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◆歯科医院経営ブログ

歯科医院経営コーチの森脇が歯科医院経営に関する情報や感じたことを気ままに発信します。会員限定ブログと違い誰でも読むことが出来ます。

治療説明の“その後”が勝負!患者の納得が生まれる医院の共通点とは?  [2025年08月04日]
おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
 
私は大阪の開業医団体で30年勤務し、院長の近くで経営と医院づくりを応援したいと独立して13年が経ちます。
このブログでは歯科医院経営とマネジメントに役立つ情報を発信します。
しかし、答えは書きません。院長によって経営状況は違いますのでスタッフと一緒に考えて頂きたいからです。
もちろん、経営のサポートのご依頼は喜んでお引き受け致します。
では、本日のブログもご自分の医院の状況に照らして考えてみてくださいね。
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はじめに:説明だけでは「治療は始まらない」

問診票を書いてもらい、カウンセリングを行い、レントゲンや検査で診断資料を揃える。
そしてドクターが治療方針を立て、スタッフと共有し、いよいよ患者への説明。

ここまで来ると、「治療の準備は整った」と感じるかもしれません。

しかし本当にそうでしょうか?

実はこの「治療説明の後こそが、もう一つの歯科治療の本当のスタートライン」なのです。

 

 

 

ドクターの“正解”と患者の“納得”はイコールではない

多くのドクターが陥るのが、「診断結果と治療方針は提示したから、あとは患者が判断するべき」という姿勢です。

確かに医学的にはベストな治療でも、患者が理解・納得・選択しなければ、それは“実施されない治療”に過ぎません。

例えば…

・「痛みがないんですが本当に他にもむし歯があって治療が必要なんですか?」

・「先に歯茎の治療って、はやくむし歯の治療をして欲しいのですが・・・」

・「衛生士さんのメンテナンスって必要なんですか?」

こうした言葉の裏には、「患者の健康にとって必要な治療(治療方針)」と「患者の認識」とのズレが隠れています。

そのズレを埋めるのが、「治療の第一歩」なのです。

 

 

 

現代歯科医療に求められる“リバタリアン・パターナリズム”の視点

「一方的に治療方針を押し付ける」でもなく、

「すべて患者任せにする」でもなく、

患者の意思を尊重しながらも、より良い方向に導くという考え方が今、注目されています。

これは行動経済学でも用いられる「リバタリアン・パターナリズム」というアプローチです。

 

歯科医院においても、

・患者が納得しやすい順序で説明する

・イラスト、動画などを使いリスクと利益をわかりやすく対比させる

・治療を「押す」のではなく「必要な治療を選びやすく導く」

・繰り返しの接点の中で患者の判断力を育てる

・患者の判断に必要な知識を提供する

 

こうした心理学・コミュニケーション技術を組み込んだ対話が歯科医療にとって不可欠になのです。

いまだにリバタリアン・パターナリズムについての賛否はありますし、使い方によってはパターナリズム偏重に陥り易いとは感じるのですが、患者を主体にしたままで患者の治療の選択をサポートしていく上で、歯科医療従事者が論議し、工夫し、そして実践によって進化させていくことが求められるのです。

 

 

 

チーム全体で「治療説明力」を高める時代へ

治療方針を伝える役割は、今やドクター一人の仕事ではありません。

・治療コーディネーターが最初の意思確認を行い

・歯科衛生士や診療スタッフが補足説明と日常的な声かけを行い

・ドクターが最終判断と方針を提示する

このように「患者の納得を導くチーム設計」こそが、これからの歯科医院経営の要です。

また、説明後の“再来院の意思”が鈍い患者には、「なぜ迷っているのか?」という行動心理への理解も重要です。

 

 

 

おわりに:治療説明は「始まり」であり「説得」ではない

治療説明が終わった後、先生の医院では患者にどう寄り添っていますか?

「ちゃんと説明したのに、なぜ来ないのか」と思った経験があるなら、

それは患者の“理解”や“納得”に届いていないサインかもしれません。

 

説明はゴールではなく、“患者と共に治療に向かう第一歩”です。
だからこそ、説明後のフォロー、言葉選び、タイミング設計など、医院全体でアプローチスキルと意識を高める必要があります。

 

ぜひ、先生の医院でも“治療計画を伝えたから終わり”ではなく、

「納得し選んでもらえる説明とは何か?」をチームで考える文化を育ててみてください。

その一歩が、継続来院・信頼・自費率・紹介率すべての改善に繋がっていきます。

 

ちなみに行動経済学において「ナッジ」ばかりが注目されますが、テレビ通販の様な使い方は「スラッジ」と言われ医療においては好ましくありません。

行動経済学も心理学も相手を理解しより良い方向に導く為のもの。人を操作しようとすればその時点で「医療」ではなくなるのです。

 
 
 
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