今日から年末までのブログは今年のブログ投稿のまとめです。院長が令和8年の改定以降に向けて考えておくべき項目を5回に渡り書いていきます。
令和8年診療報酬改定に向けて、本体改定率3.09%という数字で決着したという報道がありました。
一見すると「久しぶりの大幅プラス改定」に見えます。
しかし、私はこの数字を見て素直に喜べないと感じています。
なぜなら、この3%という数字は、財務省が“条件付きで了承した結果”だと考えているからです。
なぜ財務省が「3%」を認めたのか?
報道を振り返ると、補正予算ではすでに、
・賃上げの実施
・病床削減・機能分化の推進
を条件に、医療機関への支援が行われていました。
つまり、「お金は出すが、構造改革は一気に進める」というスタンスです。
今回の診療報酬改定でも、
・当初は「2%程度」と報道
・最終的に「3%」で着地
しています。
最終的には首相判断だとはいえ、この流れを見ると財務省が納得するだけの“中身”がセットになっていると考える方が自然ではないでしょうか。
プラス改定の裏で、何が進むのか?
ここで重要なのは、「改定率」そのものではなく、配分のされ方です。
今後、より強まると考えられるのは、
・ベースアップ評価料を軸とした賃上げ誘導
・病床数削減と地域連携の加速
・効果が低いと判断された点数の再編・縮小
・政策医療(管理・連携・在宅)への重点配分
です。
物価高騰対策として初再診などにもいつもより多く配点されるでしょうが、現在の診療形態を変えない院長、ベースアップ評価料を算定しない院長でも十分なアップを期待できる訳ではないのです。
賃上げや連携、慢性疾患管理、居宅訪問、医療DX、病床削減等、新地域医療構想など国の政策に対応できる医療機関に集中的に配分する構造が、さらに明確になる。
これが、令和8年の3%改定の本質だと私は見ています。
歯科医院にとって何が起きるのか?
歯科医院の立場で考えると、影響はよりシビアです。
・既存点数は大きくは上がらない
・管理・連携・機能評価に対応しない医院は恩恵が薄い
・一方で、人件費・物価・金利は確実に上がる
結果として、「プラス改定であっても、十分な恩恵を受けられる医院は限られる」可能性が高いと思います。
政策は「救済」ではなく「選別」
高市政権の掲げる「医療機関支援」は、すべての医療機関を守るためのものではありません。
・国が必要とする機能を果たす医療機関を残す
・そうでないところは、自然に退出していく
そのための「ふるい」が、少しずつ細かくなっていると感じます。
そして令和8年の改定で、その網目がさらに細かくなるのです。
最後に
先生の医院は、国が「これから残したい医療機関」の条件をどれくらい満たしているでしょうか?
保険医療機関として国の政策に対応していくのか?それとも政策に一切対応せずに戦略的に道を切り拓くのか?
どちらにしても「人材採用難」「経営コスト上昇」の中で先生の医院が生き残る道を見つける必要があります。
さて、先生はどんな経営戦略を立ててこれからの10年を乗越えて行かれますか?
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