「患者数は多いのに、なぜか収益が上がらない…」その本質とは?
多くの患者が来院しているのに、なぜか売上が思ったように伸びない。お金が残らない・・・
そんなお悩みをお持ちの院長先生も多いのではないでしょうか?
このような医院に共通するのが、「患者単価が低い構造」に陥っていることです。
そしてこれは単に「自費治療を提案していない」という話ではなく、診療の在り方や説明の仕組みに深く関係しています。
本記事では、「患者単価が低い歯科医院の3つの共通点」と、それを診療の質向上とともに改善していく方法をお伝えします。
共通点①:診査・診断が浅く、治療が「応急処置」止まりになっている
低単価の医院では、検査や診断が十分に行われないまま、処置が始まってしまう傾向があります。
これは、ドクター側に「保険でできる範囲だけで対応したい」「手間をかけすぎずスピード重視で」「主訴だけ対応すれば良い」といった心理があることも少なくありません。
もちろん、保険診療には一定の制限やルールがあります。
ただし、審査指導を過度に恐れて萎縮診療になってしまうと、本来患者の健康を守り健康リスクを伝える為に必要な検査・患者指導が省かれてしまい、結果として患者の治療価値が低い医院になってしまいます。
◆改善策
・診断~治療計画立案~治療説明・提案の流れを構築し、初診時にその患者に必要な「必要な検査と診断の流れ」を説明しスタッフと共有
・歯科衛生士による予備診断とドクターによる精密診断を分けた2段階アプローチの導入
・エビデンスやガイドラインをベースに、保険算定根拠を明示できるルール設計、算定学習会の実施
・特定の分野のエッジを立てる為に自費の治療技術を磨き、提案システムを導入し、患者単価アップの根拠とする
・診療報酬算定の施設基準を取得し加算点数を取れる様に取り組む
共通点②:治療や予防の説明が不十分で「選ばれる診療」になっていない
患者単価が高い医院には必ずと言っていいほど、治療法やリスク説明の仕組み(システム)があります。
逆に低単価の医院では、以下のような状況が起こっています:
・説明が「ドクターの空いた時間」に依存している
・図や資料、ツールがなくパノラマを使った口頭説明のみ
・自費治療や継続管理の提案が“言い出しにくい空気”(治療コーディネーターが提案に確信を持てない)
ある治療コーディネーターのいる医院では、初診カウンセリングで患者の要望を丁寧に聴き、担当ドクターに患者要望に沿った提案をしてもらえる様にフォローしたことで自費の売上が増えました
◆改善策
・カウンセリング用シートやiPadでのビジュアル説明の導入
・自費治療の“提案フロー”をマニュアル化、スライド化
・治療コーディネーター不在でも、受付・診療スタッフ、歯科衛生士が説明できる体制整備
・必要なステップを飛ばさない様にKPI(重要業績評価指標)を設定し数値測定による改善活動を実施
共通点③:予防・メインテナンスの継続来院率が低い
自費治療に頼らずとも、継続的なSPT・P重防、定期健診患者が安定して来院している医院は、患者単価が高く、かつリピート率も高い傾向にあります。
一方で、低単価の医院では歯科衛生士アポのキャンセル率が高く(7%以上)、「SPTによる安定期治療が続かない医院」になってしまうことがよくあります。
原因は、以下のような“見えにくい課題”です:
・基本治療やSPTの価値を患者に伝えきれていない
・受付・歯科衛生士の間で予約取得の一貫性がない
・キャンセル・中断のフォローが不十分、担当患者をフォローしていない
・患者担当制が機能していない
・「お掃除」「予防」「メインテナンス」「健診」という間違った言葉を使っている為、患者は病気だと言う認識がない
◆改善策
・重症化予防のための「継続管理の意義」を全スタッフが認識し、患者に一貫して伝える
・予約キャンセル時の再アポ徹底。リコールハガキ以外のリマインド方法の導入
・歯科衛生士枠の予約枠稼働率を毎月チェックし、対策を歯科衛生士会で検討
・セカンドカウンセリング、P検査、Pコンサルシステムの仕組みと流れの見直し
・再評価システムとOHIの強化
単価は“高くする”のではなく“高まる”もの
単価を上げるというと、「無理に自費を勧める」「算定テクニックを磨く」と誤解されがちですが、
本質は「診療の質を高めることによって、結果として患者単価が自然に高まっていく」状態をつくることにあります。
過剰な算定やグレーな診療テクニックで単価を上げるのではなく、必要な検査・説明・継続管理を正当に行った結果として単価が上がることが、患者・スタッフ・医院の三方よしにつながります。
先生の医院では、どのように単価を“上げる”のではなく“高める”取り組みができていますか?
検査・説明・継続来院の仕組みは整っていますか?
ご希望があれば、単価改善のための経営診断と改善提案をさせて頂くサポートも可能です。
ぜひ、診療の質と経営の質をともに高めるために、一緒に取り組んでいきましょう。