ここ数年、歯科医院を取り巻くキーワードは明確です。
・地域包括ケア
・管理・連携
・医療DX
・デジタル診療・デジタル技工
一見すると、
「最新技術に対応できない医院は遅れる」
そんなメッセージに聞こえるかもしれません。
しかし、現場を見続けてきた立場から言えば、本当に起きているのは“技術の優劣”ではなく“使いこなし能力による選別”です。
デジタル化は、すべての医院を救わない
かつて、高額なCAD/CAMシステムが登場したとき、
「これからはデジタルだ」と導入を決めた医院は少なくありませんでした。
しかし、実際に、
・投資を回収できた医院
・診療の質と収益性を両立できた医院
は、ごく一部でした。
多くの医院では、
・導入したが、戦略面・戦術面の両方で使いこなせない
・スタッフが理解できない
・ブランド化できず魅力を患者に伝えきれていない
・ワークフローが変わらない
・結果としてコストだけが増える
という結果に終わっています。
これは偶然ではありません。
国の政策 × デジタル化の本質
国が進めているのは、「デジタル機器を入れなさい」という話ではありません。
本質は、
・デジタルプラットホームの構築
・デジタル治療の推進、医療の標準化
・関連職種による情報の共有、連携の強化
・多職種との連携
・診療の再現性と効率化
・重複受診、重複検査、重複投薬の抑制
・デジタル化による医院の実態把握とコントロール
です。
つまり、デジタルを導入して“国が目指すデジタル化”に対応できる医院”だけを残していく。
デジタル化は、次世代の医療に対応できない医院を静かにふるい落とす仕組みと言っても過言ではありません。
「中途半端なデジタル化」が最も危険
今後、最も経営リスクが高いのは次のタイプです。
・戦略と活用力なしに流行だからとデジタル機器を導入する
・友人や先輩、見学した医院が導入しているから入れる
・何となく遅れたくないから投資する
しかし、
・収益ポイントが無い
・診療フローは効率化されない
・院長も戦略的活用法を知らない
この状態では、デジタルは武器ではなく、固定費を増やす重荷になります。
また、アナログ戦略であっても、
・診療の質が高い
・生産性が高い
・オペレーションが洗練されている
・患者・スタッフとの信頼関係がある
・結果、口コミで紹介患者が増えている
のであれば、十分に戦えます。
むしろ、活用できないデジタルを中途半端に入れるくらいなら、入れない方が良いというケースも多いのです。
デジタル化を進めるべき院長とは?
では、どんな院長ならデジタル化を進めるべきなのでしょうか。
ポイントは「最新技術好き(イノベーター)」かどうかではありません。
① 目的を言語化できる院長
・なぜ導入するのか
・何を改善したいのか
・患者と医院にどんなメリットがあるのか
・経営的な成果に結びつく根拠は何か
・5年後の目標達成にどう役立つのか
これをスタッフに説明でき、経営計画に盛り込める院長。
② 組織で運用する視点を持つ院長
・自分一人が使えれば良い、ではない
・教育・役割分担・評価まで考えている
③ 投資回収を“時間軸”で考えられる院長
・すぐに儲かるかではなく
・3年後、5年後にどう変わるかを見ている
④ アナログの価値も理解している院長
・デジタルは「代替」ではなく「戦略」「補完」
・人の判断・対話・気配りを軽視しない
この条件が揃って初めて、デジタル化は経営と医療の両方を支える武器になります。
静かな選別は、すでに始まっている。
ただ、国の政策も、DXも、「急に何かを奪う」ことはしません。
しかし、
・取れる点数が増える医院と取れないままの医院
・人が集まる医院と人が疲弊する医院
その差は、気づかないうちに広がっていく。
これは静かな選別です。
最後に
これからの時代、
・デジタルを使いこなせる医院
・アナログを磨き切った医院
どちらも生き残れます。
しかし、
使いこなせないデジタルを持つ医院だけが、確実に苦しくなる
院長に求められているのは、「導入する勇気」ではなく、「導入しない判断ができる勇気」かもしれません。
先生の医院にとって、デジタルは武器でしょうか。それとも、重荷でしょうか。
一度、立ち止まって考えてみていただければと思います。
![]() |
|
![]() |
|
![]() |

















