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◆歯科医院経営ブログ

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【生産性を最大化させる歯科の予約管理とは シリーズ1】予約枠が埋まっているのに、なぜ経営が安定しないのか  [2026年06月27日]
おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
 
私は大阪の開業医団体で30年勤務し、院長の近くで経営と医院づくりを応援したいと独立して13年が経ちます。
このブログでは歯科医院経営とマネジメントに役立つ情報を発信します。
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はじめに

「予約枠はだいたい埋まっているんですが、なかなか売上が伸びていかなくて・・・」

経営相談でこう話される院長がおられます。予約表を見ると確かに埋まっている。しかし売上の数字は思ったほど積み上がっていない。この矛盾の原因を、多くの院長は「新患が足りない」「キャンセルが多い」という方向で考えます。しかし本当の問題は、もう少し手前にあります。

「予約枠が埋まっているか」よりも「どんな患者の予約で枠が埋まっているか」が、経営の安定を左右します。今回のシリーズでは、予約管理という切り口から、歯科医院経営の本質的な問いに向き合います。

「枠が埋まっている」のに経営が安定しない構造

なぜ予約枠が埋まっていても経営が安定しないのか。その構造を整理します。

歯科医院の収益を支える患者には、大きく二つの層があります。一つは急患や主訴だけの治療を求める患者層です。痛みが取れれば来なくなる、次回の予約は連絡待ちになる、キャンセルが多い。

もう一つは継続治療・定期管理に通い続ける患者層です。提案された治療計画を理解して通い続け、歯科衛生士の定期管理枠にも移行していく。

前者の患者が多い医院では、治療が終わるたびに患者が流出します(バケツの穴が大きい)。流出した枠を埋めるために新患を取り続けなければならない。ポータルサイトで急患を呼び込み、また流出する。この自転車操業が、「枠は埋まっているのに経営が安定しない」という状態の正体です。昔であれば「歯冠修復及び欠損補綴」の平均点数も高く、治療開始からセットまでの期間を短縮し、次の新患の予約を空いた枠に入れるという方法で十分な保険点数を得られていました。しかし、今は歯冠修復及び欠損補綴の平均点数が低くなっている。金パラの高騰などもあり保険治療だけで十分な収益を得られる診療報酬体系ではなくなっているのです。

現在の診療報酬体系では、継続治療・定期管理(う蝕管理・歯周病管理・口腔機能管理・生活習慣病連携管理)の患者で歯科衛生士枠が埋まっていることが重要なのです。歯科衛生士の担当患者が積み上がり、LTV(顧客生涯価値)が高い患者との関係が医院の収益基盤になっている。歯科衛生士枠のキャンセル率や治療中断率はう蝕治療よりも下げていくことが可能。だから枠の稼働率は同じでも、誰の予約で埋まっているかによって、経営の安定性はまったく異なります。

継続来院率が低い医院に共通するパターン

「継続治療・定期管理の患者で枠が埋まらない」という状態には、いくつかの共通した原因があります。

最も根本的な原因は、治療計画の厚みが薄く治療提案に問題があること。例えば患者に主訴の歯だけを治療して終わりにしていると、予約の継続理由がなくなります。患者に3か所のむし歯があったとき、主訴は1か所だけでも、残りの2か所の治療の必要性を丁寧に説明して患者が納得すれば、次回以降の予約が確定します。この説明と動機づけの仕組みが弱い医院では、治療が短期間で完了してしまい、予約枠が継続的に埋まらない構造になっています(患者の健康も守られない)。

次に、SPT(歯周病継続支援治療)への移行率が低いことです。歯周基本治療を終えた患者で継続支援が必要な人がSPTに移行せず流出していると、歯科衛生士の枠が積み上がりません。歯科衛生士枠がリピート型の収益基盤として機能するためには、SPT移行率と1年後継続来院率を定期的に数値として把握し、改善する取り組みが必要です。

そして、ポータルサイトへの依存からの脱却です。ネット予約経由で来院する患者はキャンセル率が高く、継続管理に移行しにくい傾向があります。ポータルサイトで新患を呼び込むほど、キャンセルと中断が増え、枠を埋め直すために再びポータルサイトに頼るという悪循環が生まれます。

先生の医院では、月次のキャンセル率・治療中断率・SPT移行率・1年後継続来院率を数値として把握されていますか?

院長が予約管理に関与しないと何が起きるか

予約管理の問題は、受付スタッフや診療スタッフの能力の問題として語られることが多い。しかし本質は、院長が予約管理の方針を明確に設計し、関与しているかどうかにあります。

院長が何も指導しなければ、受付専任スタッフは患者の希望日時に合わせて予約を入れることしかできません。予約が空きやすい時間帯への誘導、新患枠の確保、かかりつけ患者の枠の優先確保といった判断は、医院の方針として明示されていなければスタッフには実行できません。

また、多くの医院では受付専任スタッフだけでなく診療スタッフも予約を入れる体制になっています。経験の浅いスタッフが、ドクターごとの標準治療時間や処置の組み合わせを理解せずに予約を入れると、診療が回らなくなります。たとえば根管治療の横枠に時間のかかる処置の予約を重ねてしまうケース。ドクターが2列を診ている医院では、この横枠の入れ方が診療効率に直結します。

こうした状況で院長が受付に「なんであそこにあの予約を入れたの」と注意しても、仕組みが変わらなければ同じミスが続きます。スタッフへの注意で解決しようとする限り、問題はモグラ叩きになります。

予約の問題は二種類ある

予約管理の問題を整理すると、二つの異なる問題が混在していることがわかります。

一つは「アポミス」です。予約の重複・伝達ミス・入力漏れ・キャンセルの消し忘れなど、医院の想定と実際のズレとして発生するトラブル全般です。患者からのクレームや当日の混乱として発覚しやすい問題です。

もう一つは「アポ漏れ」です。存在すべき予約データが存在していない状態、つまり機会損失です。治療計画に入っているはずの歯周病検査の予約が取れていない、歯科衛生士枠に戻すはずの患者が戻っていない、治療完了後に定期管理の予約が取られていない。この問題は発覚しないまま静かに経営的な損失として積み上がっていきます。

多くの医院が注意を払うのはアポミスの防止です。しかしアポ漏れによる機会損失は、実はアポミスより経営へのインパクトが大きい。アポ漏れが毎月積み重なっていれば、その損失規模は無視できないものになります。

私がクライアントの院長にお伝えして改善に取り組んでいるのは「バケツの穴の数が少なく穴が小さい」医院の作り方です。昔ならバケツの穴が多くてもやっていけましたが、継続管理に保険点数がつく今の時代に、新患を確保し続けてもバケツの穴から流出する構造ではコストの増大をカバー出来なくなっていくのです。

まとめ

「予約枠が埋まっているか」という問いの前に、「どんな患者の予約で埋まっているか」を問うことが、経営の安定に向けた第一歩です。継続治療・定期管理の患者で枠が積み上がる構造を設計できているか。その設計を院長が主導できているか。

次回、シリーズ2では、アポミスとアポ漏れという二つの問題の構造と、「気をつけて」ではなく「仕組み」で防ぐというパラダイムシフトについて掘り下げます。

 

先生の医院のこれからを、心から応援しています。

 
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