今日は、あえて強い言葉を使います。
「口管強(口腔管理体制強化加算)を取らない医院は、保険医療においては令和8年改定以降に確実に追い込まれる」
その理由を “点数の話” ではなく、
医院の存在価値・経営構造・院長の意思決定 の観点から解説します。
なぜ今、口管強が“医院の生死を分ける基準”になったのか?
口管強の本質は 単なる加算ではありません。
新たな保険医療制度に参入する為の通行手形です。
厚労省はこの基準を通して、
歯科医院に次の“役割変化”を求めています。
① う蝕中心 → 口腔機能管理の時代へ
② 単発治療 → 継続管理(P重防、SPT再構成)へ
③ 歯科単独 → 多職種連携(地域包括ケア)へ
④ 点数請求 → 健康アウトカムを生み出す体制へ
つまり口管強は、「これからの歯科医院の存在価値を証明する基準」なのです。
だからこそ、施設基準を取得して活用する医院だけに配点が集中し、非取得医院との差が開く構造が続く。
令和8年改定はその流れをさらに強める改定になります。
国の審議会では回復期医療についての論議が終わり、回復効果が低い患者はリハビリを飛ばして居宅や介護施設などでケアしていくことが決まっている。
しかし、これから大量の入院患者が居宅に戻されるのに、地域包括ケアシステムにおいて多職種連携の一員であるべき歯科医院の参加率が驚くほど低い。
だから国は地域包括ケアと連携に参加する歯科医院は優遇し、参加しない歯科医院は冷遇していくのです。
取得している医院だけが“政策の追い風”に乗れる
令和8年〜10年で強化される分野は以下の5つ。
⑴ 歯周管理(SPT再構成)
⑵ う蝕管理、口腔機能管理(口管強基準を中核とした体系)
⑶ 地域包括ケア推進、医科・多職種連携強化(生活習慣病管理連携指導)
⑷ デジタル補綴推進(CAD/CAM → フルデジタル化へ、補管見直し)
⑸医療DXの推進(標準型電子カルテ推進、情報データベースの構築、AI審査等)
それ以外、既存の算定項目には1点2点程度の増点しか見込めない。
人件費や経営コストが高騰している時代に保険診療の収益構造のベースアップが出来ない歯科医院の経営がどうなっていくのかは言うまでもないのです。
“口管強基準取らない医院の未来”は実はもう見えている
保険診療中心で口管強を取らない医院の多くは次の状態に陥ります。
① 点数が伸びない
管理系点数は今後「口腔機能評価」と結びつけられる可能性が高く、取得医院との差が自動的につく構造。
② DHの採用で不利
有能なDHは「成長できる医院」「活躍できる医院」「労働環境が整っている医院」を選ぶ時代。DH採用は口コミの世界なので医院の内情は応募者にバレているのです。
③ 高齢者増加の波に乗れない
地域に高齢者が増えていても新たに設けられた管理系項目で増点できない。
う蝕治療外来中心の医院は地域の高齢者人口の減少で一気に厳しくなる。
④ 紹介連携が広がらず、診療圏が縮小
「生活習慣病管理」は医科・介護との連携の“共通言語”。取得していない医院は多職種連携の輪に入れない。
医科が生活習慣病の患者に歯科受診を推奨する時代に連携に参加していなければ紹介されることはありません。
つまり、「やらない」という選択は地域ネットワークからの紹介を受けられないと言うことになるのです。
口管強を取らない医院の本当の問題は「点数」ではない
ここが最も重要な本質です。
口管強を取らない医院は、“施設基準を通じて未来を切り拓く姿勢”が欠けている。
こういう医院は例外なく、
・連携加算も取らない
・歯周管理の再構成にも乗らない
・医療DXも後回し
・新たな算定に必要な準備も“面倒”と感じる
・まだ何とかなると考えている
つまり、
院長がレイトマジョリティ的であるために、医院が未来に向けて素早く動き出せない。
逆に、
施設基準に積極的な院長は、医院の未来を“自ら切り拓くアーリーアダプタです。
その決断と行動の差が、令和8年改定以降 決定的な格差 になります。
医院格差は努力ではなく、
院長の意思決定(やる/やらない)で生まれます。
最後に院長へお伝えしたいこと
私は40年以上、国の医療政策を分析し、数多くの医院の成長と衰退を見てきました。
そこで分かったことがあります。
時代の転換点で“迷わず動いた院長”だけが、その後の10年を勝ち抜いた。
新たな地域医療構想に切り替わる時期、令和8年、令和10年の改定はまさにその転換点なのです。
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