診療がバタつく原因のひとつは「材料・器具の管理不備」
診療を見ていると、アシストがバックヤードへ走っていったり、隣のユニットから器具を借りに行く姿を見かけます。
これは「必要な器具や材料がその場にない」「あると思ったのに補充されていない」という管理の不備が原因です。
患者の前で慌てている姿は医院の信頼性を下げるだけでなく、オンタイム診療が崩れ、結果的に患者満足度の低下やスタッフの疲弊につながります。
在庫や配置の工夫が“余計な動き”を減らす
・各ユニットにどこまで器具や材料を置くか
・バックヤードにしか置かないものは何か
・補充のルールをどう回すか
・治療内容に応じてユニットにもっていく器具のセット内容を何にするか
これらを明確に決めることで、無駄な移動が減り診療は格段にスムーズになります。
つまり「在庫・配置の仕組み化」が医院全体の効率を左右するのです。
診療効率を下げるルールや仕組みの問題
・ユニットごとに材料や器具の配置がバラバラで、どこに何があるかわからない
・使った器具を定位置に戻さない → 次の人が探す→無いから隣のユニットのものを拝借
・消耗品の補充を“気づいた人がやる”曖昧ルールで結局抜けが出る
・高額機材(タービン・コントラなど)が専用ではない為に雑な扱いになり故障
・バックヤードに途中で放置された作業があり、他の人に上手く引き継げない
・摩耗したバーやファイルの交換基準が不明確、不要なバーが入っている
・その治療に必要な器具を準備できずに何回もバックヤードに取りに行く
・ドクターがアシストスタッフに依存し過ぎてスタッフがその場に固定される
これらは一見小さなことですが、積み重なると医院全体の診療効率を大きく下げる要因になります。
今日からできる「在庫・配置・発注チェックリスト」
医院で使えるようにシンプルにまとめました。診療後や週末に確認すると効果的です。
在庫・配置・発注チェックリスト(例)
□各ユニットに置く器具・材料リストと位置は統一されているか?
□バックヤードにしか置かないものは明確にルール化されているか?
□使った器具・材料を「必ず元の位置に戻す」習慣が徹底されているか?
□補充の役割担当者が決まっており、記録・チェックが行われているか?
□消耗品(バー・ファイル・グローブなど)の在庫は“最低基準”が決められているか?
□入荷に必要な日にちを基に発注基準が決められているか?
□高額器具の動作確認・メンテナンスはルール通り実行されているか?
□新人スタッフでも「どこに何があるか」迷わずわかる配置になっているか?
例えば、滅菌機なども故障を防ぐ為の日々のメンテナンス方法が決まっているのですが、スタッフが知らないことが多いです。タービンの故障や配線の断線などはドクターの使い方に問題があることが多い。皆が共有して使うものは雑に扱われることが多いのです。
まとめ
診療のバタつきは、患者対応や治療技術の問題ではなく、 「器具・材料の管理」という基本的なオペレーション不備 から生まれているケースが多いものです。
在庫や配置のルールを整え、チェックリストを活用するだけで、医院の診療は驚くほどスムーズになります。
そしてこれらの不備は診療効率だけでなく「安全」に直結するのです。
次回は「予約表とカルテの事前準備」をテーマに、診療前の段取り力をどう高めるかをお伝えします。
![]() |
|
![]() |
|
![]() |