歯科医院だけでなく、あらゆる業界で人材採用の難易度が上がっています。
採用できたとしても、半年・1年・3年・5年と続く「高退職リスク期」を乗り越え、さらに結婚・出産・介護などのライフイベント期を経て、勤続10年を超える戦力スタッフに育てられるかどうか――これは今後の院長に問われる最大の課題といえるでしょう。
長期勤続スタッフが医院力を決める
私自身、大阪の開業団体で30年勤務し、その後独立開業して13年間、院長を直接サポートしてきました。
「よく同じ会社に30年も勤められたね」と驚かれることも多いですが、管理職としてのマネジメント経験、そして数々の失敗を糧に学び続けたことが、今の私の活動の基盤になっています。
この経験から言えるのは、医院の生産性・収益性を高めるのは仕組みだけでなく、人材の定着と成長だということです。
歯科医療需要は変化の時代へ
これから2040年に向けて、歯科医院の経営環境はさらに厳しくなります。
理由は明確です。
・高齢者が支えてきた「う蝕治療マーケット」は段階的に縮小(団塊の世代が来院マーケットから退出)
・小中規模医院が訪問需要に対応するハードルが高い(人材が更に不足していく為)
・新しい歯科医療需要(重症化予防・生活習慣病連携治療と管理・口腔機能管理など)はまだ成長期に入っていない
先行するアーリーアダプタ院長は新しい需要を形にして収益化できますが、マジョリティ層は「商品が成長期に入るまで様子見」をしてしまい、収益化が遅れるのです。
つまり、新たな需要を収益モデルに変換できるかどうかは医院の力量次第ということです。
また、アーリーアダプタ院長の下ではスタッフが鍛えられている事が多く試行錯誤しながら自分たちで正解にたどり着ける。ただ、マジョリティ層の院長の医院では収益化に必要なスタッフの力量が足りていないことが多く医院に落とし込んで収益に繋げられないのです。
歯科医院のチームビルディングに関わってきて感じるのは、スタッフの力量によって落とし込める仕組みのレベルや組織の構造が違うという事です。いくら成果を出せると評判の仕組みであっても、院長とスタッフがその仕組みを扱えるレベルになっていなければ成果は出せないのです。
医院力を高める唯一の方法
では、スタッフと医院の力量を高めるにはどうすればよいのでしょうか?
答えはシンプルです。
・入職時からスタッフを鍛える仕組みをつくる
・退職リスク期を乗り越える支援体制を整える
・ライフイベントを受け止める労働環境を整備する
・成長の機会を与え、キャリアを積み上げさせる
これらの積み重ねによって、スタッフの成長が医院力の成長に直結する組織をつくることができます。
3年後・5年後・10年後に必要な「規模と医院力」
国が進める医療改革や施設基準は、規模と医院力を備えた歯科医院でなければ扱えなくなる時代が来ます。
小規模で理念も仕組みも弱い医院は、環境変化に飲み込まれ、ジリ貧に追い込まれるでしょう。
逆に、人材育成に投資し、組織力を高め続けた医院は、3年後も5年後も10年後も地域で必要とされる存在になっているはずです。
まとめ
歯科医院経営において今後最も重要なのは、人材を定着・成長させ、戦力化できる院長の覚悟と仕組みづくりです。
プロ野球でも長期的視点で育成とチーム作りをした球団の選手が花を咲かせているのと同じです。
先生は、ご自分の医院が3年後・5年後にどんな姿であるべきかを描き、そのビジョンと目的をチームメンバーに語り、その未来に必要な戦力を今から育てていけるでしょうか?
これから医院の未来を切り拓いていくには、「成果を出せるチーム」を築けるかどうかなのです。
未来を切り拓けるかどうかは――院長の覚悟と実行力にかかっています。
チーム作りでお悩みの場合にはご相談くださいね。
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