歯科医院の人材定着について考えるとき、
多くの院長は「給与」「休日」「評価制度」といった条件面に目が向きがちです。
もちろん、それらは大切です。
しかし、実際に成長したスタッフ・優秀なスタッフほど、もっと本質的な部分を見ています。
それが、「この先生は、何のために歯科医療をやっているのか?」
という問いです。
スタッフは“院長の判断基準”を見ている
スタッフは、院長の言葉よりも日々の判断や行動をよく見ています。
・この治療は、本当に患者のためなのか
・この提案は、売上のためなのか、それとも患者の健康のためなのか
・時間がないときであっても、効率より患者を優先しているか
・患者の健康にとって必要な治療ステップを効率の為に省いていないか
こうした一つひとつの判断の積み重ねが、「この医院で働く意味」を形づくっていきます。
成長しているスタッフほど、院長がどんな基準で意思決定しているのかを敏感に感じ取ります。
だからスタッフが日頃から感じていることが、私とスタッフとの面談では出てくるのです。
売上優先の判断が、医療者の誇りを削っていく瞬間
売上を考えること自体は、経営者として当然です。
問題は、「売上が判断基準の最上位」に来てしまうことです。
・患者が不安を感じているのに、説明を急ぐ
・本当は必要性が低いと感じている自費治療でも、売上の為に提案する
・残せる歯なのに抜こうとする
・スタッフの違和感を「経営の為に必要だから」と押し切る
・スタッフにグレーなことをさせる
こうした場面が積み重なると、スタッフの医療従事者としての誇りは、静かに削られていきます。
多くの場合、スタッフはその場で院長に反論しません。ただ、心の中で院長と距離を取り始めるのです。
そして、「ここでは私が大切にしてきた歯科医療ができない」と感じたとき、成長したスタッフほど、静かに去っていきます。
医療の本質に向き合う院長が、結果的に経営も安定させる理由
一方で、
・短期的な売上より、患者の長期的な健康を優先する
・制度や点数が変わっても、医療の軸を変えない
・「正しいかどうか」を判断の中心に置き続ける
こうした院長のもとでは、スタッフが少しずつですが確実に育っていきます。
スタッフと患者との信頼関係が深まり、「〇〇さんが言うから必要だよね」と患者が感じる様になります。
スタッフが「患者の健康の為に必要不可欠」だと自信を持って患者に話すので、患者が「私の為を思ってくれている」と信頼が信用に変わるのです。
結果として、
・中断が減る
・長期管理が根づく
・紹介の質が上がる
・スタッフが辞めにくくなる
という成果に繋がっていく。
歯科医院経営をサポートしてきて感じるのは、上記の医院ほど患者単価が高くLTVも高い。
だから、苦労しながらもスタッフが矛盾を感じず医院が提供している歯科治療に誇りを持てる歯科医院を目指した方が経営面でも上手くいくのです。
人は“正しさ”に惹かれ応援したくなる
保険医療の世界では、ときに「正しい治療は儲からない」と言われます。
しかし、長く医院を支えるのは、正しさを貫こうとする姿勢、利他の姿勢そのものです。
スタッフも患者も、最終的には「この人なら信じられる」「尊敬できる」と思える存在に集まります。
院長が歯科医師として、「何のために歯科医療をしているのか」を自分に問い続けること。
そして、正しいことからブレないこと。
それこそが、人を惹きつけ、医院を強くしていく原点なのだと思います。
40年以上、医療機関と関わってきて断定できるのはグレーなことを院長がおこない、スタッフにも求める院長はどこかで痛い目に合うということです。スタッフの目も患者の目も節穴ではない。
逆に失敗しながらも諦めずに歯科医療としての本質からブレない院長は、いつの間にか周りから応援される様になり医院経営も軌道に乗り出す。
やはり、院長は「ホンモノ」を目指さなければ上手くいかないのです。
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