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◆歯科医院経営ブログ

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スタッフが“自分から動く”チームをどう育てるか ~「コントロール依存」から抜け出し、内発的動機を育てる医院経営~  [2025年10月15日]
おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
 
私は大阪の開業医団体で30年勤務し、院長の近くで経営と医院づくりを応援したいと独立して13年が経ちます。
このブログでは歯科医院経営とマネジメントに役立つ情報を発信します。
しかし、答えは書きません。院長によって経営状況は違いますのでスタッフと一緒に考えて頂きたいからです。
もちろん、経営のサポートのご依頼は喜んでお引き受け致します。
では、本日のブログもご自分の医院の状況に照らして考えてみてくださいね。
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今日は、「指示しなくても動くチーム」をテーマにお話しします。

多くの院長が抱える悩みは、こうです。

「スタッフが自分で考えて動かない」

「こちらが指示しないと何も進まない」

しかし、私はこう考えます。

スタッフが動かないのではなく、「自ら動く余白を与えられていない」だけなのです。

 

指示・叱責・報酬に頼るコントロール型経営の限界

歯科医院の現場では、

・「もっと空気を読んで早く動いて」

・「前に教えたでしょ、何で出来ないの」

・「なんで言われるまでやらないの?」

・「プロジェクトで成果が出たらボーナスで評価するからね」

という言葉が日常的に飛び交います。

これらはいずれも、外発的コントロール(外からの動機づけ)です。

確かに短期的には行動を促せます。

しかし、それを繰り返すほどスタッフはこう感じます。

「どうせ何をしても評価されない」

「言われたことだけやっていればいい」

つまり、自律性(自分で決めて動く力)が奪われてしまうのです。

 

自走するチームをつくる鍵は「自己決定理論」

心理学者デシとライアンが提唱した「自己決定理論」は、

人が内発的に動機づけられるための3つの要素を示しています。

自律性(Autonomy

自分で考え、選び、行動できているという感覚。

「やらされている」ではなく、「自分がやりたいからやっている」状態。

有能感(Competence

自分の成長を実感し、役に立てているという感覚。

努力が成果に結びつく経験が、モチベーションを高める。

関係性(Relatedness

自分が仲間に受け入れられ、信頼されているという感覚。

チームの一員として認められている安心感。

この3つが満たされると、人は自ら考え、動き、改善し続けます。

 

「自己決定」を生み出すために、院長が変えるべき3つの関わり方

指示ではなく「問い」を使う

指示は思考を止めますが、「問い」は考える力を引き出します。

例:
×「○○をやっておいて」

〇「この課題を解決するには、どんな手順が良いと思う?」

スタッフが自分で答えを考え、選択できる余白をつくることが第一歩です。

 

成果よりも「過程」を認める

報酬や評価で結果だけを褒めると、「正解探し型スタッフ」が増えます。

しかし、プロセスを認めると「成長実感」が得られ、内発的動機が強まります。

例:
「その準備の仕方、工夫してるね」

「ミスの振り返り、すごく整理されてたね」

「〇〇さんのミーティングの進め方とまとめ方は課題が明確になって有難いよ」

結果より努力のプロセスに焦点を当てることが、自走型の第一歩です。

 

権限委譲ではなく「意思決定委譲」

院長がすべてを決めてしまうと、スタッフは受け身になります。

しかし、「どう進めるかは任せる」と言われると、自律性が生まれます。

例:

・「この患者説明用ツール、どう改善したらもっと伝わると思う?」

・「新人教育の進め方を、あなたのやり方で組み立ててみて」

決定権を少しずつスタッフに返していく。

これが自己決定の連鎖を生む仕組みです。

 

実践チェックリスト:自走型チームに変わるために

チェック項目

Yes / No

指示や叱責より「問いかけ」を増やしているか

 

成果だけでなく、努力や改善のプロセスを承認しているか

 

スタッフが自分で計画を立てる場を定期的に設けているか

 

ミーティングで意見を出しやすい雰囲気があるか

 

院長自身が任せる勇気を持てているか

 

Yes」が3つ未満であれば、

医院のチームマネジメントはまだ外発的コントロール依存の段階です。

 

まとめ:スタッフは動かすものではなく育つもの

チームの主体性は「院長が与える」ものではなく、

「院長が奪わない」ことから始まります。

スタッフは、本来自ら成長したい”“役に立ちたいという欲求を持っています。

それを抑え込んでしまうのが、過剰なコントロールなのです。

動かすリーダーから動きたくなるリーダーへ。

その変化こそ、医院の成長の転換点です。

 

ひとこと

コントロール型の組織では、「従うスタッフ」は育ちますが、「考えるスタッフ」は育ちません。
しかし、自己決定できる環境を整えれば、スタッフは驚くほど自走します。

 

経営の成果は「人を動かす力」ではなく、「人の内にある力を信じ引き出す力」で決まるのです。

 

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