採用の失敗は医院にとって“経営リスク”
先生の医院では、採用面接で「この人なら大丈夫だと思ったのに…」という経験はありませんか?
診療スタッフや治療コーディネーター、勤務ドクター、歯科衛生士などの採用は、医院の生産性や雰囲気を左右する極めて重要な経営判断です。しかし現実には、「スキルはありそうだったのに職場に馴染めない」「意欲があるように見えたけれど指示待ちだった」といった面接時の見極めミスが、医院の停滞や離職トラブルを引き起こすこともあります。
ある郊外の20人規模の歯科医院では、採用後1年以内にスタッフが辞めてしまうケースが連続し、再募集・研修コストで年間80万円以上の損失が発生しました。採用面接は、“人を見極める”と同時に、“医院の未来を築く”重要な場面だという意識が必要です。
“なんとなく良さそう”に頼らないための3つの観点
面接での見極めで重要なのは、履歴書や第一印象に加えて、行動・価値観・成長意欲という3つの観点から判断することです。
1.行動パターン:過去の職場での取り組みや具体的なエピソードを聞き出す
→「患者さんと信頼関係を築いた具体的な経験を教えてください」
→「忙しい状況で、自分から工夫したことはありますか?」
→「自分がリーダーとして結果をだしたプロジェクトはありますか?」
→「忙しい時に患者が不安そうにしていたとします。あなたはどう行動しますか?」
→「苦手にしていることを克服しようとした経験があればお教えください」
2.価値観の一致:医院の理念やチームの文化と合っているか
→「あなたが働きたくないと感じる職場を具体的に教えてください」「逆に働きたい職場は?」
→「あなたが仕事で大切にしている価値観で継続できていることは何ですか?」
→「あなたが仲良くできない、尊敬できない人はどんな人でしょうか?」「あなたが今まで出会った人で尊敬できると感じた人はどんな人ですか?」
→「当院では成長する時にかかるストレスを乗越えようとしない人を必要としていません」「もちろん、全力でサポートしますが、あなたは自分に必要な成長ストレスを乗越えていく覚悟がありますか?」
3.成長意欲:向上心があるか、学び続ける姿勢があるか、活かせているか
→「今までに学んだことで身についた、活かせている、と感じるスキルは何でしょうか?」
→「勤務していた医院で提供された技術などの研修会以外に、自分でレベルアップする為に取組んできたことは何ですか?」
→「当院ではライフイベントを乗越えて働き続け、医院と地域医療、そして患者に貢献したいと考える人と一緒に歩んでいきたいと考えています」「〇〇さんはどういうお考えでしょうか?」
→「今までどんな困難にぶつかり、それを乗越える為にどんな行動をしましたか?」「その結果、どうなりましたか?」
これらの質問を通じて、その場の印象ではなく“過去の具体的な行動と考え方”に着目することで、採用の質は大きく変わります。
STAR法で「実際の力」を見極める
優秀な応募者は、「自分の経験を構造的に伝える力」を持っています。
ここで使えるのが、行動評価に基づく質問法「STAR法」です。
・S(Situation):どんな状況だったか?
・T(Task):どんな課題に直面したか?
・A(Action):どんな行動をとったか?
・R(Result):どんな結果になったか?
例:「受付対応でクレームになりかけたことがあると伺いましたが、その時どのように対応しましたか?」と聞けば、対人スキル・冷静さ・チーム連携力まで見えてきます。
このように、“できる人はどのように考え、動いてきたか”を言語化できる力が面接での選定基準になります。
“医院を見る目”も応募者の重要な判断材料
面接は「応募者を見極める場」であると同時に、「医院が見られる場」でもあります。
有能な人材ほど、以下のような観点で医院を見ています。
・医院理念(ミッション、ビジョン、バリュー)がチームメンバーに伝わっているか
・チームメンバーが医院理念に基づいた行動ができているか
・院長が尊敬できる人か、理想を明確に語れるか、行動しているか
・ホームページや募集文章と実態に違いはないか
・スタッフがいきいきして明るいか
・自分が活躍できる場所はあるか
・設備や環境が整っているか(特に歯科衛生士)
・教育制度やスキル評価制度があるか
そのため、面接時に医院の理念や働き方の考え方を明確に伝えることで、医院の文化に合った人材を引き寄せやすくなります。
ある医院では、面接時に「当院の診療理念」「スタッフ教育の方針と教育制度」をまとめた動画を作成し、A4用紙1枚にまとめて説明したことで入職後のミスマッチが大幅に減少しました。
先生の医院では、採用面接が“未来のチームづくり”につながっていますか?
歯科医院における採用は、単なる人手確保ではなく、“医院の文化と成果を左右する戦略”です。
とくに今後は、治療コーディネーターや継続管理、重症化予防に関わる診療スタッフなど、多様な役割を担える“自走型人材”の確保が経営の鍵となります。
先生の医院では、採用面接で応募者の行動・価値観・成長意欲を見極められていますか?
また、医院の理念やチーム文化を応募者にしっかり伝えられる体制は整っていますか?
最終的には医院のレベルを高めていかないと、成長レベルが高い人材は定着してはくれません。そして成長レベルが高い人がいないと臨床面でも経営面でも結果をだせない。
チームづくりはそういう意味で「臨床レベル」「経営力」と直結しているのです。
本気で採用力、定着率を高めたいとお考えの先生は、ぜひご相談ください。