前回、「人が辞める原因は採用ではなく、医院の中の構造にある」という話をしました。
では、その“構造”とは何か。
難しい理論ではありません。
特別なコンサル手法でもありません。
人が育ち、定着する医院には、共通して3つの仕組みがあります。
私はこれを「採用定着環境構築の3点セット」と呼んでいます。
① 成長の道筋が見えている(ロードマップ)
新人が辞める大きな理由の一つは、「自分が今どの位置にいるのか分からない」ことです。
例えば、
・入社3ヶ月で何ができる状態を目指すのか
・6ヶ月後にどこまで任せるのか
・1年後にはどんな姿になっていてほしいのか
これが明確になっている医院は、実は多くありません。
多くの医院では、「できていないところ」に目が向きます。
しかし必要なのは、「今は第1段階だからここまでで良い」という段階設計です。
できないことを責めるのではなく、今どの段階にいるかを共有し、目標の段階までは出来ていることを共有する。
これだけで、スタッフの不安は大きく減ります。
② 教え方が標準化されている(属人化しない)
新人に厳しいというお局問題は、性格の問題だと思われがちです。
しかし本質は違います。
・教え方の基準がない
・求める水準が言語化されていない
・指導が人によってバラバラ
この状態では、必ず摩擦が起きます。
Aさんは「そこまでやらなくていい」と言い、
Bさん(お局)は「そこまでやるのが当然」と言う。
新人は混乱します。
教え方を標準化するとは、マニュアルを分厚くすることではありません。
・最低限達成する基準を決める
・教え方の順番を揃える
・評価の物差しを共有する
・教育段階を院長と指導担当スタッフで共有し、必要なら指導スピードを遅らせる
つまり、“人”ではなく“仕組み”が教える状態をつくることです。
③ 成長が可視化されている(評価と言語化)
給与だけで人は残りません。
もちろん労働環境は大切です。
しかし、それだけでは足りない。
人が残る医院には、共通点があります。
・「何ができるようになったか」を言語化する
・「どこが伸びたか」を具体的に伝える
・「医院にどう貢献しているか」を共有する
これがあると、スタッフは「ここで自分は成長している」と実感できます。
基準通りに出来ているか?出来ていないか?は新人には評価ができない。だから「出来ている」ことを伝えてあげることが必要なのです。
逆に、評価が曖昧な医院では、「何を頑張ればいいのか分からない」状態が続きます。
新人は先輩に出来て自分が出来ないことに目がいく。だから人によっては焦るのです。
「出口が見えないトンネル」にいるのと同じ。
それは静かに、新人のモチベーションを削っていきます。
順番を間違えてはいけない
よくある誤解があります。
「まず給与を上げないと人は残らない」
確かに給与は重要です。
しかし、給与を上げ続けられる医院には理由があります。
それは組織レベルが高いことです。
スタッフの成長に投資する
→仕組みが機能し始める
→ 生産性が上がる
→ 利益が残る
→ スタッフに還元できる
この順番です。
組織が未整備のまま給与だけを上げると、経営的に苦しくなるのです。
仕組みがある医院と、教える人がいるだけの医院
ここが分岐点です。
先生の医院には、
・スタッフ育成の仕組みがありますか?
それとも
・教える人がいるだけですか?
優秀なスタッフが一人いるだけでは、その人が辞めた瞬間に崩れます。
しかし仕組みがあれば、人が入れ替わっても育ちます。
だから「皆が安心して成長できる仕組み」をスタッフに丸投げではなく、最初の段階で院長も関わって構築する必要があるのです。
そして、作るだけではなく進化させることも必要だと感じます。
“普通の人材”を戦力にできるかどうか
特別優秀でなくても、
・素直
・真面目
・誠実
こういう人が戦力になる医院は強い。
逆に、「優秀なベテランしか残らない医院」は、採用競争から永遠に抜けられません。
最後に
先生の医院には、
・成長の道筋はありますか。
・教え方は揃っていますか。
・成長は言語化されていますか。
それとも、
院長の感覚とスタッフの経験に任せきりになっていないでしょうか。
組織レベルは、偶然には上がりません。
意図して設計しなければ、人材難は終わらないのです。
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