中断の本当の理由は「医院の姿勢」にある
先生の医院では、途中で通院をやめてしまう“中断患者”が気になっていませんか?
「仕事が忙しくて…」「痛みがなくなったので…」という患者の声をそのまま受け取ってしまうと、本質的な対策にはつながりません。
多くの場合、中断の背景には患者の“医院に対するイメージ”があります。
それは、「この医院なら痛い所だけ診てもらえるから便利」「予約しなくても診てもらえた」「他医院の治療のダツリ(患者は使いませんが・・・)も再セットしてくれた」「詳しい説明をされたくない」「早く終わるなら通うけど、時間がかかるのは面倒」という印象です。
実際、Googleマップの口コミや地域のクチコミでも、「説明が多くて時間がかかる」「すぐに治療してくれない」といったコメントが広がれば、“ちゃんと治す歯科医院”であるにもかかわらず、痛い箇所の痛みだけを取って欲しいという患者からは敬遠される結果になりかねません。
「ちゃんと治療しないとダメ」は、むしろ“本物の価値観”を伝える機会
ただし、だからといって「痛い所だけ診てほしい」という患者に合わせて医院のスタンスを曲げる必要はありません。
むしろ、歯科医療の本質を守るためには、治療の意義をしっかり伝える医院であるべきだと私たちは考えています。
山形県の日吉歯科診療所・熊谷崇院長は、まさにその姿勢を貫いてこられた一人です。
初診時に必ず精密な検査とカウンセリングを行い、むし歯でも応急処置だけでは済まさず、患者とともに全体の健康管理に取り組む。最初は「すぐに治療してくれない」と患者が減った時期もありましたが、結果的に「本当に自分の健康を考えてくれる医院」として口コミが広まり、今では全国から患者が集まり、NHK『プロフェッショナル』でも紹介される医院となりました。
つまり、「痛い所だけ」で終わらせない治療方針は、面倒なだけではなく、“信頼される歯科医院になるための礎”でもあるのです。
中断されない医院は、患者との“合意形成”ができている
では、治療の本質を伝えながら、中断を防ぐにはどうしたら良いのでしょうか?
カギは、「通い続ける価値を、患者自身が納得しているかどうか」にあります。
たとえば以下のような工夫が有効です。
・初診時の検査・カウンセリングで“なぜ今治す必要があるのか”を共有する、患者の話を全受容で聴く
・患者に知識を提供しながら歯科医師と歯科衛生士による定期管理が必要であることへの理解を深める
・「1年後どうなっていたいのか?」のGOALを患者と話し合い、今どうすべきかを決める
・スタッフ全員が患者の背景について共有し、患者に寄り添った説明を行う(共通言語化)
「次はどこを治すのか、どこまでやるのか、なぜそれが必要なのか」
これらが一貫して説明されていれば、患者は“言われたから通う”のではなく“自分のために通う”ようになるのです。
もちろん、一方的な説明は厳禁、患者が説明にどう感じたのかも聞き出しながら会話のキャッチボールをする必要があります。
「痛い所だけ」ではなく「全体を見てくれる」医院が選ばれる時代へ
ここ数年の診療報酬改定の動きからも明らかなように、国は“重症化予防・継続管理・アウトカム評価”を重視する方向へと舵を切っています。
つまり、本来の歯科医療のあり方を評価する仕組みに変わってきているのです。
この流れの中で、「痛みだけを取る」「短期的に済ませる」ことだけを価値とする医院は、徐々に評価されにくくなるでしょう。
昭和の「保険の高速回転型」の経営では上手くいかなくなってきているのです。
反対に、「口腔全体の健康」「長期的な安定」「患者との合意形成」に力を入れている長期管理型医院こそが、患者からの支持と制度面での評価を両立できる存在になっていきます。
マーケティング的にも、“すぐ診てくれる医院”は競合が多く比較されやすい一方で、“丁寧に全体を診てくれる医院”は選ばれる理由が明確になり、ブランドとしての“エッジ”が立つのです。
先生の医院は、どの患者層に選ばれる医院を目指していますか?
治療の中断を減らすために必要なのは、“通いやすい医院”を演じることではなく、医療人としてのスタンスを明確にし、丁寧に伝え続けることです。
その結果、「面倒でもちゃんと診てほしい」「家族全員を任せたい」という患者層が集まり、医院の安定と発展につながります。
先生の医院では、患者に“どんな価値観”が伝わっていますか?
“痛いところだけ”の診療スタイルから抜け出す覚悟はできていますか?
もしご関心があれば、中断患者の測定→分析や、初診カウンセリングからの流れの再構築もサポートしております。
「選ばれる医院」を本気で目指す先生は、ぜひ一度ご相談ください