人材不足の時代、多くの院長が「誰でも良いから来てほしい」と焦りを感じています。しかしそれでは、医院の方向性に共感できないスタッフが入ってきてしまい、院内の空気や患者対応にトラブルが起こるリスクが高まります。
確かに退職者が出ると少ない人数で持ちこたえるか予約枠を減らすしかなくなりますが、それでも計画的に採用し、医院価値を共に創る人材を育てることが、最終的には安定経営につながります。今回は、そのための採用~育成~定着の戦略についてご紹介します。
「人手がいれば誰でもいい」という求人は、応募者に“医院の本質”が伝わらず、結果として早期退職や不満につながります。
・医院の哲学や将来像を明記する
「地域密着・予防重視・チーム医療を大切にする」など、共感ポイントを明確に示します。
・応募者の価値観を引き出す質問を用意
面接では、「これまでの職場で大切にしてきたことは?」など、志望動機だけではなく共感要素を探ります
・ミスマッチ防止の逆質問を盛り込む
「この医院で働くことで、どんな成長ができると思いますか?」「医院にどんな貢献ができると思いますか?」「当院では歯科医療従事者として成長する為の努力ができる人しか必要としていません。もちろん、医院として成長を全力でサポートしていくのですが〇〇さんはどういう思いを持って応募されましたか?」など、応募者の思いと医院方針のすり合わせができます。
採用後の教育を放置すると単なる穴埋め要員になりがちです。そこで使いたいのが面談制度・OJT・育成カリキュラムの組み合わせです。
・定期面談(週1~月1回、状況に合わせて)
入職1年目は業務の進捗と不安点をヒアリング。院長や先輩が入職者の不安や焦りに丁寧に寄り添えます。
・OJTによる日常指導
歯科衛生士指導や治療コーディネーター指導など、育成担当とペアで成長を促す現場フォロー。
・育成カリキュラムと進級制度
「初級→中級→上級」とレベル別チェックリストを使って、目に見える成長を実感できます。
「聞かれて終わり」の面談は意味がありません。肝心なのは、スタッフが本音を語れる場の定期化です。ただし、馴れ合う関係を作ってはいけません。
・「相談」と「気づき」を引き出す質問
「最近、困っていることはありますか?」だけでなく、「何に取組めば充実感を得られると思いますか?」「いま、どんな行動が必要だと感じますか?」など具体的に。
・院長も感情をシェアする
「今日は忙しくて自分も焦ってしまって…ごめんなさい」「次回から焦らない様に、今日から〇〇の練習を始めようと思います」と院長の人間性と改善の姿勢を見せることで院内に共感が生まれ、スタッフも自分の行動を改善しようとする様になります。院長も成長途上なのですから自分を出来上がった人間の様に見せるより、成長しようと真摯に努力を続ける姿を見せた方が「共感の時代」には上手くいくと思うのです。
・面談後に小さなフォローアクション
翌日「昨日言っていた件、さっそく実行したんだね!」「困ったら相談してね」と声をかけることで信頼が深まります。ただし、行動を褒めることは厳禁なので気をつけてくださいね。
事業計画よりも不足感で採用すると、スタッフ間の負荷配分や役割があいまいになり、既存スタッフの不満が増えます。
採用は「欲しいから」ではなく、「医院の将来ビジョンを描き、必要なポジションに必要なタイミングで入れる」べきです。中長期の戦略に基づく採用計画が、短期安定と長期成長につながります。
先生の医院では、採用から育成・定着の流れが計画的に行われていますか? 「誰でも来てくれれば…」ではなく、「ここで働きたい」と応募者が思う文化はできていますか?
人材を募集しても応募がある医院と応募がない医院の戦略の違いをご存じですか?応募が無いのは応募が来ない医院を作ってしまっているからだと気づいているでしょうか?
ご相談・ご支援も歓迎です。お声がけください。