「問題がない職場」と「問題が見えない職場」は違う
「うちのスタッフはみんな仲良くやっています」
「大きなトラブルもなく、院内は安定しています」
こう話される院長の医院が、実は水面下で深刻な問題を抱えていることがあります。
問題が起きていないのではなく、問題が院長に届いていないだけです。
スタッフ間の不満、業務上の疑問、院長のやり方への違和感・・・。
こうしたことは、どんな組織でも必ず存在します。
問題は「それが院長に伝わっているかどうか」です。
院長への進言や批判が表に出ない職場では、問題はスタッフの間で静かに蓄積され、ある日突然、退職という形で噴き出します。
先生の医院のスタッフは今、院長に対して本音を言えていますか。
立場が下の人は、上の人に本音を言えない
なぜスタッフは院長に本音を言わないのか。
理由はシンプルです。言うことにリスクがあるからです。
院長に意見を言って、感情的な反応をされた経験があるスタッフは、次からは黙ります。
進言しても「でも」「それは違う」と返ってくる経験が続けば、言っても無駄だと学習します。
あるいは、意見を言ったスタッフが何となく冷たく扱われるのを見たスタッフは、自分も黙ることを選びます。
こうして「院長には本音を言わない」という文化が、じわじわと組織に定着していきます。
心理的安全性が低い職場では、院長は上席であり、立場が下のスタッフから表立って批判されることはありません。
それは院長にとって心地よい状態かもしれませんが、医院の発展という観点から見れば、非常に危険な状態です。
院長が知らないまま放置されている問題は、院長が知っている問題より深刻です。
なぜなら、知らなければ手を打てないからです。
例えば、院長が経営への焦りから長年掲げてきた理念に反することを始めた。
もちろん、院長の理念行動に動機づけられてきたスタッフほど院長の方針転換に違和感を感じるのですが、心理的安全性が低い職場ではその矛盾を指摘できないのです。
「言いやすい院長」と「言いにくい院長」の違い
スタッフが院長に本音を言えるかどうかは、スタッフの性格の問題ではなく、院長の反応のパターンが決めています。
本音を言いやすい院長には共通点があります。
スタッフから問題や意見を伝えられたとき、まず「教えてくれてありがとう」という受け取り方をする。
すぐに反論や否定をしない。自分と違う意見でも、一度受け止めてから考える。
こうした反応が続くと、スタッフは「院長に意見を言っても大丈夫だ」「意見を大切に扱ってもらえた」という経験を積んでいきます。
一方、本音を言いにくい院長にも、共通点があります。
意見を言われると防衛的になり、「でも」「それは違う」からスタートする。
院長は問題点を指摘されると、指摘した相手を問題視する。
院長が感情的な反応をするため、スタッフが「地雷を踏んだ」と感じる。
よくあるのは、スタッフに指摘されたことと別の話を持ち出してスタッフにダメ出しをする。
こうした反応が一度でもあると、スタッフはその後、自分の考えを院長に伝えることを避けるようになります。
そして院長はそのスタッフから出された意見に対してではなく、そのスタッフが言った意見のすべてに否定的な見方をする様になるのです。
院長自身はスタッフに「意見を言ってほしい」と思っていても、自分の反応のパターンがスタッフの発言を封じていることに気づいていないケースは多い。
本音が院長に届かない組織が失うもの
院長に本音が届かない組織では、何が失われるのでしょうか。
まず、現場の問題への対応が遅れます。
スタッフは日々の診療の中で、業務の非効率、患者からの不満、ヒヤリハットなどを最初に察知する立場にいます。
しかし、院長に正直に伝えることが自分にとってリスクになる場合には伝えるのを躊躇する。
その状況が続き、院長に必要な情報が届かなければ、問題が大きくなってから発覚することになります。
早期発見・早期対応ができなくなることで、医院のリスクは高まります。
”自分で考えて動く”医院は院長が破壊する
次に、改善のアイデアが生まれなくなります。
現場から「こうした方が良いのでは」という提案が出ない組織では、業務の改善は院長の気づきだけに頼ることになります。
院長が診療に追われ、経営にも追われている中で、すべての改善のきっかけを自分で見つけることには限界があります。
そして最大のリスクは、「院長が自分の問題点に気づけない」ことです。
スタッフが院長のやり方に違和感を感じていても、それが伝わらなければ院長は現状を正しいと思い続けます。
本当は院長のコミュニケーションや判断に問題があっても、誰もそれを指摘できない。こうして、院長は成長の機会を失うのです。
本音が届く組織をつくるために、院長ができること
本音が届く組織は、待っていれば自然にできるものではありません。院長が意識的につくるものです。
まず、小さな意見や報告に対して「ありがとう、教えてくれて助かった」という反応を続けることです。
些細なことへの反応の積み重ねが、スタッフに「院長に伝えても大丈夫だ」という安心感をつくります。
次に、定期的な一対一の面談を設けることです。
集団の場では言いにくいことも、一対一では言いやすくなります。
面談の場で「○〇について何か気になっていること、困っていることはある?」と問いかける習慣は、スタッフの声を引き出す有効な手段です。
ただし、面談で話した内容が後で問題視される経験を一度でもさせてしまうと、面談は形骸化します。
話してくれた内容を正しく扱うことが前提です。
そして、院長自身が「自分も間違えることがある」という姿勢を見せることです。
院長が自分の判断の誤りを認め、修正する場面をスタッフが見ると、「この職場では間違いを指摘してもいい」という認識が広がります。
すると不思議なことにスタッフは自分の姿勢も正し始めるのです。
これは弱さを見せることではありません。経営者としての成熟を示すことです。
先生の医院のスタッフは今、院長に面と向かって何かを伝えられる状態にありますか。
まとめ
問題がない職場と、問題が見えない職場は違います。
スタッフが院長に本音を言わない組織では、問題は水面下で蓄積され、医院は改善の機会を失い続けます。
本音が届く組織をつくることは、院長への批判を受け入れることではありません。
現場の情報を早く、正確に受け取ることで、院長がより良い判断をできるようにすることです。
スタッフの声が届く組織は、院長も成長できる組織です。
スタッフが医院の為、患者の為に、積極的に自分の意見を言う医院を作りたいとお考えの院長は、ぜひ一度ご相談いただければと思います。
先生の医院のこれからを、心から応援しています。
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