「権限委譲を進めると、院長は楽になりますよ」
こう言われると、違和感を覚える院長も多いと思います。
実際、権限委譲を始めた直後はむしろ忙しくなるからです。
・任せた結果の失敗対応
・考え方のすり合わせ
・教育とフォロー
「これなら自分でやった方が早い」と感じる場面も多いでしょう。
では本当に、スタッフが成長すると院長は楽になるのか?
答えは、「院長の役割が変わる」という意味では、間違いなく楽になります。
院長が忙しい医院の共通点
院長が常に現場対応に追われている医院には、共通点があります。
・目標を決めるのは院長
・評価をするのも院長
・改善案を出すのも院長
・修正指示を出すのも院長
スタッフは一生懸命動いている。
しかし、考えてはいない。
この状態では、院長が止まった瞬間に、医院も止まります。
成長したチームは「自分たちで回り始める」
一方、スタッフが成長し、医院理念を理解し始めると、変化が起こります。
・理念に基づいて目標を立てる
・目標に対して行動を選択する
・結果を振り返り、修正する
PDCAやOODAが、院長の指示ではなく、チームの思考として回り始めるのです。
ここまで来ると、スタッフは「作業者」ではなくなります。
医院の中に「事業部門」が生まれる
この状態は、一般企業で言えば事業部門が機能し始めた状態です。
・歯科衛生士部門
・診療オペレーション部門
・患者管理・継続部門
それぞれが、
「自分たちの役割は何か」
「今、何が課題か」
「次に何を改善するか」
を、自分たちで考え始めます。
ここで初めて、院長はすべての判断を自分で下す存在から卒業できます。
院長の役割は「現場」から「経営判断」へ移る
事業部門が機能し始めると、院長の役割は明確に変わります。
院長がやるべきことは、
・幹部(事業部門長)を集める
・正しい経営判断に必要な情報を提供する
・医院が取るべき戦略を示す
つまり、
「どう動くか」を決める人ではなく、「どこへ向かうか」を決める人になるのです。
中期経営計画は“院長一人”で作るものではない
この段階になると、中期経営計画(3〜4年)は院長一人で立てることはありません。
・医療品質をどう高めるのか
・経営成果をどう作るのか
・人をどう採用し、どう育てるのか
これらを、幹部とともに決めるのです。
もちろん、ベースの計画は幹部が立てます。
決まったあとは、
・各事業部門が目標達成を担う
・院長は定期的に進捗を確認する
・定量的な評価をもとに修正する
これで十分です。
「楽になる」とは、責任を手放すことではない
ここで誤解してはいけないのは、院長が楽になる=責任を放棄するではない、ということです。
院長は、
・医院の方向性
・幹部の育成と連携
・最終判断
という、院長にしかできない役割に集中するようになります。
これは、作業量は減っても、意思決定の重さはむしろ増します。
権限委譲と幹部育成は「未来への投資」
権限委譲と幹部育成は、短期的には負担が増えます。
しかし、
・院長が倒れたら止まる医院
・院長がいなくても回る医院
どちらが持続可能かは、明らかです。
院長が院長にしかできない役割に集中できる医院だけが、これからの厳しい経営環境を越えていけます。
すでに一部の超大型歯科医院では「兼任スタッフ⇒専任スタッフ⇒専門部門設立」が進み、例えば分院出しは専門部門が担い院長が実務に関わることはありません。
規模が小さいと少し考え方が変わりますが、規模に合わせた組織化(企業化)は欠かせないのです。
院長が楽になるかどうかは、通過点にすぎない
本質はここです。
・スタッフが育つ
・組織が自走する
・医療の質が上がる
・経営も安定する
その結果として、院長は「楽になる」。
順番を間違えると、何も起こりません。
スタッフが成長するほど、院長は“楽になる”。
それは、院長が「現場の人」から「経営者」に進化した証なのです。
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