歯科医院のチームビルディングに関わっていて私が一番重要だと感じるのは 「院長がスタッフの成長を信じること」 です。
スタッフにはそれぞれ異なる個性を持ち、同じ教育を受けても成長スピードは異なります。
問題なのは、その違いを「有能」「無能」というレッテルにしてしまうこと。これがチームの成長を阻害してしまうのです。
ちなみに院長がスタッフにレッテルを貼る場合、幹部スタッフも入職者を同様に評価してレッテルを貼るようになります。
成長を導くのに必要なのは「評価」ではなく「全受容」
院長や幹部はつい「覚えが早い人(=優秀)」「覚えが悪い人(=優秀ではない)」と区分けしてしまいます。
しかし本当に必要なのは「評価」ではなく 「全受容」 です。
何故なら
・評価=上から下へ与えるもので、課題が院長の手元に残る
・全受容=相手をそのまま認め、成長の課題は本人の手元に残る
スタッフが自分で成長する為の課題を選び、自ら成長に取り組む状態をつくることができれば、モチベーションは外発的ではなく 内発的動機 に変わっていきます。
だから成長課題は本人の手元にあり続ける必要があるのです。
ティーチングとファシリテートの使い分け
もちろん、入職後3年までのスタッフには 基礎教育(ティーチング) が必要ですし、すべてのスタッフに成長度と獲得スキルに合わせた教育が必要です。
先ずはテクニカルスキルを徹底的に教え込み、最低限の自己効力感と安心感を持たせることが先決。
その後、スタッフに心の余裕が出てきたタイミングでヒューマンスキルを教えていき、徐々に 自走化へのファシリテート を始めるのです。
スタッフによってスキルを身につけられるスピードは違いますので、画一的な運用にならない様に注意が必要です。
スタッフの成長を支える具体的アプローチ
基礎教育を終えたスタッフの成長を院長や幹部が支えるためにできることは数多くあります。
1.その人が行きたい方向にそっと背中を押し、粘り強く見守る
2.質問を通して考え実践する機会をつくり、答えを自分で見つけさせる
3.外部での学びや交流の機会を与え、刺激を受けてもらう
4.ロールモデルとなるリーダーの下でサブリーダーを経験させる
5.院長が大切にしている価値観を共有し、在り方について話し合う
6.書籍を読む機会と皆で理想について話し合う機会を多く設ける(啓発本に偏り過ぎない)
ここからは「委任」を増やし「指示」を徐々に減らしていきます。出来ることが増えていくと「委任」のウェイトが増えていく。「委任」する為には質の高いティーチングが必要ですので、先輩スタッフに「教えてあげて」と丸投げするのは厳禁です。
上記1~6の取り組みが、スタッフの内発的な成長を引き出すきっかけとなります。
スタッフの内発的動機のスイッチの場所は人によって違いますし、スイッチが入るタイミングも違う。教育や経験が足りないと本人が探してもスイッチが見つからない場合もあります。ただ、院長はスタッフが自らの意志でスイッチを押せる様に様々な経験をさせてあげることが大切。少なくとも院内に成長環境や刺激的な経験が無い場合にスタッフの内発的動機のスイッチが入ることは無いのです。
権限委譲では「渡したバトンを奪わない」ことが大切
多くの院長はスタッフに権限を与えたつもりでも、無意識のうちにバトンを取り戻してしまいます(またはスタッフからバトンを返却される)。
これではスタッフの自走の準備は出来ずに、結局「院長の指示待ち」になってしまうのです。
私はクライアント院長のコーチなので、「スタッフは渡したバトンを院長に戻そうとしますよ。どうされますか?」とか「丸投げでなく、スタッフが自分たちで答えを出し形にしていける様にサーバント的に支えましょう。さて、具体的にどういう方法が浮かびますか?」と院長をファシリテートしています。
ちなみに権限委譲には段階がありスタート時点は「ティーチング」から始まります。権限委譲はその最終段階ですので質の高いティーチングなしに権限を委譲してはならないのです。
まとめ
歯科医院には、様々な個性を持つスタッフが集まります。
その一人ひとりの成長を 「信じ、見守り、粘り強くサポートできる院長」 こそが、医院を強くしていくことが出来る。
院長一人でできる事は限られるからです。
先生の医院では、スタッフの成長を信じて見守る仕組みはできていますか?
何から取り掛かって良いのかが分からない場合には経営相談にお申込みくださいね。
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