歯科医院で起こるスタッフの離職について、多くの院長はこう考えがちです。
「給与が低いから」
「最近の若い人は根気がないから」
「人間関係が難しいから」
もちろん、これらが影響することもあります。
しかし、長く現場を見ていると、もっと本質的な理由があると感じます。
それは、スタッフが「成長している実感」「必要とされている実感」を持てているかどうかです。
人は「考える権利」を奪われると、静かに心が離れていく
院長の指示で動く医院は、実はとても多い。
・何を重視するのかは院長が決める
・どう進めるかも院長が決める
・判断に迷えば「院長に聞く」が正解
一見すると、統率が取れているように見えます。
しかし、この状態が続くと、スタッフの心の中では、こんな感情が生まれていきます。
「自分で考えなくていい」
「言われたことだけやっていればいい」
「どうせ決めるのは院長」
「ここは院長の医院」
そしてある日、ふとこう思うのです。
「この仕事、面白くないな」
正しいことをして叱られると、人は挑戦しなくなる
特に問題なのは、スタッフが患者のために良かれと思って行動した時です。
・患者の不安に寄り添った
・医院の理念に沿った判断をした
・現場で工夫をした
それにも関わらず、
「余計なことをするな」
「勝手な判断をするな」
と叱られる。
これは、スタッフにとって非常に理不尽です。
しかもそういう医院が掲げている理念が「患者さまの笑顔の為に」だったりするのです。
人が成長するSTEPは、いつの時代も変わらない
人が本当に成長するプロセスは、とてもシンプルです。
1.自分で考える
2.計画を立てる(即実行の場合も)
3.実行する
4.上手くいかない、失敗する
5.周りに支えられながら修正する
6.自分の力で成果に辿り着く
このプロセスを経験した時、人は大きな達成感を得ます。
そして、その「頂き(成果)」は、誰かに与えられたものではなく、自分の力で辿り着いたものだからこそ、格別なのです。
権限委譲が進むと「内発的動機」が生まれる
権限委譲が進んだ医院では、スタッフに次のような感情が芽生えていきます。
・自分は信頼されている
・自分の判断が医院を支えている
・患者の役に立っている
これは、外から与えられる報酬ではありません。
内側から湧き上がる動機です。
いわゆる「内発的動機」。
この内発的動機から生まれた目的と目標に向かって、人は驚くほどの力を発揮します。
内発的動機を表現できる医院では、人は簡単には辞めない
考えてみてください。
・自分の成長を実感できる
・必要とされている
・患者にも貢献できている
・自分の価値観を表現できる環境がある
そんな職場から、人は辞めるでしょうか?
辞めません。
多少大変なことがあっても、
「ここで成長したい」
「このチームでやりたい」
という気持ちが勝つからです。
給与や待遇は「衛生要因」であって「動機づけ要因」ではない
もちろん、給与や労働条件は大切です。
軽視していいものではありません。
しかし、これらはあくまで衛生要因。
・不足すれば不満になる
・満たされても、やる気が上がるわけではない
という性質を持っています。
給与や条件だけで人を惹きつけている医院は、より良い条件を提示する医院が現れれば、スタッフはそちらに移っていきます。
なぜなら、そこに「意味」がないからです。
辞めない医院は、成長できる舞台を用意している
権限委譲が進む医院は、スタッフにこう問いかけています。
「あなたは、どう考える?」
「どうすれば良くなると思う?」
「一緒にやってみよう」
院長は正解を与える人ではなく、伴走する人になります。
その結果、
・スタッフは挑戦する
・失敗しても学ぶ
・成果を積み上げる
この循環が生まれます。
この循環の中にいる人は、簡単には辞めません。
スタッフが辞めない医院は、偶然ではない
スタッフ定着は、「運」でも「時代」でもありません。
・権限をどう扱っているか
・成長の機会を用意しているか
・内発的動機が育つ環境か
その積み重ねの結果です。
権限委譲が進む医院ほど、スタッフが辞めなくなるのは、ごく自然なことなのです。
スタッフが退職しない医院作りには「心理的安全性」はもちろん重要。しかし、それだけではエイミー・C・エドモンドソンが言う様に「機能するチーム」にはなりません。
歯科医院が発展していくには「機能するチーム」を目指さなければならない。その為に「権限委譲」は重要なSTEPなのです。
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