歯科医院には、実にさまざまな人が集まります。
性格も価値観も、これまでの経験も違う。
その違い自体は、問題ではありません。
むしろ、多様性は組織の強みになり得ます。
問題になるのは、違いが「不協和音」に変わったときです。
人格ではなく「行動」を扱うという原則
組織づくりで、院長が最も気をつけるべきポイントがあります。
それは、人を否定しない。行動を扱う。という姿勢です。
誰にでも性格的な癖や行動特性があります。
それ自体を否定することはできませんし、すべきでもありません。
しかし一方で、
・医院が定めた行動規準から外れる
・複数のスタッフが不快に感じる言動がある
・チーム医療に支障をきたす振る舞いがある
こうした場合、行動は必ず修正してもらう必要があります。
このとき重要なのは、
・「あなたは○○な人だ」
・「性格に問題がある」
ではなく、
・「この行動が、医院の方針と合っていない」
・「この言動が、周囲にこういう影響を与えている」
と、事実と影響にフォーカスすることです。
改善のための“正しいステップ”
行動修正は、感情で行うものではありません。
あくまで、段階的・制度的に進めるものです。
一般的には次のような流れになります。
1.行動について具体的にフィードバックする
2.改善を期待する理由(理念・行動規準)を共有する
3.一定期間、改善の機会を与える
4.それでも難しければ、適性を考慮した配置転換を検討する(複数回)
それでも改善が見られない場合、医院の方向性と合わないことを率直に伝える
これは、感情的な排除ではなく正当なプロセスです。
大切なのは、「突然の決断」にならないこと。
本人にとっても、周囲にとっても、納得性のあるステップを踏むことです。
本当の問題は「起きてから対処すること」
ここで、院長に一つ問いを投げたいと思います。
その問題行動は、本当に突然起きたのでしょうか?
多くの場合、兆しはずっと前からありました。
・小さな違和感
・すれ違い
・言葉にされない不満
それが放置され、ある日、表面化しただけなのです。
つまり、本当の課題は問題が起きたことではなく、問題が起きるまで、話し合える場がなかったことにあります。
問題を「起こさない」ための仕組み
だからこそ、院長に求められるのは目線を一つにしたチームづくりです。
具体的には、
・定期的な個人面談
・チームで価値観を共有する話し合いの場
・院内レクリエーションや非日常のコミュニケーション
・立場を越えて本音を言える空気づくり
これらは「余裕がある医院」だけのものではありません。
忙しい医院ほど、必要な仕組みです。
問題が起きてからエネルギーを使うより、起きない構造にエネルギーを使う方が、結果的に院長は楽になります。
院長にしかできない役割
スタッフ同士の相互理解を促進し、理念に向かってチームをまとめる。
これは、院長にしかできない仕事です(幹部の力は借りるが丸投げはNG)。
・優しさだけでも足りない
・厳しさだけでも続かない
必要なのは、医院の理念を軸に、人を信じ、行動を正し、チームを守る覚悟です。
問題が起きてからの対応で、院長の評価は決まります。
しかし本当は、問題が起きない組織をつくっているか?小さな問題のうちに解決できる組織かどうか?で、院長の器は測られているのかもしれません。
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