令和8年の診療報酬改定では、「CAD/CAMの更なる活用」が明確に打ち出されました。
オンライン診療を含む医療DXの推進も、一歩前に進みました。
歯科領域にも、本格的なデジタル時代が到来しつつあります。
しかし、デジタル治療も、医療DXも、やれば必ず収益が向上する訳ではありません。
デジタル機器には投資(設備・人・時間)が必要です。
DXには、知識と運用力が必要です。
収益モデルと接続できないまま導入すると、コスト倒れに終わる。
これは現実です。
では、これからの時代、アナログ院長は生き残れないのでしょうか?
少し立ち止まって考えてみます。
2つのデジタル化
まず整理しておきたいのは、歯科医院に押し寄せているデジタル化には、2種類あるということです。
① 治療のデジタル化
・CAD/CAM、3次元プリンティング義歯
・口腔内スキャナー
・デジタル印象
・デジタルガイドシステム、AI診断等
これは診療そのものの高度化です。
② システムのデジタル化
・オンライン資格確認
・電子カルテ
・予約管理システム
・院内chat
・音声入力、診察券アプリ、患者呼び出しシステム
これらは医院運営のデジタル化や高度化です。
この2つは性質がまったく違います。
治療デジタル化は「技術投資」。
システムデジタル化は「構造投資」です。
どちらも収益面を考えずに“導入すること”が目的になると失敗します。
アナログ院長は本当に不利か?
ここで一つの問いです。
デジタルが進む時代に、すべての患者がデジタルを望んでいるのでしょうか。
答えは、NOです。
高齢者層の中には、
・オンライン予約が苦手
・スマホ操作に不安
・対面説明を重視
・長年の信頼関係を重んじる
こうした患者も多く存在します。
つまり、市場は一枚岩ではない。
マーケティングの軸で考える
佐藤義典氏が提唱される「3つの差別化戦略」の中に、
・手軽軸
・商品軸
・密着軸
という考え方があります。
デジタル院長は「手軽軸」を重視します。
・オンライン完結
・予約も説明もデジタル化して効率的
・来院回数を減らす設計
・治療や診断のデジタル化推進
一方、アナログ院長が生き残る道は、「密着軸」です。
密着軸とは何か?
密着軸とは、「患者の痒いところに手が届く」医院。
例えば、
・患者の顔と名前が一致している(院長もスタッフも覚えている)
・患者の生活背景を理解している
・家族構成を把握しているし、患者は家族で通院している
・患者と治療内容以外のコミュニケーションが取れている
・治療方針を丁寧に説明している
・患者を紹介してくれる患者が多くいる
・地域の多職種からも患者を紹介される
・院長は地域のイベントにも参加し顔見知りが多い
・患者も地域の人たちも困ったときに相談しやすい
つまり患者や地域との距離が近い医院です。
これはデジタルでは代替しにくい価値です。
例えばデジタル院長は受付を自動化していきますので、アナログ院長はそれとは逆のことをします。
例えば、専任コンシェルジュを採用するのです(人財を選び標準化する)。
密着軸の基本は”かかりつけ化”
ただ、この取り組みと同時に実行する必要があるのが「患者単価を上げていく」ということ。
患者との距離が近い医院は、
①患者のキャンセルや治療中断が少ない
②主訴以外にも治療が必要な箇所をちゃんと治療する
③治療から管理に移行し継続的に来院している
④治療説明に納得して自費治療を選ぶ患者が多い
⑤家族や友人に口コミしてくれる
という特徴があります。
“なんとなく丁寧”では勝てません。
デジタルとどう向き合うか?
アナログ院長が取るべき戦略は、
「全部デジタル化」でも
「完全拒否」でもない。
① 治療のデジタル化
→ 自院の強み、収益と接続できる範囲で導入
② システムのデジタル化
→ スタッフ負担を減らす目的で選択的導入
目的は明確です。
患者に向き合う時間を確保するため。
そのためのデジタル活用であれば、意味があります。
本当のサバイバル術
デジタル時代をアナログで生き抜くとは、
デジタルを拒否することではありません。
自院の軸を明確にし、
・手軽軸で戦うのか
・密着軸で戦うのか
・商品軸(高度専門性)で戦うのか
を選び医院を変化させていくことです。
中途半端が最も危険です。
最後に
先生の医院は、
デジタル化に振り回されていますか?
それとも、
自院の軸から逆算して選択していますか?
デジタル時代に問われるのは、
技術力だけではありません。
戦略の明確さです。
先生は、どの軸で戦いますか。
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