医院が、最も制度変化に弱く収益性を悪化させ易い。
最後に
先生の医院は、
2040年の医療構造の中でどの立ち位置を選びますか。
レッドオーシャンとなる外来完結型で自費ブランドを磨くのか。
地域包括ケアの中核を担うのか。
それとも、「何とかなるでしょ」と楽観視し、今の延長線上を進みますか。
経営者として判断してくださいね。
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