歯科医院の現場でよく聞く院長の悩みがあります。
・「スタッフに同じことを何度言っても定着しない」
・「指示が ‘やらされ感’ になり実行力が弱い」
・「スタッフが行動の意図を理解していない」
実はこれ、スタッフの理解力でも性格の問題でもありません。
院長の“伝え方の順番”がズレているだけです。
人は「理由に納得しない行動提案」では積極的に動かないのです。
しかし、目的が見えた瞬間、行動の意味がつながり、スタッフの自発性が生まれます。
そこで今日のワンポイント改善は
院長の一言で現場が動く “目的→理由→行動” テンプレート
をご紹介します。
なぜ院長のスタッフへの指示で理想通りに動かないのか?
指示内容が「行動」では動かない
ほとんどの院長の伝え方はこうです。
「次回予約はDHが必ずその場で取ってください」
「ドクターがユニットに到着したらすぐに治療できる様にしてください」
「治療中断を減らしてほしい」
これらはすべて行動(DO)だけを伝えている状態。
しかし、人が動く順番は逆であり、
① 目的(WHY) → ② 理由(BECAUSE) → ③ 行動(WHAT)
の順で脳は理解し、納得し、行動が生まれます。
つまり、院長の指示が上手く機能しないのは順番が行動→理由→目的と逆になっているからです。
上記の3つの指示例ではスタッフが大切なことだとは感じないのです。
今日すぐ使える “目的→理由→行動” テンプレ
以下を読むだけで、伝え方の質が劇的に上がります。
①目的(WHY)
= 何のためか?誰のためか?未来はどう変わるか?
②理由(BECAUSE)
= なぜ必要なのか?放置すると何が起きるのか?
③行動(WHAT)
= 具体的に何をしてほしいのか?
実際に医院でよくある場面で使ってみましょう。
■ 【実例①】
次回予約をDHにその場で取ってほしい場合
× 行動だけ
「次回予約は必ず担当DHが取ってください」
〇 “目的→理由→行動”
目的:
「治療と定期管理が必要な患者さんの継続来院率を高める」
理由:
「患者さんの歯周病を改善し生活習慣を改善するには、担当制で患者との信頼関係を築いているDHが次回の予約を取った方が効果的」
行動:
「だから、DHは施術終わりに必ず、動機づけをしながら次回の約束をしてください。」
→ スタッフの納得度が上がり、行動が自然に定着する。
■ 【実例②】
診療前のカルテチェックを徹底してほしい場合
×「予約表とカルテを見て準備しておいて」
〇目的:
「診療をスムーズにして、患者さんに安心感のある時間を提供したい」
理由:
「準備不足だとバタついて、患者さんが不安になり、治療理解も下がってしまうから」
行動:
「だから必ず当日担当する患者のカルテを事前に確認し、治療内容を把握し、患者の不安や要望を把握した上で必要な器具・材料を準備し、患者に寄り添う準備をしてほしい」
■ 【実例③】
予約希望の患者の予約確定率を高めたい場合
×「もっと新患を入れて」
〇目的:
「当院受診を希望される方の受入れ枠を増やす」
理由:
「当院に信頼を寄せてくださる方の期待にできるだけ応える為」
行動:
「予約枠がいっぱいで最終的に予約を確定できなかったとしても、患者が”電話して良かった”と感じる患者に寄り添った電話対応」
“目的→理由→行動”がスタッフの行動に繋がる理由
行動経済学 × 組織心理学の視点
① 人は「意味」に動かされる(内発的動機)
行動だけ伝えると外発的動機(やらされ感)になるが、目的が先にあると内発的動機が動く。
② WHYがあると情報の残存率が高まる
心理学で“理解の深さが行動を変える”と呼ばれる原則。
③ 医院全体で行動が揃い、質が均一化する
行動の背景が共有されると、各スタッフの判断が同じ方向に揃う。
まとめ:
指示が通らない医院は「伝え方の順番」が間違っているだけ
・行動だけ伝える → やらされ感
・目的から伝える → 自発性と継続性
院長の伝え方が変わるだけで、医院の再現性・動き・患者対応の質が一気に上がるのです。
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