令和8年診療報酬改定に向けて、歯科医院の経営環境は静かに、しかし確実に変わりつつあります。
そしてこの変化は “点数が上がる/下がる” の話ではありません。
院長が、この5〜10年を生き抜くために医院の経営構造そのものを作り直せるか?
その覚悟が問われています。
今日はその核心となる、歯科医院経営の「3つの柱」を整理します。
歯科医院経営の3つの柱
歯科医院が安定し、成長していくためには次の3つの基盤が欠かせません。
①マーケティング(市場と政策を読む力)
・国の医療政策を読み、対応方針を決める
・地域マーケットを分析し、需要がある分野に参入する
・「医院のブランド」を意図的に設計する
②医院収益向上(収益構造の設計)
・診療報酬体系を分析し、収益につながる診療の流れを構築
・自費の柱をつくり、段階的に増やす(範囲の経済性)
・経営資源を分散させず集中投下
・固定費を活かし、固定費に見合う収益を確保
③組織づくり(人と仕組みを育てる力)
・医院価値をスタッフが日常診療で表現する
・課題を担い成果を出せるリーダーを複数育てる
・教育体制や治療コンサルなど“仕組み”を導入
・一人当たり生産性を高める組織づくり
・院長が抱えている役割を段階的に手放す
本来、この3つを医院全体で育てていくことが必要です。
しかし、現実には①〜③の役割のほぼ全てを“院長一人”が抱えてしまっていることが多い。
その結果、
・院長が忙しくなる
・経営の根幹である3つの柱が手薄になる
・医療品質にも経営成果にもつながらない
という負のループに入ってしまう医院が非常に多いのです。
何が歯科医院経営に打撃を与えたのか?
「地域マーケット」と「医療政策」の急激な変化
大規模歯科医院の多くは10年以上前からこの変化を察知し、時間をかけて少しずつ①〜③を整えてきました。
一方、
①〜③を地道に強化してこなかった医院は、急に経営環境が苦しくなったように感じている。
しかし実は急に悪化したのではなく、
変化に対応できる準備をしてこなかった“差”が表面化しただけです。
私は長年、「医療政策を読んで対応策をクライアントの院長に提供」しています。
多くの院長が
「環境が変化してから対応する」=対症療法的な経営になってしまっている。
そして、
②収益力
③組織力
が弱いために、変化に対応する力が育っていない。
この弱さこそが、
令和8年改定以降を乗越えられない可能性が高い最大の理由なのです。
※過去の象徴的な例:か強診・SPT・口腔機能管理
結果を出している院長は、新たな施設基準が登場した瞬間に動いています。
・平成28年:か強診 → すぐ取得
・SPTⅡの再編 → 早期に対応
・口腔機能管理 → 仕組み化して自費化も含めて導線に組み込む
最後に:院長にお伝えしたいこと
今の時代、「今のままで何とかなる」歯科医院は存在しません。
令和8年以降の改定は、変化への対応力が問われるものになる。
①~③が弱いままでは医院の生存確率を高められないのです。
だからこそ、「いまの経営計画で5年後も大丈夫?」という問いをご自分に投げかけて頂きたいのです。
![]() |
|
![]() |
|
![]() |

















