今日は、歯科医院経営においてとてもシンプルで、しかし多くの院長が見落としている核心テーマを扱います。
それは、
先生の医院では1万円を投資して、いくら回収できていますか?
という問いです。
この問いへの答えが曖昧なまま経営していると、医院は知らず知らずのうちに“経営資源の浪費”を続け、気づいた時には収益改善が難しくなってしまいます。
なぜ歯科医院は「使った経費」に見合う収益を確保できないのか?
例えば、
・スタッフを1名採用した
・ユニットを1台増設した
・新しい機材を購入した
これらは全て“投資”です。
しかし、その投資に見合うリターンが具体的に設計されていなければ、
投資は「負債」に変わってしまう。
歯科医院経営でうまくいかない大きな理由の一つが、まさにここにあります。
「必要だから」「良いと思ったから」という理由だけでお金を使い、“その1万円がいくらを生み出すか” が設計されていない。
結果として、限られた経営資源が散漫に使われてしまうのです。
保険医療は“80の品質”を求められるが、治療によっては保険診療の評価は“60”(※実際の数値ではなく仮定の数値です)
国は保険医療機関に対して「80の治療品質」を求めます。
しかし、歯科の診療報酬の仕組みは“80の品質を達成しても60しか評価されない”という構造。
つまり、
・80以上の品質を提供したい
・でも保険では60しか評価されない
というギャップが生まれる。
その差額▲20は、
・自費診療
・他の分野で稼ぐ収益
・経営努力による生産性向上、効率化
などで埋めなければなりません。
保険診療中心であっても院長には「実現したい医療」がある。
私は「保険で良い歯科治療を」を掲げる開業医団体で30年働いていましたので、「保険でも良い治療をしたい」と奮闘される院長を尊敬しています。
ただ1つだけ、厳しい現実があります。
“1万円を投資しても高コスト体質で利益が増えない医院”は「持続可能な経営」とは言えないからです。
限界利益80%ではもう厳しい時代
昔であれば、
売上 − 変動費 = 80%(限界利益)で十分経営が回りました。
ですが今は違います。
・人件費(最低賃金の上昇)
・社会保険料
・光熱費・材料費
・機器更新コスト
・IT / DX コスト
固定費が増え続けているため、限界利益80%では経常利益は圧迫されてしまう。
これは構造の問題であり、努力だけでは打ち勝てません。
対策はシンプル: “1万円あたりの収益性”を高めること
ここが今日の本質です。
何に1万円を使い、それがいくらのリターンを生むのか?
この問いを常に持つだけで、経営判断の質は劇的に変わります。
ただし、医院によって正解は違います。
ここでは答えは書きませんが、1つだけヒントを出します。
それは、
“患者単価”を上げること(治療単価ではありません)です。
もちろん、患者単価を上げるのにコストが大幅に増えれば意味がありません。
1000万円もする診断システムを導入すると言う話ではなく、日常診療を見直すことで患者単価は上げられるのです。
では、先生に質問です
✔先生の医院では1万円のコストに対していくらのリターンを生み出せていますか?
✔そのリターンは、昨年より“増えていますか?”
✔増やすために、何を変える必要がありますか?
この3つの問いに向き合うことが、令和8年以降の歯科医院経営を守る第一歩なのです。
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