「広告やホームページは専門業者に任せているから大丈夫」と話す院長は多いものの、その結果をきちんと対策事業者が測定・改善しているかは不明なことが多いのが現実です。キーワード設定をずっと更新していなかったり、新患の予約数が実際に増えているかを院長が確認していないケースも珍しくありません。
本当に必要なのは、広告費用に対してどれほどの成果(コンバージョン)が得られているのかを定量的に把握し、分析・改善する仕組みです。今回は、歯科医院が自らマーケティングKPIを設定して費用対効果を最大化するための基本と方法をご紹介します。
まずは各広告媒体ごとの
・CPA(新患1人獲得あたりの費用)
・新患率
・リピート率
を計測しましょう。
・CPA:広告費 ÷ 新患数。理想は1~2万円/人。高すぎればキーワードやLPの改善が必要です。
※実際の広告効果は「CPI×成約率×粗利」で測定しますので、自費治療での収益性が高いのならばもっと費用をかけても大丈夫です。
・新患率:来院数 ÷ 広告クリック数。低い場合は予約フォームや受付対応の見直しが必要です。
・リピート率:初診後4ヵ月以内に再来院した患者の割合。80%以上を目標に、重症化予防での定期来院の仕組み構築や予約やカウンセリング強化、患者フォロー体制を整備しましょう。
広告で患者が増えても、診療キャパが足りなければ予約枠を閉じざるを得ません。逆に、空きが多い状態で広告を打っても無駄です(院内の問題)。ここで必要なのは、マーケティング施策と診療体制のバランスをとるフロー設計です。
・月初に広告予算と予約状況を共有:広告費の増減を診療稼働率と連動させる。
・週次・月次で振り返り:CPAが高い広告や予約未確定の案件を特定し改善。
・繁忙予測との連動:長期休暇や地域イベントに合わせて広告計画を調整する。
広告成果の測定には、Google Analyticsを活用してホームページ側もチェックする必要があります。
・CV設定:「予約ボタン押下」や「お問い合わせ送信」をコンバージョンに設定。
・流入チャネル分析:広告・自然検索・SNSなど、どのチャネルが新患につながっているかを可視化。
・ランディングページの離脱率:広告経由で開いたLPからの離脱が多い場合、内容や動線の改善が必要です。
先生の医院では、広告に使った費用がしっかり成果につながっているか確認できていますか? 「広告出稿するだけ」ではなく、「投資として成果を引き出す」体制作りはできていますか?
SEO対策事業者と契約されている場合には月1回の対策会議などで状況報告を受け、改善を続けられているでしょう。
しかし、多くの院長は広告費を使っても費用対効果を測定しながらPDCAを回すことが出来ていない。広告投資が増患対策のすべてではありませんが、医院の歯科治療品質を高めたとしても地域に認知されなければ来院には繋がらないのです。
そして、広告費を使って患者が来院したとしても提供できる歯科治療や医療接遇の品質が低いならば患者は増えていかないのです。