ここ数年、歯科医院の院長と話をしていると、こんな言葉を聞くことが増えました。
「令和に入って、診療報酬改定内容が厳しくなった気がする」
「人件費や材料費が上がっているのに、点数は増えない」
「勤務医や歯科衛生士だけでなく診療スタッフの募集にも応募がない」
しかし、これは“偶然”でも“一時的な不調”でもありません。
国は今、意図的に企業と医療機関の“選別”を始めているのです。
国はこれから何をしようとしているのか?
結論から言えば、
国は「国の発展に資する企業・医療機関だけを残す」ために、政策・制度という名の“ふるい”の網目を少しずつ細かくしています。
しかも、それは一気にではありません。
気づかれないように、段階的に、しかし確実に。
・最低賃金の引き上げ
・ベースアップ評価料
・施設基準の高度化・複雑化
・管理・連携・DXへの重点配分
・既存点数の再編・縮小
これらはすべて、同じ方向を向いた政策です。
「すべての医院を守る」政策から「役割を果たせる医院を選び、そこに資源を集中する」政策へ。
2027年からの新地域医療構想でその政策は本格的に推進されるのです。
“ふるい”はすでに回り始めている
令和8年診療報酬改定を見据えた議論の中でも、方向性は明確です。
・治療中心 → 管理・重症化予防中心
・外来単独 → 連携・在宅・地域包括
・属人的診療 → 役割を果たせる仕組みと体制構築
・プロセス評価 → アウトカム評価
これは裏を返せば、
「その体制を作れない医院は、点数が伸びない構造にする」という宣言でもあります。
・口腔管理体制強化(口管強)
・SPT、口腔機能管理、生活習慣病連携管理
・多職種連携、訪問
・デジタル対応
これらは“加点項目”ではありません。ふるいの網目そのものです。
そして、ふるいの網目は標準的電子カルテの導入が進みアウトカム評価が始まるともう一段細かくなるのです。
選別は“規模”ではなく院長の“姿勢”で起こる
ここで重要なのは、国が残そうとしているのは「大きい医院」ではない、という点です。
残るのは、
・政策の意図を読み取ろうとする院長
・変化を前提に経営を考えている院長
・自院の役割を定義し直せる院長
・投資と回収を冷静に判断できる院長
逆に言えば、
・今まで通りを守ろうとする
・制度を「面倒なもの」と捉える
・経営を勘と経験だけで回している
そうした医院ほど、ふるいの網目に残りにくくなり下に落とされるのです。
問われているのは、院長の“覚悟”
これは不安を煽る話ではありません。
現実の話です。
国はこれからも、
・保険医療機関の役割を高度化し
・医療DXを推進し
・点数配分を変え
・施設基準を引き上げ
その変化に対応できる医院を選び残し続けます。
その中で、院長に問われているのはただ一つ。
「選別されるふるいの下に落とされる側」ではなく「国に選ばれ、ふるいの中に残る覚悟が院長にあるか?」
ということです。
最後に
ふるいの網目は、来年急に細かくなるわけではありません。
すでに少しずつ、しかし確実に細かくなっています。
そして日本の企業も医療機関も数が減っていき2040年頃には経営力がある経営体だけが残される様になっていくのです。
日本の人口は徐々に減少を続け2042年以降は一気に減少が加速する。だから、医療提供体制の再編統合を続け国が求める役割を果たせない医療機関は自然淘汰される様にハードルを上げていく。
それがいま国が進めている医療政策なのです。
だからこそ、
「そのうち考える」ではなく
「今、どう備えるか」が問われている。
この問いに正面から向き合える院長だけが、これからの10年を生き残っていくのだと、私は思います。
先生の医院は、国の“選別”の後に、ふるいに残る覚悟がありますか?
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