今日は国の医療政策を分析して、最近私が感じていること等を書いてみたいと思います。
開業医団体で身についた医療政策分析力
私は大阪の開業医団体で30年勤務した後、歯科医院の院長を直接応援したいと独立開業して13年経ちました。
開業医団体時代に身についたのは国の医療政策を分析する力。
役員のドクターが参加される会議などでは常に医療政策に関する分厚い資料が出されていましたし、その政策がどういう狙いを持つものなのかの論議がされていましたので、自然と自分でも医療政策を分析し未来を予測する習慣が身についたのです。
40年間国の医療政策を分析してきて分かったのは診療報酬改定は未来の医療制度を作る為の準備手段であるということ。
例えば「〇〇管理料」に「〇〇等管理料」と「等」がついただけで、それは政策的に重要な意図があるのです。
いまお伝えできるのは、
・国は2040年の保険医療像をバックキャストして医療政策の決定と診療報酬改定をしている
・これから医療の提供量ではなく、包括点数+成果報酬で評価されるようになっていく
・国が保険医療機関に課す施設基準等のハードルはまだまだ上がっていく
・経営の体力をつけなければ国の要望と医療DX、歯科医療のデジタル化には対応できなくなる。
・エビデンスと算定ルールに基づかない算定はレセ提出前にエラーとなる時代がくる
・保険医療も高収益分野は引き下げられる様になっていく
でしょうか。
国は国の政策実現に協力してくれ経営の体力がある多機能型保険医療機関を優遇し、それ以外の保険医療機関がある程度淘汰されても仕方が無いと考えていると感じます。
高市期中改定がどれ位の幅になるのかは分かりませんが、病院や介護を重視し歯科医療への配分は少ない気がします。そして、期中改定が来年の定時改定にも影響を与えるでしょうから後半戦の論議と12月の改定率決定に注目が集まるのです。
生成AI活用には質の高い大量のデータと使う人の能力が必要
医療政策の分析はもの凄く大変な作業です。
最近は生成AIに私の持つ分析ノウハウや視点、分析結果をインプットしてカスタマイズしたので、医療政策の分析作業もやり易くなり幅も拡がりました。
生成AIも、ネットで拾える情報だけでは浅い分析の生成結果しか出てこないのですが、意識的に私の見立てを教え信頼性の高い情報をデータベースに入れてやることで生成結果が信頼性が高いものに近づいてきたのです。
勿論、生成AIはウソも生成しますしデータも古いものを拾ったりしますので、生成結果の裏取りは必要ですが・・・。
毎日、AIの生成結果にダメ出ししたり、質問で違う視点を与えたり、間違いを指摘したり、決めつけを排除したりしています。
大手企業などは生成AI活用の精度を高める為にデータ収集に躍起になっているようです。
個人で集められる信頼性が高いデータの量は限られます。でも生成AIの特性と限界を知ってを使うならば院長が歯科医院経営を進化させれらる可能性は高いと感じます。
そのうち、事前問診票(デジタル)を基に感情分析AIがアバターで初診カウンセリングをおこない患者を分析し、一瞬で初診カウンセリングシートをドクターに提示する時代になると思います。
ちなみに、2030年よりずれ込みそうですが医療DXは「請求情報」「診療情報」「医院情報」「経営情報」を丸裸にしますので、今から根拠に基づく診療と算定、経営を確立していってくださいね。
国は歯科医療機関に高度な診療レベルを求めている
生成AIを活用することで2030年に向けた医療改革、2040年に向けた医療改革の全体像が見える様になってきました(精度は70%程度)。
とは言ってもあくまでも予想なのでここでは詳しくは書けませんが、国が目指す2040年の保険医療制度を見て感じたのが、
「国が目指している事は理想ではあるが、どれだけの保険医療機関が対応できるだろうか?」という疑問でした。
というか、多くの院長が国が進める医療改革について知らない。
「口管強基準」でさえ取得する歯科医院が少ない中で、これから国に求められることが高度化していく保険診療についていける院長がどれだけいるのだろうか?
国が歯科医療に求めていることすべてに対応できる歯科医院は少ない。だから院長はどこに対応してどこを連携で補うのか(または捨てる)を決める必要があると思います。
経営資源と得意分野、競合状況、経営環境、マーケット需要から見て、どこに経営資源を集中投下し、どこにポジショニングすれば経営が成立するのかを考え抜く必要があるのです。
まだまだ昭和型の医院経営をしている院長が多い
地域によりますが、歯科医院経営は段階的に「トライアル型」から「リピート型」に移行していきます。
国の資料にも「治療型→治療+管理型」と書かれている様にマーケット需要は変化してきているのです。
歯科医院経営の答えは
・地域の経営環境
・地域の歯科医療需要
・医院の経営資源
によって変わります。
う蝕需要もあと20年は十分ある地域もありますが、これから大幅に減少していく地域もある。
とは言っても「保険のう蝕治療」は採算性が悪くなっていますし、国の政策上、「歯冠修復及び欠損補綴」に保険点数が重点配分される可能性も低いのです。
医院によってユニット台数も勤務ドクターや歯科衛生士の人数も違いますので、やれる対策が医院によって違う。すべての院長に使える経営対策が限られるのもブログを書く上での私の悩みです。
終わりに
私としては国の医療政策とそれに伴う診療報酬改定の方向性、経営環境やマーケット需要の変化を事前に把握して経営対策を進めて頂きたいのですが、いまだに診療報酬改定も「既存の算定項目が何点上がったか?」でしか見ない院長も多い気がします。まあ、それだけお忙しいのでしょうが、、、
現在、都市部や都市部の郊外で開業する55歳以上の院長で承継を考えられていない場合には何とかリタイアまで逃げ切れるでしょうが、それ以下の年齢の院長や承継を考えられている場合には2040年までを覚悟して乗り切る必要があると感じるのです。
地域医療と来院している患者、そしてスタッフとご自身の未来を守る為に頑張って頂きたいです。
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