歯科医院経営で大切なのは「数値を見ること」だけではなく、「数値を分析し、数値を改善するための手段をどれだけ持っているか」です。売上や利益の停滞には必ず原因があり、それを見抜くセンサーと改善の手段を持つことでしか成長は続かないからです。
歯科医院経営を安定的に成長させる院長は、結果としての数値を眺めて喜んだり落ち込んだりするのではなく、数値を改善するための武器(手段)を所有しているという特徴があります。
◆ 感覚経営の落とし穴
例えば「売上の伸びが止まった」とします。
このとき感覚で経営する院長は、
1.予約をさらに詰め込む(急患を断らない)
2.ホームページやポータルサイトを強化する
3.自費提案を強化する
4.キャンセル対策をする
といった対策を思いつくでしょう。
しかし、これらは表面的な対処にすぎず、売上停滞の本当の原因にたどり着けない可能性が高いのです。
◆ 売上停滞の原因はどこにある?
効果的に改善するためには、正しい評価ポイント(センサー)が必要です。
チェックすべき数値の例を挙げると、
・一人あたり実日数が短くなっていないか
・平均治療単価が下がっていないか
・勤務ドクターの治療計画が十分かどうか
・中断患者が増えていないか
・予約が取りづらい状況になっていないか
など色々あります。
例えば、予約が取りづらい状況で患者を増やす対策をしても機会損失が増えるだけですし、中断患者が多い勤務ドクターに新患を任せても医院の評判を落とすだけです。
だから売上を増やす対策は「バケツの容量を増やす対策」「バケツの穴を塞ぐ対策」と併せて実行する必要があるのです。
バケツの穴を発見するセンサーが無い状態でバケツに水を注ぎ続けている院長が多い気がします。
ちなみに、センサーは「経営判断」「経営改善」「治療品質改善」「チームメンバーの成長」など目的に合わせて設定し、役割に応じて管理・活用します。
多くの数値を測定することが大切なのではなく改善や発展に必要な数値を測定して活用する。なのでスポット的に測定する数値もあるのです。
◆ 数値は「過去」を示すだけ
数値はすでに起きた結果を表すもの。
悪化してから慌てても、失われた結果を取り戻すことはできません。
だからこそ必要なのは、
・KGI(最終目標)と
・KPI(その達成のための行動指標)
を設定し、数値が悪化する前に未来に向けて改善していける仕組みをつくっていく必要があるのです。
その為にはどこに評価ポイント(センサー)を設定するのかが重要です。
◆ 院長に問われる「数値改善力」
さて先生、次の問いをご自分に投げかけてみてください。
・先生の医院にはどれだけのKGIとKPI、センサーが設定されていますか?
・それらの測定した数値を改善する手段を、いくつ所有していますか?
・そして、数値測定の目的をスタッフと共有し、行動計画にまで落とし込めていますか?
・設定したKPIやセンサーはどれだけ改善に繋がりましたか?
・数値は測定しているものの活かせていないセンサーはありませんか?
数値を見るだけでは医院は変わりません。
数値を改善する力こそが、院長の真の経営力なのです。
まとめ
これからの歯科医院経営は、
・「数値を測定して分析する力」+「改善の手段の数と質」+「実行力」
この三つがあってこそ成長が続きます。
数字の先にある現場の改善に踏み込み、未来を変える行動が取れる院長だけが、10年後も勝ち残っているでしょう。
ちなみに数値は重要ですが「手段」でしかありません。数値を目的の様に扱う(手段の目的化)と医院の停滞を招きますので、ご注意くださいね。
所有する「改善の手段」が少ないのは、数値をしっかり分析して改善ポイントを見つけ、実践にまで繋げられていないから。
数値測定はしっかり実行できて原因も分かっている。しかし、数値をスタッフと具体的に改善していく取組みが弱いと感じておられるならご相談くださいね。
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