最近、診療報酬は上がらない(従来の点数)。
しかし、施設基準や連携要件は増え難易度は上がる。
これは保険医療機関への締め付けでしょうか。
それとも“選別”でしょうか。
国は「医療供給量を増やす」方向には動いていない
まず前提から整理します。
日本はこれから、
・人口が減る
・働く世代が減る
・医療従事者も大きくは増えない
・財源も限られる
この状況で、国が「医師や歯科医師をもっと増やし、過疎地の隅々まで三次から一次まで同じ医療体制を整える」という発想を取る可能性は、極めて低い。
実際に起きているのは逆です。
国は、
・地域の中心部に医療機能を集中させ
・基幹病院を拠点化し
・周辺地域はオンライン診療や訪問診療車などでカバーする
という方向に動いています。
つまり、
2040年時点で維持できる医療提供体制を先に想定し、今から2040年モデルにあわせて構造を変えようとしているのです。
歯科医院に何が起きるのか
この構造変化は、歯科にも確実に影響します。
病院の病床が減り、退院が早まり、在宅での療養期間が長くなる。
すると、
・退院後の口腔管理
・誤嚥性肺炎予防
・栄養管理との連携
・訪問での口腔機能管理
・24時間サポート体制
が必要になる。
しかし国は、「すべての歯科医院に同じ役割を求める」わけではありません。
病院や医療多職種、介護、行政と情報共有と連携ができ、地域包括ケアシステムにガッツリ参加する歯科医院はしっかり評価していく。
また、国が重視する口腔機能管理や生活習慣病連携管理で成果を出そうとする歯科医院も支援していく。
しかし参加しない歯科医院を重視して報酬を増やすことはないのです。
ここで初めて、先生の医院が「地域と情報がつながる医院」であるかが問われます。
具体的には、
・病院の地域連携室とやり取りができる
・退院前カンファレンスに呼ばれる
・ケアマネジャーや行政から相談が来る
・サービス担当者会議に参加しサマリーが回る
・訪問看護師やST、PT、RDと口腔状況を共有できる
・生活習慣病管理を医科の主治医や薬局と連携して実施できる。
そういう医療介護ネットワークにおいて重要な役割を果たす医院です。
5年後に起きやすいこと
5年後、診療報酬の抑制によって医療機関の倒産が大幅に増える訳ではありません。
しかし、静かな変化が起きます。
・病院、診療所や行政、地域の多職種からの患者紹介が特定の歯科医院に集中する
・訪問や糖尿病管理の依頼が「いつも同じ歯科医院」に流れる
・連携加算が取れる医院と取れない医院が分かれる
・連携に参加しない医院が算定できる総点数が減っていく
そして、連携実績がない医院は、少しずつ地域の医療介護ネットワークの外側に置かれていきます。
これは罰ではありません。
ただ「声がかからなくなる」という現象です。
「ユニット3台の一人院長モデル」は、ここで負荷が高まります。
・短い昼休みに訪問は行けない
・外来を止められない
・スタッフの多くは17時過ぎに帰宅する
結果、関与できない。
じゃあ、どうするのか?
10年後に起きやすいこと
10年後、医院の経営格差は技術ではなく「地域との接続」で決まります。
・地域の中で重要な役割を持っている医院
・外来だけで完結している医院
この差です。
自費を強化し外来だけで安定させれば良い、という考えも当然あります。
しかし問題はここです。
・地域の人口は減る。
・高齢者は増えるが通院は減る。
すると、外来完結型の医院は患者構成が偏り、自費で補おうとする流れにより競争が激化することになります。
中間所得層の貧困化が進む日本で、どれだけの歯科医院がその考えで生き残れるのでしょうか?
一方で、地域の中で役割を持ち頼られている医院は、患者が「紹介」で集まってきます。
問題は“やるかやらないか”ではない
訪問をやるかどうか。
連携に入るかどうか。
これは戦術の問題です。
問題の本質は別にあります。
それは、院長が全部やるモデルで、これから起こる変化に耐えられるのか?ということです。
属人化と組織化
技術面で優秀な院長ほど、属人化しやすい。
・自分がやった方が早い
・自分がやった方が確実
・スタッフに任せるのは不安
しかし、訪問も、連携も、地域との接点も、院長一人では限界があります。
そして組織化がされていない歯科医院の院長は追いこまれて初めて医院の弱点に気づくのです。
「任せられる人材が育っていない・・・」と
最後に
・先生の医院は外来完結型のままで、5年後も安定しているでしょうか。
・地域の病院やケアマネと、実際に連絡を取り合えていますか。
・訪問に行けない理由は、時間や人の問題ですか、それとも“やりたくないから”ですか?。
・「院長が全部やる」モデルは、5年後も続けられますか。
2040年に向けて、医療供給量は確実に“縮みます”(地域格差は大きい)。
その中で、先生の医院は縮む側なのか。それとも、医療供給量が縮む社会の中でも役割を持ち活躍できる側なのか。
※ちなみに「医療供給量は減るが医療機関数も減るから大丈夫」という考え方は誤りですのでご注意くださいね。
今問われているのは、診療技術や点数算定ではなく、院長の経営戦略の判断なのです。
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