はじめに:新しい仕組みが「うまくいかない」のは誰のせい?
先生の医院では、新しい治療システムやマネジメントの仕組みを導入しても「結局うまく回らなかった…」という経験はありませんか?
・患者の治療コンサルテーションシステム
・1on1ミーティング
・口腔機能管理、MFTからMRC,矯正への流れ構築
・業務効率化のアプリやシステム導入
・経営計画の作成とアクションプラン実践による目標達成
・新しい組織運営システム
このような仕組みは正しく運用されれば医院を確実に前進させる武器になるはずですが、実際には現場に落とし込んだはずなのに形骸化して機能していないケースが多く見受けられます。
今日は、仕組みを「導入する力」ではなく「落とし込む力」に焦点を当てて、よくある失敗の原因とその対策を整理してみたいと思います。
1)院長が仕組みの本質を理解しないまま導入している
「とにかく良いらしい」「流行っているから」
そんな理由で導入された仕組みは、本来の意図がスタッフに伝わらずに形骸化します。
例えば、初診カウンセリングの導入も「自費を増やしたいから」という表面の目的だけで進めると、現場では「売上優先の仕組み」と認識され、スタッフのモチベーションを下げかねません。
院長自身が「なぜこの仕組みが理念の実現に必要なのか」を深く理解しているか?
それを丁寧に言葉で伝えることが、落とし込みの第一歩です。
2)守破離を無視して、勝手にアレンジしてしまう
多くの仕組みや経営ノウハウは、「型」から入ることが前提です。
しかし、導入直後から「うちには合わないから」と独自のアレンジを加えてしまうと、効果が出る前に本来の仕組みが壊れてしまいます。
例えるなら、初心者がゴルフスイングをプロに習ったのに、YouTubeの動画を見てスイングを変えていくのと同じです。
まずは成果が出るまで“型通り”やってみることが、成果を出す一番の近道です。
3)学んできた院長が「丸投げ」してしまう
学会やセミナーで学んできた院長が「これ、明日からやってみて」とスタッフに丸投げ。
このパターンは非常に多いのですが、現場ではこう思われています。
「急に何か始めたけど、またすぐ終わるんじゃない?」
「なんでこれをやる必要があるのか分からない」
「結局、私たちが全部やらされてる」
導入前に必要なのは、「なぜこれをやるのか」という共通認識の形成と、スタート後の“一緒に進める”姿勢です。
院長が提案したのに院長が最初に諦める、丸投げするでは駄目なのです。
4)チームに「仕組みを使いこなす力」が不足している
良い仕組みでも、現場のスキルや経験値と合っていなければ機能しません。
初心者にプロ仕様のアイアンを渡しても、うまく打てないのと同じです。
・診療スタッフに仕組み導入マニュアルを渡すだけ
・院長が治療コーディネーターと他医院の治療コンサルテーションを見学し、あとは丸投げ
・アプリやDXツールを導入したが担当スタッフでさえ使いこなせない
仕組みに合わせて、教育・トレーニングの段階設計を行うことが落とし込みには不可欠です。
そして、先生のチームがその仕組みを扱えるだけの力があるのかを見極めることも必要なのです。
前からブログで書いていますが、歯科医院を見学すると機能されられなかった仕組みの残骸が残っていることも多いのです。
5)仕組みを入れても“診療オペレーション”が変わっていない
最後に最も多いのがこのケースです。
仕組みを導入したのに予約枠や導線、時間の使い方が旧来のまま。
・カウンセリングの時間が確保されていない
・アポ時間に余裕がなく、理想通りの手順が実行できない
・新たなフローがチーム全体に共有されていない
「時間がないからできない」のではなく、「できる設計に変えていない」からできないのです。
仕組みに合わせてオペレーションを組み直すことが、現場浸透の大前提になります。
まとめ:落とし込みの力=院長の“目的をスタッフに伝え、共感によって巻き込む力”
医院が変わるには、「導入」よりも「落とし込み」のほうが何倍も難しい。
でも、落とし込みの本質はテクニックではありません。
・自らが本質を理解し
・「なぜやるのか」を語り
・仕組みに人と時間を合わせ
・一緒に進める姿勢を示す
そして試行錯誤を繰り返し、成果を再評価しながら決して諦めないことです。
スタッフを巻き込み理想に向かうこと、諦めない姿勢が「強いチーム」と「自走する組織」を作っていきます。
先生の医院では、仕組みが「導入されただけ」で止まっていませんか?
「導入したけど定着しない」
「やる気はあるけどうまくいかない」
そんな悩みがある先生は、仕組み導入支援・オペレーション設計支援など、外部の客観的な視点を活用してみるのも有効です。
ご相談いただければ、貴院のステージに合った改善アプローチをご提案いたします。
お気軽にご連絡ください。
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