一般企業が商品を販売する場合、
価格は「必要経費(固定費+変動費)+利益」、そして販売量予測をもとに決めます。
もし原材料費や人件費が上がれば、
① 値上げ
② 生産性向上
③ 管理可能経費の削減
といった対策が取れます。
しかし、保険医療機関には決定的な違いがあります。
価格は国が決める。
これが出発点です。
昔は価格を国が保証してくれる事で経営の安定が図れていましたが現在ではその恩恵は少なく、保険医療機関は自衛策を考えざるを得なくなっているのです。
医療費抑制は基本路線
今回のように「病院危機」が報道されれば、財務省も一定の報酬引き上げを認めざるを得ない局面はあります。
しかし、基本路線は変わりません。
医療費は抑制対象であり続ける。
その中で、国は歯科医院に対して
・治療
・管理
・連携
・重症化予防
と、役割を広げている。
求められることは増える。
しかし価格決定権はない。
ここが歯科医院経営の難しさです。
品質か、生産性か 、 その二択は誤り
この環境の中で、医院は大きく二つに分かれます。
① 治療品質を高めようとして生産性を犠牲にする医院
② 生産性を追求するあまり医療の本質が揺らぐ医院
どちらも短期的には成立します。
しかし長期的には、どちらも脆い。
①の医院は、
物価や人件費が上昇する時代には収益が圧迫されます。
治療品質の高さが自費価格に十分反映できていれば別ですが、高品質を保険診療だけで実現している場合、経営リスクは確実に高まります。
一方で②の医院は、
効率化によって治療品質と患者が犠牲になり、スタッフが疲弊して退職し始める。
するとスタッフやチームの経験値とスキルが活かせなくなり、売上アップの為に更に効率化を進めざるを得なくなるのです。
「効率化・生産性向上=売上(院長)の為」とスタッフが認識しているのがこのタイプの医院の特徴です。
選択ではなく、両立する道を選ぶ
価格を自由に決められない業界である以上、残された道は一つです。
治療品質と生産性を同時に高めること。
どちらかではない。
両方です。
これは理想論ではありません。
価格決定権がない以上、「商品価値」+「収益性・生産性」=「二つの土台」を同時に上げなければ他の経営対策は機能しません。
マーケティングも、戦略的会計も、設備投資も、土台がしっかりしていなければ空回りします。
役割拡大の中で問われること
国が求めているのは、
・質の高い治療
・継続的な管理
・地域との連携
です。
これらを実装するには、時間も人もお金も使う。
だからこそ、「生産性を高めながら治療品質を高める設計」が不可欠になります。
冷静に現実を見ることからスタートする
先生の医院は、
・チェアタイムあたりの生産性を把握していますか。
・再治療率やSPT継続率を把握していますか。
・衛生士の指導力は数値で確認できていますか。
品質と効率は、感覚では両立しません。
だから収益モデルを設計し、数値で経営と治療品質を測定し、仕組み化し、改善し続けることでしか両立しない。
結論
保険医療という環境の中で、歯科医院が生き残るための前提は明確です。
治療品質を上げながら、生産性も上げる。
どちらか一方に逃げる余地はない。
先生の医院は今、その両立に本気で向き合っていますか。
それとも、どちらかに寄りかかっていませんか。
この問いから、すべてが始まります。
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