物価は上がり続け、
賃金も上げざるを得ず、
さらに金利まで上昇していく。
この「三重苦」とも言える経済環境のなかで、多くの歯科医院の院長が感じている不安があります。
「うちは、この先もスタッフの賃上げを続けられるのだろうか?」
これは感覚的な不安ではなく、経営構造そのものに関わる問い です。
賃上げに対応できる企業は、実は“半分”しかない
最近の中小企業調査では、最低賃金1,500円時代に対して
・「対応できない」と答えた企業が 約48%
・「対応可能・すでに対応済み」が 約52%
という結果が出ています。
つまり、全体の約半数は、今のままでは賃上げに耐えられないというのが現実です。
これは製造業・サービス業を含む全産業の話ですが、歯科医院も例外ではありません。
むしろ、
・コスト上昇分の価格転嫁が制限され
・人件費比率が高く
・人手不足が慢性化している
という点では、歯科医院は賃上げ耐性が低い業種に入ると考えるべきでしょう。
歯科医院のスタッフでも歯科衛生士は時給1500円をすでに超えてきていますし、診療スタッフも時給を上げていかなければ人材の確保が難しくなってきている。
そんな中で歯科医院は国に「歯科医院の経営状態は良好」と判定されてしまいました。従って歯科医院は診療報酬アップには期待せずに自力で賃金アップを実施するしかないのです。
「賃上げできる企業」と「できない企業」の決定的な違い
ここで重要なのは、賃上げできるかどうかは“気合”や“努力”の問題ではないという点です。
調査や政策文書を総合すると、賃上げに対応できる企業には明確な共通点があります。
賃上げに耐えられる企業の特徴
・生産性が高い
・付加価値を価格に反映できる
・値上げ・価値提案ができる
・デジタル化・効率化投資を進めている
・財務的な体力がある
これはそのまま、「これから生き残る歯科医院の条件」とも重なります。
歯科医院は“二極化”から逃れられない
歯科医院を見ても、すでに二極化は始まっています。
賃上げに比較的対応しやすい医院
・自費や高付加価値診療の比率が高い
・「選ばれる理由」を地域内に持っている
・患者単価・LTVが高い
・業務設計が整理され、生産性が高い
対応が厳しくなりやすい医院
・保険のう蝕治療中心
・自費が価格競争に巻き込まれている
・診療は忙しいが利益が残らない
・人を増やさないと回らない
後者の医院では、賃上げ・物価高・金利上昇が同時に来ると収益改善が極めて難しくなる のです。
ベースアップ評価料は“万能薬”ではない
国は医療機関向けにベースアップ評価料という形で支援を行っています。
しかし、ここで一つ冷静に考える必要があります。
ベースアップ評価料は
「賃上げを支える補助」ではあっても、
「賃上げを可能にする経営構造」を作ってくれるものではないということです。
一時的に原資の一部にはなりますが、
・毎年続く賃上げ
・物価上昇
・金利上昇
を長期的に吸収できるわけではありません。
注目すべきは基本診察料が上がる訳ではないこと。令和6年7年に賃上げした分は令和8年以降の診療報酬では補助されないのです。
従って、ベースアップ評価料は賃上げを続けられる経営の体力を持つ歯科医院を補助する為のものなのです。
さて、先生の医院はどういう戦略で最低賃金上昇に対応されますか?
中期経営計画では最低賃金の上昇を織り込んで必要な収益を計算してくださいね。
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