歯科医院の院長は、基本的に誰からも叱られません。
スタッフは雇用されている側。
最終決定権は院長にある。
だから院長の判断に対して、真正面から「それは違います」と言われることはほとんどありません。
しかし、そこに歯科医院経営の難しさが潜んでいます。
「院長は経営者である」は正しい
まず前提として、院長は経営者です。
開業時に多額の借入をし、リスクを背負い、最終責任を負う立場です。
幹部の意見を聞く。
スタッフの提案も参考にする。
それでも最終判断は院長が行う。
これは正しい。
組織には最終決裁者(全責任を背負う存在)が必要です。
しかし「常に従うべき」とは言えない
一方で、医療はチームで行います。
チーム医療の現場では、院長の指示が基本であっても、一つだけ例外があります。
それは、患者やチームメンバーの安全が損なわれる可能性があるとき。
医療現場では、心理的安全性がなければ事故は防げません。
スペースシャトル・チャレンジャー号の爆発事故は、打ち上げを支えたチームに「心理的安全性」が欠如していたことが一因だったと言われています。
言うべきことが言えない。
違和感を感じても言わずに飲み込む。
その積み重ねが重大事故を生む。
医療も同じです。
スタッフが意見を言える環境。
その意見が尊重される関係性。
これは院長の責任です。
それでも、スタッフは言いにくい
しかし現実はどうでしょうか。
院長の意向と違う意見を言うのは、勇気が要る。
明らかに院長が間違っていても、指摘できないケースは少なくありません。
多くの場合、スタッフは空気を読みます。
そして院長は、「誰も反対しない=正しい」と錯覚しやすい。
理不尽は、忘れられない
院長が自分で間違いに気づいていながら認めない。
誤魔化す。
責任を曖昧にする。
しかしスタッフは指摘しません。
ただ、ちゃんと覚えています。
スタッフには、院長の対応は「理不尽だった」という感情は蓄積されます。
それが、
・信頼の低下
・本音を言わない組織
・指示待ち文化
を生みます。
院長は成長途上でいい
院長は完璧である必要はありません。
間違えることもある。
判断を誤ることもある。
それ自体は問題ではない。
問題は、謙虚さを忘れ誤りを認めないこと。
そして、成長しようとしないこと。
院長の「権限」でおこなったことの「結果」は院長自身に返ってくる(責任)。
その事を忘れてはいけないのです。
尊敬は肩書きでは得られない
院長という立場は、自動的に“権威”を与えます。
しかし“尊敬”は与えてくれません。
尊敬は、
・正しいことを行なう為に努力する姿勢
・学び続ける姿勢
・間違いを認める謙虚な姿勢
・スタッフの声に耳を傾ける姿勢
から生まれます。
スタッフと話していると、院長の言動に対する疑問や矛盾の指摘が出てくることがあります。
その時にスタッフが誤解している場合には院長の言動の意図を私は丁寧に説明する。
しかし、明らかに院長側に問題がある場合、説明に困ってしまうのです。
誰も駄目出ししないからこそ
院長は、基本的に誰からも叱られません。
だからこそ、自分で自分を律するしかない。
スタッフに尊敬される存在であること。
それが歯科医院経営の前提条件です。
経営がうまくいく医院は、院長が“正しい人”というより、理想の為に患者の為に努力し続けている人であることが多い。
最後に
先生は最近、自分の言動を振り返っていますか。
間違ったら間違いを認めていますか。
スタッフに対して、「院長として」ではなく「一人の人として」誠実でいられていますか。
誰も駄目出ししない立場だからこそ、自ら襟を正す。
それが、歯科医院を強くする土台になるのだと思うのです。
![]() |
|
![]() |
|
![]() |

















