スタッフ育成という話題になると、院長からこんな言葉をよく聞きます。
「ちゃんと指導しているんですが、やる気を感じられない…」
「外部の研修にも参加させているし、マニュアルやカリキュラムも整えています」
確かに、それらは大切です。
しかし、現場で起きている現実は少し違います。
スタッフが本当に学んでいるのは、院長が“何を教えたか”ではなく、院長が日常診療で“どう判断し、どう振る舞っているか”なのです。
スタッフは院長の「言葉」より「背中」を見ている
院長がどれだけ立派な理念を語っても、日常の行動が伴っていなければ、その言葉は響きません。
・忙しいとき、院長は患者にどう向き合っているか
・不都合な事実が起きたとき、誰の責任にしているか
・数字が厳しいとき、何を守り、何を切り捨てるのか
こうした日々の小さな選択を、スタッフは驚くほどよく見ています。
そして、そこからスタッフは無意識のうちに学びます。
「院長に叱られない為には、こう振る舞えばいいんだな」
「院長は、こういう価値観で生きているんだな」
実はそれが、教育の正体です。
スタッフからよく聞くのが「院長は私達には求めるのですが自分はやらないんです」という言葉。院内のルールを決めても患者への接し方をブラッシュアップさせても。院長はいつも例外という医院は多いのです。
とにかく院長の言行不一致や、院長からの指示の矛盾点はしっかり見られていると思ってください。
「正しいこと」を選ぶ姿勢は、必ず伝わる
歯科医院の現場では、正解が一つではない判断を迫られる場面が多くあります。
・患者が納得するまで時間をかけるべきか、それとも効率を優先するべきか
・売上になる提案をするか、お金をかける価値が高くないので見送るか
・スタッフのミスを責めるか、それとも仕組みを見直すか
このとき院長が何を基準に選択しているかは、必ず空気としてスタッフに伝わります。
「院長は、“患者のことを真摯に考え寄り添う人だ」
「この医院では、人としての正しさが大切にされているし私達にも求められる」
そう感じられる環境では、スタッフは自分の仕事に誇りを持てるようになります。
医療における正しい在り方、人としての正しさを厳しく求められる医院の方が、スタッフは動機づけられ育つのです。
そして、そのスタッフの前には自分に対して一番厳しい院長がいて手本となっている。
成長したスタッフほど、院長を“よく見ている”
経験が浅いスタッフは、「指示」「評価」「給与」といった分かりやすいものに安心します。
しかし、成長したスタッフほど違います。
・この院長は、正しさと逃げずに向き合っているか
・都合の悪い現実から目を逸らしていないか
・楽な道と正しい道があったとき、どちらを選ぶ人か
・院長の責任をスタッフに押しつけていないか
こうした点を、言葉にせず、しかし確実に見ています。
そして、自分が成長すればするほど、「院長を尊敬できるかどうか」「自分が活躍できる環境かどうか」が職場選択の基準になっていきます。
院長の生き方が、医院の文化になる
医院の文化は、会議で作るものでも、スローガンで作るものでもありません。
院長が
・どう働き
・どう悩み
・どう決断し
・どう責任を取っているか
その積み重ねが、医院の「当たり前」を形づくります。
スタッフは、院長の姿勢を見て「この医院で、自分が大切にしている価値観は満たされるか」を判断しているのです。
教える前に、まず在り方を整える
スタッフ育成に悩んでいる院長ほど、「もっと指導しなければ」と思いがちです。
しかし、順番は逆かもしれません。
・自分は何を大切にして歯科医療をしているのか
・どんな判断基準で経営をしているのか
・その姿を、胸を張って見せられるか
そこを問い直すことが、最も深い教育になります。
日頃、院長が振舞っている通りの歯科医院ができあがる。
さて、先生の医院はいかがでしょうか?
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