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◆歯科医院経営ブログ

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「数字を上げてもスタッフが幸せにならない理由」 ~経営指標に“人間軸”を入れる時代へ~  [2025年10月27日]
おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
 
私は大阪の開業医団体で30年勤務し、院長の近くで経営と医院づくりを応援したいと独立して13年が経ちます。
このブログでは歯科医院経営とマネジメントに役立つ情報を発信します。
しかし、答えは書きません。院長によって経営状況は違いますのでスタッフと一緒に考えて頂きたいからです。
もちろん、経営のサポートのご依頼は喜んでお引き受け致します。
では、本日のブログもご自分の医院の状況に照らして考えてみてくださいね。
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今日は「数字の裏側にある経営の真実」シリーズ第4回です。。

 

「今期の売上は過去最高でした!」

「患者数も増えています!」

そう院長が語る一方で、スタッフの表情が晴れない医院を、私は数多く見てきました。

数字上は成功しているのに、チームは疲弊し、離職者が増え、院内の空気がどこか冷えている。

院長と幹部スタッフは元気なのですが、他のスタッフは永遠と続く数字目標に辟易としているのです。

この現象には、明確な理由があります。

数字は上がっても、人間軸が欠けているからです。

 

「成果主義」は医院を強くするどころか、脆くする

「数字を上げよう」「効率を高めよう」「生産性を上げよう」

こうした言葉は経営に不可欠なものですが、それだけでは人は幸せになれません。

なぜなら、数字を追う過程で「理念」と「人間の尊厳」が後回しにされてしまうからです。

スタッフが数値目標の達成ばかり意識すると、

何のためにやっているのかを見失う

人と比べることが行動の基準になる

“目標数字に届かなければ価値がないと感じてしまう

・”患者より効率を優先している”と感じ理念の言葉を空しく感じてしまう

その結果、心のエネルギーが削がれ、医院全体が成果疲労に陥るのです。

成果主義の先に残るのは「数字」ではなく「疲弊」です。

 

「理念に動機づけられた人」は、強くて優しい

理念とは、「医院が何のために存在するか」という原点です。

スタッフがその理念に心から共感し、自分の仕事が理念を体現していると感じられたとき、その人は圧倒的に強く、そして優しくなります。

・指示されなくても動く

・困っている仲間を助ける

・患者のためにもう一歩踏み込む

これらは「仕組み」では生まれません。

理念と自分がつながった瞬間に生まれる行動の自発性なのです。

そして、この状態のスタッフは、仕事を通じて自尊感情を高めます。

自尊感情が高いスタッフは、幸福感も高い。幸福感が高いスタッフは、患者満足も高める。

理念に動機づけられた医院は、結果として経営的にも強くなるのです。

 

「数字で動かす」経営の限界

数字には力があります。

しかし、数字には人の心を動かす力はないのです。

数字で人を動かそうとすればするほど、

やらされ感が生まれる

コントロールが強くなる

創造性が失われる

歯科医院でこれを繰り返すと、院長と幹部が「燃えている」のに、チームが「冷めている」という状態になります。

つまり、数字は経営の結果であって、動機ではない。

経営が人間軸を失った瞬間、数字の意味も失われるのです。

 

医療の品質も、経営の成功も、「人間軸」からしか生まれない

歯科医療は、技術・知識・制度だけでは成り立ちません。

人と人が関わり、信頼が生まれ、その信頼が治療成果を支えます。

医療の品質は「人間の品質」に比例する。

その人間の品質を高めるためには、

「人を数字で測る」のではなく、「人の成長を信じて支える」文化をつくることです。

理念を実感し、成長を実感し、貢献を実感できる。

その3つの実感が揃ったとき、人は仕事に誇りを持てるようになります。

 

⑤ “人間軸経営を始める3つのステップ

(1)「理念を数字に翻訳」する

「理念は理念、数字は数字」ではなく、

理念を達成するために数字を使う。

たとえば、

・「患者の健康寿命を支える医院に」定期来院率の向上

・「地域に安心を提供する医院に」紹介率の増加

数字に理念のストーリーを埋め込むことが第一歩です。

 

(2)「数値目標」ではなく「成長目標」を共有する

数字を追う代わりに、

「何ができるようになりたいか?」

「どうすれば理念を形にできるか?」

をチームで話し合う。

これにより、スタッフは目標の主人公になれます。

 

(3)「理念行動」を可視化して評価する

数字よりも、理念に基づいた行動を称賛する仕組みをつくる。

・患者への寄り添い

・仲間へのサポート

・医院の改善提案

これらを見つけ、言語化し、院内で共有する。

「理念が日常で生きている」ことをチームで確認するたび、医院の文化は一段深くなります。

 

⑥先生の医院ではどうでしょうか?

1.先生の医院では「理念」と「数字」はつながっていますか?

2.数字を追うことで、スタッフが疲弊していませんか?

3.スタッフが「自分の仕事に誇り」を持てる環境をつくっていますか?

4.医療の品質を人の成長から支える仕組みはありますか?

5.理念を感動として共有する場を、定期的に設けていますか?

 

まとめ

数字は医院を動かすが、人間軸は医院を育てる。

理念に動機づけられたスタッフは、数字を追わなくても結果を出す。

一方、数字で追い詰められたスタッフは、数字を追っても成果を出せない。

医療の品質も、経営の成功も、最後は人の心がつくる。

人を大切にする医院は、数字にも、信頼にも、幸せにも強い。

経営の中心に「人間軸」を取り戻すことが、これからの歯科医院の最強の戦略になるのです。

 

次回はシリーズ最終回:

「理念経営を文化にする三方よしで医院を進化させる」

をお届けします。

理念がスローガンから日常の判断軸になるまでのプロセスを解説します。

 

★こちらもご覧ください。
 
 
 
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