「売上は増えているのに、なぜかお金が残らない」
これは、私が開業医団体に勤務していた頃、多くの院長から聞いた言葉です。
当時、そのお悩みに応える形で「院長の正しいお金の残し方」というセミナーを開催していましたが、毎回、院長だけでなく奥様も多く参加されていました。
それだけ、“歯科医院にお金が残らない問題”は深刻だったということです。
結論:利益が残らないのは「頑張りが足りない」からではない
結論から申し上げます。
院長に必要なお金が残らない最大の理由は、「残すべきお金」から逆算して、収益モデルを選んでいないことです。
収益装置である“収益モデル”の設計が間違っていると、院長が一生懸命に診療すればするほど、かえって利益が残りにくくなっていきます。
これは能力の問題ではありません。
設計の問題です。
治療品質を高めるほど、利益が削られる構造
歯科医療として、治療品質を高めることはとても大切です。
多くの院長が、そのために学び、投資し、努力を重ねてこられたと思います。
ただ、現実として、国は「最善の治療」に見合う診療報酬を支払ってくれません。
仮に、国が保険制度で想定している品質が「70点」だとしたら、院長が「90点」の治療を提供した時点で、20点分の赤字構造が生まれます。
それでもなお、「保険診療の中で高い治療品質を提供したい」と考えるのであれば、その赤字分をどこで補うのかという収益設計が必要になるのです。
利益が残らない2つの根本原因
歯科医院に利益が残らない理由は、大きく分けて2つあります。
① 利益が残らない収益モデルで診療している
どれだけ売上を積み上げても、構造的に利益が出にくいモデルであれば、お金は残りません。
② お金の“色分け”ができていない
仮に利益が出たとしても、
・使ってよいお金
・将来のために残し活用するべきお金
この区別が曖昧だと、利益は次の利益を生みません。
以前のブログで触れた「お金のカラーBOX」の考え方は、まさにこの問題を解決するための視点です。
個人経営の院長ほど、利益が見えにくい
医療法人であれば、院長報酬は役員報酬として明確に“見える化”されます。
しかし、個人経営の場合、「どこまでが院長が使ってよいお金なのか」が分かりにくい。
その結果、無意識のうちに“使ってはいけないお金”に手を付けてしまうことも起こりやすくなります。
法人の院長の中には設備投資を自己資金で行い、銀行借入をしない強者もおられますが、それは「残すお金」が明確だからこそできるのです。
利益が残る医院は、順番が逆
利益が残る歯科医院は、順番が逆です。
1.将来に必要なお金を明確にする
2.そのお金を残せる収益モデルを選ぶ
3.残した利益を、次の利益を生むために活かす
この流れができているかどうかで、5年後・10年後の医院の姿は大きく変わってきます。
さて、先生の医院ではどうでしょうか?
・残すべき利益は、明確になっていますか?
・今の診療の頑張りは、将来の利益につながっていますか?
・利益を生むための“設計”は、意識されていますか?
財務省は医療法人の経常利益の平均が6.4%なのは一般企業の平均の4%より高いという理由で診療所のマイナス改定を主張しました。
しかし、実際には歯科医院経営において経常利益率6.4%はかなり低い。
役員報酬をどれだけ取っているのかにもよりますが、「お金を残せる収益構造」を確立しないとこれから増えるデジタル投資にも対応できないのです。
「残ったお金」ではなく「残すお金」を明確にし経営対策を続けていく。
地域医療を存続させていく為にも重要な視点なのです。
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