百貨店のサービスはよく観察すると、
「誰に、どの深さで、どの距離感で接するか」が明確に設計されています。
そしてこれはそのまま 歯科医院の患者コミュニケーションの質に直結します。
百貨店は次の3層でコミュニケーションを変えています。
1.ライト層(ふらっと来店)
2.レギュラー層(馴染みの顧客)
3.ロイヤル層(高頻度・高単価・長期顧客)
これを歯科医院に置き換えると、
「初診」「治療継続」「定期管理」 の3層に分類できます。
そして、
患者層ごとにコミュニケーションを変えない医院は、離脱が増える。
百貨店同様、患者は“自分に合った温度感”の接遇を求めているからです。
では、どう変えるべきか?
ここから実務レベルで解説します。
① 初診(ライト層):安心感の設計がすべて
百貨店のライト層に対する接し方の特徴は、
・過干渉しない
・しかし視界の端で“気にかけている”雰囲気を出す
・必要な時だけスッと寄る
これを歯科に翻訳すると…
【初診患者への最適コミュニケーション】
1.「今日は◯◯の結果が出る日」「治療は〇回位で終わる」という明確なゴール提示
→ 初診で①今日は何をされるのか②診断内容③今後の大まかな治療計画が分かると安心する。
2.不安の先回り
→ 「痛みの原因は複数あるので、今からそれを一緒に整理して説明していきますね」
→「明日は痛みが残るかもしれませんが徐々に収まっていきます」
3.“押しつけない説明”で信頼を獲得
→ 百貨店がいきなり販売しないのと同じ。
→患者が何を望んでいるのかをしっかりと聞く
4.帰り際に“次回来院の意味”を必ず伝える
→ 例:「次回は検査結果をもとに、治療計画をご提案します」
これを徹底すると 治療中断率がまず下がる。
② 治療継続層(レギュラー層):関係性の質を高めるフェーズ
百貨店のレギュラー層には、
・名前で呼ぶ
・過去の購入を把握している
・前回の相談内容や顧客の好みを覚えている
など、“関係性の継続”がサービスの中心になります。
これを歯科に翻訳すると…
【治療継続中の患者へのコミュニケーション】
1.前回の状況や会話を1つ必ず拾う
→ 「前回、冷たいものがしみると仰っていましたが、今日はどうですか?」
2.その患者の“治療の優先順位”を一緒に整理する
→ 患者は複数の悩みを抱えている。その優先度整理は信頼に直結。
3.“今やっている治療の意味”を一言添える
→ 百貨店の接客でいう“プロとしての価値提供”。
4.次回治療の必要性を、患者の言葉でセルフクローズさせる
→ 「〇〇さんのご要望を実現する為に、次回は〇〇をしますね」
→ 患者が“自分で納得して選んだ”と思えることが重要。
★これにより、治療離脱率が大幅に下がり、LTV(生涯患者価値)が伸びます。
◆ ③ 定期管理層(ロイヤル層):“特別扱い感”が継続の鍵
百貨店のロイヤル層には、
・パーソナルサービス
・優先案内
・特別な情報提供
など、“あなたは大切な顧客です”というメッセージが徹底される。
歯科医院の定期管理患者も同じ。
彼らは医院の「財産」であり、「広告費ゼロで新患を連れてくる存在」。
【定期管理層へのコミュニケーションの型】
1.“健康の変化”を見守るパートナーとして接する
→ 「前回より歯ぐきの状態が安定してきてますね。素晴らしいです」
2.“予防の投資効果”を言語化して伝える
→ 「早めにケアしたから再治療にならずに済みましたね」
3.健康ステータスを可視化する(上昇実感)
→ 数値、歯周ポケットの推移、写真など
→ 上昇選好(行動経済学)を利用して継続率UP。
4.小さな成功体験を積み上げて“自己決定感”を強化
→ 「◯◯さんが日々頑張っている証拠ですね」
★定期管理の継続率が10%上がると医院の利益率は一気に改善します。
★歯科医院にはトライアル型の名残りが残っていて「新患」を重視する傾向がまだ強いので重点の変更が必要です。
◆ まとめ:コミュニケーションは“相手に合わせて変える時代”
百貨店は「お客様を平等に扱う」のではなく、
“顧客の状態に合わせて接し方を変える”ことで満足度を高めています。
歯科医院もまったく同じで、
・初診は「安心設計」
・治療継続は「関係性の深化」
・定期管理は「特別扱いと伴走」
この3つを明確に変えるだけで以下の指標が改善します。
✔治療中断率
✔キャンセル率
✔ SPT移行率
✔定期来院率
✔紹介患者数
✔ LTV(患者生涯価値)
つまり、
コミュニケーションを変えるだけで、医院経営は劇的に良くなるのです。
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