「うちのスタッフは動けない」と感じている院長へ
診療が終わった後、こんなことを感じたことはありませんか。
「何度言っても自分で考えて動こうとしない」
「指示しないと何も始まらない」
「チーフを立てたのに、結局自分が全部決めている」。
こうした声を、院長からよく聞きます。
スタッフへの不満が積み重なると、院長は「うちのスタッフは医院見学をした〇〇先生の医院より質が低い」「採用を間違えた」という結論に向かいがちです。
しかし私が長年、歯科医院の組織を見てきた経験から言えば、こうした状態の多くは、スタッフ側の問題ではなく、院長側のアプローチに原因があります。
組織は、院長が扱っている通りになります。
スタッフが動けないとしたら、スタッフが動きにくい組織を院長がつくっている可能性が高い。
チーフが頼りないとしたら、チーフが育つ環境を院長がつくってこなかった可能性が高いのです。
スタッフが「指示待ち」になるのは、なぜか
スタッフが指示を待ってばかりで自分から動かない。
この状態をつくる最も多い原因は、「自分で考えて動いたら怒られた経験の積み重ね」です。
スタッフが自分なりに判断して動いたとき、院長から「なんでそうした」「そのやり方は違う」と言われ続けると、スタッフは「勝手に動くと怒られる」という学習をします。
やがて「何も決めず、院長に確認してから動く」方が安全だという行動パターンが定着します。
院長に悪意はありません。
医院の品質を守りたい、正しいやり方をしてほしいという思いから来ている。
しかし結果として、スタッフが自分で考えて動くことをやめた組織ができあがります。
先生の医院では、スタッフが自分の判断で動いたとき、どんな反応をしていますか。
チーフが「機能しない」のは、チーフのせいではないことが多い
「チーフを立てたのに、チームをまとめられない」という院長の悩みも、よく聞きます。
しかし、チーフが機能しない場面を観察すると、多くの場合に共通したパターンがあります。
院長がチーフの判断にダメ出しをする。
チーフを飛ばして院長が直接スタッフに指示を出す。
チーフの決定が後から覆される・・・。
こうしたことが繰り返されると、チームの中に「チーフに聞いても意味がない、結局院長が決める」という認識が広まります。
そうなるとチーフの言葉は軽くなり、チーフ自身も判断することをためらうようになります。
これは「二重権限」と呼ばれる構造的な問題です。
チーフに権限を与えたつもりでいながら、実際には院長が権限を手放せていない。
この状態では、どれだけ優秀なスタッフをチーフに据えても、チームは機能しません。
チーフが頼りないと感じているなら、まずチーフが本当に権限を持って動ける環境が整っているかを確認してみてください。
人の好き嫌いとエコ贔屓が、組織の空気をつくる
院長も人間です。スタッフへの好き嫌いがあるのは自然なことです。
しかし、その感情が組織の運営に影響し始めると、チームに亀裂が入ります。
気の合うスタッフには声をかけ、苦手なスタッフとは必要最低限の関わりにとどめる。
自分が好む成果を出した特定のスタッフばかりを評価し、コツコツと医院を支える地味だけど必要不可欠な役割を果たすスタッフは目に入らない。
こうしたエコ贔屓は、院長本人が意識していなくても、スタッフには敏感に伝わります。
「院長はあの人しか見ていない」「私は頑張っても評価されない」という空気が広がると、評価されないスタッフのモチベーションは下がり、チーム全体の連携が損なわれます。
スタッフ同士のもめごとの背景を辿ると、院長の接し方の偏りが一因になっていることは少なくありません。
好き嫌いをするなとは言いませんが、自分の好き嫌いやエコ贔屓が、チームにどんな影響を与えているかを、院長は定期的に振り返る必要があります。
「相手が悪い」から「自分のアプローチを変える」への転換
組織に問題が起きたとき、人は自然に「相手が悪い」という結論に向かいます。
院長も例外ではありません。
スタッフが動かないのはスタッフのせい、チームがまとまらないのはチーフのせい・・・。
こう考える方が楽だからです。
しかし、この思考パターンのままでは問題は解決しません。
相手を変えようとするより、自分のアプローチを変える方が、ずっと早く問題は解決します。
なぜなら、変えられるのは自分だけだからです。
どんな問題も、相手にだけ非があることはほとんどありません。
自分側にも必ず何らかの原因があります。
この前提に立って問題を見直したとき、初めて「では自分は何を変えればいいか」という問いが生まれます。
この問いが、問題解決への入口です。
院長として成長するとは、こうした問いを自分に向け続けることでもあります。
初めからチームをうまくまとめられる院長は多くありません。
組織の問題に直面しながら、自分のアプローチを修正し続けることで、院長は経営者として育っていきます。
先生の医院の今のチームの状態を、もし「院長自身の鏡」として見たとき、何が見えますか。
まとめ
スタッフが動かない、チームがまとまらない。
その原因をスタッフ側に求める前に、一度立ち止まってみてください。
組織は院長が扱っている通りになります。
スタッフが動きにくい構造をつくっていないか。
チーフが本当に権限を持って動けているか。
自分の好き嫌いが組織の空気に影響していないか。
そして、うまくいかないとき「自分のアプローチに問題があるかもしれない」という問いを持てているか。
この問いを持ち続ける院長がいる医院は、少しずつ、しかし確実に変わっていきます。
病気に治療法があるように、組織の問題にもその組織に合わせた適切な解決方法があります。
問題を無理やり封じ込めると裏で燻り続けますし将来的に問題を起こす火種となる。
発生する問題には「感情」が関係していますので、扱いを間違えると大火事(複数人の退職)となる。
そして、この時に医院にとって必要不可欠な人材も退職してしまうことがあるのです。
組織づくりについて一緒に考えたい院長は、ぜひ一度ご相談いただければと思います。
先生の医院のこれからを、心から応援しています。
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