今回は“地域の人口動態によって医院の未来はまったく違う”
という本質に踏み込んでお伝えします。
結論
歯科医院の未来格差は「医院規模」でも「技術力」でもなく
“地域人口動態 × 院長の意思決定” で分岐する。
これを理解している院長は全体の2割程度。
では、具体的に何が分岐点になるのでしょうか。
1.「治療需要」は“地域によって正反対”に動く
全体ではう蝕治療ニーズは減少しますが、地域によって差が大きい。
■今後5年で「治療患者が増える」地域
・都市部で高齢者が増えている地域
・若い世代の流入が続くエリア
・高層マンションが増えている街(居住している)
・団塊の世代がまだ外来通院できるフェーズ(75〜82歳)
→ う蝕治療も補綴もまだ一定需要あり(中年~高齢者)。
→ ただし、強い競合も増えるので差別化が出来なければ需要を取れない
→治療ニーズの減少が過疎地と比べて遅れるだけで減少期はやってくる。
■今後5年で「治療患者が減る」地域
・地方都市の郊外
・多くの人が都市部に働きに出るベットタウン
・若い世代が流出しているエリア
・高齢者比率がすでに40%近い地域
・要介護者が急増し始めている自治体
→ 外来通院が困難な高齢者が増え始める。
→ 治療需要が外来から訪問へ移動する。
→治療ニーズは60歳以上の患者が支えていることが多い。
■10年後にはどうなる?
団塊世代(1947~49年生まれ)が85歳を迎える。
→ 全国的に“外来に通えない高齢者”が急増する時代 に入る。
→ 都市部でも外来中心の医院は影響を受ける。
つまり、
「今は経営的に困っていない医院」ほど、手を打つのが遅れやすい。
2.伸びる医院は「今の地域」ではなく「10年後の地域」を見て動く
未来の地域像を理解していないと、
医院は“気づいた時には手遅れ状態に陥る。
■伸びる医院が先取りしていること
・外来+管理(SPT、口腔機能、連携)にシフト
・地域の多職種との関係性を構築(ネットワーク)
・高齢患者の“中断しない導線”を整備
・口管強、歯援診1などの施設基準を積極的に取得し活用
→地域の経営環境の変化を予測し、マーケットニーズの変化を予測
→ 10年後の外来需要縮小リスク、保険医療の縮小に備えた準備。
■ジリ貧になる医院の特徴
・変化への対応が苦手なレイトマジョリティ院長
・治療の勉強はするが収益化できない
・治療中心で回し新患依存率が高いトライアル型
・歯科衛生士枠の管理患者が少ない
・訪問や連携に興味がなく外来がジリ貧になっても動かない
・施設基準を取得して活用できない
・健康支援型の医院づくりに取り組まない
→ 地域の経営環境の変化を把握しないので早めの対応が出来ない
→経営対策が小手先で後手であり成果に繋げられない(対症療法)。
3.歯科衛生士の役割を“外来治療の補助”から“地域の健康支援者”へ変えられるか
どの地域でも共通するのは、
患者のLTVを決めるのは「歯科衛生士の管理力」。
しかし、
歯科衛生士の成長環境を作れない医院は
・SPT継続率が低い
・口腔機能管理が進まない
・紹介・家族化が起きにくい
など構造的ハンデを抱える。
→ 歯科衛生士が“育つ医院”だけが管理型歯科の波に乗れる。
4.患者の数より「離脱しない導線」を設計できる医院が勝つ
■治療中心医院
・患者は入れ替わる、継続しない
・広告費が上がる
・LTVが低く経営が不安定
■管理・予防医院
・患者が続く
・家族ぐるみになる
・紹介が増える(地域の多職種からも紹介が増える)
・医院ブランドに価値を感じ患者が集まる
→ 地域人口が減っても、地域ネットワークに支えられ医院は安定する。
5.最大の分岐点:院長が“変われるか”どうか
今は問題がなくても、10年後に外来患者が減ったときに動くのは遅い。
伸びる院長はこう考えます。
「未来の地域に必要とされる医院になるために今から小さく変える」
ジリ貧になる院長はこう考えます。
「今は困ってないから様子を見る」
この違いが、医院の命運を分ける。
■まとめ:先生の地域はどちらの未来に向かっていますか?
院長が今すぐやるべきことは3つです。
① 自院の診療圏の人口動態を把握する(5年後・10年後)
・若年層の増減
・後期高齢者の増減
・要介護認定者の推移
これだけで“未来の治療需要”が見える。
② 地域の未来に合わせて医院の役割を再定義する
・外来中心のままで良いのか
・管理型歯科へどの程度シフトするか
・多職種連携は必要か
③ 小さな一歩でよいので、今すぐ変える
・SPT継続率を見直す
・口管強取得に向けて情報収集
・医科連携の開始
・歯科衛生士の専用ユニットと施術時間の確保
未来は「今日の小さな意思決定」の積み重ねで決まります。
先生の開業されている地域がどんな未来に向かうのか、一度私と一緒に分析してみませんか?有料で「経営環境分析」を提供させて頂きます。
![]() |
|
![]() |
|
![]() |

















