おはようございます
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
今日のテーマは歯科医院の「キャンセル・治療中断対策」
私のホームページにはなぜか検索キーワード「歯科 キャンセル対策」で訪問していただける院長が多いので、当面の対策について記事をアップさせていただいています(記事はこちら)。
しかし、私は患者を説得する、何がなんでもルールを守らせるようなキャンセル・中断対策にはまったく意味がないと思っています。
何故なら、ルールを破ってでもキャンセルや治療中断をする理由が患者にはあるからです。
院長が歯科医院で実現したい理念・ビジョンはルールを守る人を育てることではないはずです。
社会にはいろいろな価値観の人が存在します。
そして、その人達が価値を感じ、選ぶお店や、場所、友人はバラバラです。
しかし、共通している点が一つだけあるのです。
それは、その人が選ぶお店や友人がその人の価値観に合い、その人にとって心地良いということ。
実は、先生の歯科医院には、発信しているメッセージ、提供している価値やホスピタリティに共感する人が患者として集まって来ているのです。
例えば、ホテルを選ぶ基準が「当日までキャンセル料がかからない」「寝るだけなので安ければ良い」「接客接遇は程々でよい」という人が、例えばグランドハイアット東京のコンシェルジュ、阿部佳さんが働くホテルを選ぶことはないでしょう。
阿部さんはNHKの「プロフェッショナル」でも取り上げられた日本におけるコンシェルジュの第一人者です。そして、歯科医院の院長やスタッフが院内のホスピタリティ向上の見本にするべきもっとも相応しい方だと私は思っています。
上質な空間とサービスを好む人は、阿部さんが働くような上質なサービスを提供してくれる場所に集まります。だから安さと手軽さだけを求める層の価値観には合いませんので予約しないのです(どちらが悪いということではありません)。
そのことから考えると、上質な歯科医療サービスを望む人は、上質な治療やホスピタリティを提供してくれる歯科医院に集まることになります。
例えば「応急処置はするけど、実際の治療は衛生士によるTBIやスケーリングを何回か受けて、歯茎の状態が改善してから」という歯科医院は、「除痛して短期間で詰める」「急患でもすぐ診てくれる」ことだけを望む患者には居心地が悪いのです。
マーケティング理論から見ても「治療やサービスの質を求める層」「ホスピタリティを求める層」「手軽さを求める層」は分かれるのです。
私のホームページにも書いていますが、急患とキャンセル・治療中断が多い歯科医院では、手軽さだけを求める患者層が共感するメッセージを無意識に受付対応やホームページなどで発信しているのです。
開業してから懸命に働き、経営を安定させたいと願う院長が「とにかく患者に来て欲しい」と考えられる心理にはとても共感できます。
ただ、経営が安定してからも、「お口の健康への価値観が高い人」と「急患」の両方とも来てほしいと無意識に発信していませんか?そういう医院にキャンセルや治療中断は多くなるのです。
キャンセルや治療中断患者に苛立ち、ルールを守る様に注意しても、患者側から「いつも待ち時間が長い、なんの為の予約?」と逆に反感をかっています。
手軽さを重視し、キャンセル・治療中断を繰り返す人の周りには同じ価値観の人が集まりますので、口コミによって同じ価値観の患者が「居心地が良い」と先生の歯科医院に集まることになります。
「無断キャンセル」「治療中断」の多さは歯科医院が提供している医療サービスやコミュニケーションにまだまだ改善の余地があるというサインです。
無断キャンセル・治療中断にイライラされるお気持ちはよくわかりますが、その患者にイライラしても何も変わることはありません。
「キャンセル・治療中断対策=医療サービスやスタッフレベル、コミュニケーションレベル高め、院内の改善を続けていくこと」に変えてこそ意味があるのです。
業務改善、コミュニケーション改善の取組みを続けていくこと、カウンセリングやコミュニケーションツール、ホームページ等で軸をブラさずに「お口の健康の大切さ」「医院の考え」を発信していくことで、お口の健康を大切にする患者層が集まり、キャンセルや治療中断は減っていきます(ツールを作成し、初診時に予約のシステムを知らせることは大切です)。
患者やスタッフとのコミュニケーションを大切にし、治療システムを改善し続けることによって患者との信頼関係を築けている歯科医院が、キャンセルや治療中断が少ないのです。
キャンセル・治療中断患者を敵視するのではなく、患者の不満や要望を把握して改善につなげていくことが大切です。
コミュニケーションを大切にする組織づくりを目指される方は一度、ご相談ください。(こちらから)
テーマ:歯科医院経営全般
Posted at 07:53