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◆歯科医院経営ブログ

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チーム内で“安心して意見を出せる文化”をどう育てるか? ~「心理的安全性」は、機能するチームのための土台である~  [2025年10月16日]
おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
 
私は大阪の開業医団体で30年勤務し、院長の近くで経営と医院づくりを応援したいと独立して13年が経ちます。
このブログでは歯科医院経営とマネジメントに役立つ情報を発信します。
しかし、答えは書きません。院長によって経営状況は違いますのでスタッフと一緒に考えて頂きたいからです。
もちろん、経営のサポートのご依頼は喜んでお引き受け致します。
では、本日のブログもご自分の医院の状況に照らして考えてみてくださいね。
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今日は、チームマネジメントで最近よく聞く言葉、

「心理的安全性(Psychological Safety)」についてお話しします。

Googleやトヨタ、NASAなども組織文化の基盤として重視しているこの概念。

しかし、その本質を誤解しているケースが非常に多いと感じます。

 

「心理的安全性」とは仲良しチームのことではない

心理的安全性とは、

ハーバード・ビジネススクール教授 エイミー・C・エドモンドソン が提唱した概念です。

彼女の定義は、

「チームのメンバーが、罰や恥を恐れずに発言・質問・提案できる状態」

つまり、安心して意見を出せる文化のことです。

しかし、ここで大切なのは、心理的安全性=居心地の良さではないという点です。

心理的安全性が高いチームは、むしろ「建設的な衝突」が多い。

 

エドモンドソンは著書でこう述べています。

「心理的安全性は機能するチームづくりの前提条件であり、それ自体がゴールではない」

歯科医院の現場で言えば、

「意見を出しても否定されない」だけでなく、「互いに高め合うために意見をぶつけられる関係」こそが本来の姿なのです。

 

「安心して発言できる文化」を妨げる3つの壁

歯科医院では、階層的な人間関係が明確です。

院長勤務医歯科衛生士 ⇄ 診療スタッフ受付

この構造が心理的安全性を阻害するケースがよくあります。

 

上下関係による沈黙のバリア

「叱られない様に言われた事だけやろう」

「院長にダメ出しされない様にミーティングでは発言を控えよう」

という雰囲気があると、チームの成長は止まります。

 

ミスを共有できない、成長に繋げられない文化

「皆の前で叱られるからミスを隠そう」

「ミスをしない事だけを考えて仕事をしよう」

そんな心理が蔓延すると、学びの機会が失われ積極性が失われます。

 

違う意見を言うことへの恐れ

「私の発言で空気を壊したくない」

「周りと違う意見を言うと浮く」

「違う意見を言えるほど自分に自信が無いし」

 

④院長のミスは誰にも触れられない

「院長の対応に患者さんが不満を言っていたけど、院長に言って私が叱られたら嫌だな・・」

 

⑤私なんて・・・

経験の浅いスタッフが「私のレベルで発言しても・・・」と黙る

 

院長の意見は絶対であり、経験の浅いスタッフは発言を恐れ違和感を感じていても言えない。

そういうチームは脆く、何かのキッカケで問題が一気に噴き出すのです。

 

機能するチームを生み出す3つの関係づくり

心理的安全性を高めるために、院長ができることは3つです。

 

「率直な発言」を歓迎する姿勢を見せる

院長が自ら「異なる意見を歓迎する」姿勢を言葉と態度で示すことが大切です。

例:

「率直な意見をもらえると助かる」

「違う考え方を聞けると気づきが増えるね」

院長が受け止める器を見せることで、

スタッフは「話していいんだ」と感じ、意見が出始めます。

(NG)院長が「思ったことを・・」とスタッフに言って、スタッフが思っていることを話したら院長が激怒したという話をきいたことがありますが、それをやってしまいますとスタッフは殻に閉じこもって二度と心を開いてはくれませんのでご注意を。

 

「ミスを共有できる場」をつくる

ミスを責める文化ではなく、「次に活かす文化」を育てる。

たとえば、毎週のミーティングで「失敗共有タイム」を5分だけ設け、

・何が起きたか

・なぜ起きたか

・どうすれば防げるか

を淡々と共有し実践する。

失敗を学びに変える場があると、チームは自然にオープンになります。

 

「建設的な衝突」を歓迎する文化を育てる

意見がぶつかることを「悪いこと」と感じるチームは成長しません。

むしろ、衝突を恐れず目的志向の議論ができることが大切です。

院長が意見の違いをまとめるのではなく、

「なぜその考えを持ったのか?」

「どんな患者メリットがあると思うか?」

と、双方の意図を引き出すファシリテーターになること。

心理的安全性のあるチームほど、健全な衝突を通じて成長するのです。

 

チェックリスト:心理的安全性が機能しているチームか?

チェック項目

Yes / No

スタッフが院長や上司に率直に意見できる雰囲気がある

 

ミスを隠さず共有できる文化がある

 

ミーティングで異なる意見が自然に出ている

 

議論が個人攻撃ではなく目的志向で行われている

 

院長自身が違った意見を歓迎し、受け止めている

 

 

まとめ:心理的安全性は優しさではなく強さの文化

心理的安全性が高い医院は、単に「居心地が良い」だけではありません。

むしろ、

「遠慮せずに意見を交わせる」

「失敗を学びに変えられる」

「目的のために衝突できる」

そんな強いチームなのです。

心理的安全性とは、組織のぬるま湯ではなく、変化に耐えられるチームの筋肉を鍛えるための文化。

院長が「正しい緊張感」と「安心」を両立させられれば、医院はどんな環境変化にも強くなります。

 

森脇康博のひとこと

心理的安全性は「優しさ」だけではなく「信頼の力」。

信頼があるからこそ、率直に意見を言える。

目的達成の為にチームメンバーが自ら厳しさを求める。

率直な意見を言える関係性があるからこそ、建設的に意見をぶつけあいチームが成長し機能する様になるのです。

 

次回は、さらにその先

「信頼を生み出すコミュニケーションデザイン」について、歯科医院の現場で実践できる具体的な方法をお届けします。

 

★こちらもご覧ください。
 
 
 
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