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◆歯科医院経営ブログ

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【女性スタッフが輝くシリーズ第5回】スタッフが長く働き続けられる組織をつくる ― ライフイベントと長期雇用設計  [2026年05月28日]
おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
 
私は大阪の開業医団体で30年勤務し、院長の近くで経営と医院づくりを応援したいと独立して13年が経ちます。
このブログでは歯科医院経営とマネジメントに役立つ情報を発信します。
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長く働き続けられる組織をつくることは、経営設計の問題でもある

スタッフが長く働き続けられる環境をつくりたい。この思いを持っておられる院長が増えていると感じます。しかし、実際に実現できている医院は限られています。その理由は、気持ちの問題ではなく、経営設計の問題であることがほとんどです。

どんな収益モデルを選択し、どの程度の規模の医院を目指すのか。この設計が、長期雇用環境の実現可能性を根本から規定します。ユニット3台の小規模医院では、スタッフが育児休業から復帰しようとしても、戻る場所がないことの方が多い。一定の余剰人員を抱えられる経営体力がなければ、ライフイベントに対応した雇用設計は絵に描いた餅になります。

スタッフの長期雇用を実現したいなら、そのための経営体力を持てる規模と収益モデルを、今から設計していく必要があります。

ライフイベントが引き起こす「見えない壁」

歯科医院で働くスタッフの多くは、20代後半から30代後半にかけて、出産・育児というライフイベントを経験します。この時期に一時的に抜けたり、復帰後にパート勤務に移行したりすることは、長期雇用を実現している医院で当然のこととして起きています。

しかしライフイベントを経たスタッフが直面するのは、体力的な問題だけではありません。「自分が育休で抜けている間に医院が進化していて、戻ったときについていけないのではないか」という不安。フルタイムで働けないことによる自己効力感の低下。フルタイムのスタッフへの遠慮から、自分の意見を言えなくなる感覚。こうした「見えない壁」が、復帰後のスタッフを心理的に追い詰めることがあります。

この壁を放置すれば、せっかく育てたスタッフがライフイベントを機に辞めていきます。あるいは形だけ復帰しても、以前のように力を発揮できないまま時間が過ぎていきます。院長がこの現実を理解した上で、復帰設計をあらかじめ整えておくことが必要です。

先生の医院では、育休中のスタッフが「戻れる場所がある」「復帰しても活躍できる」と感じられる仕組みがありますか。

育休後の復帰設計に必要なこと

育休後の復帰を機能させるために、院長が事前に整えておくべき要素があります。

一つ目は「育休中もキャリアが途切れない仕組み」です。育休中であっても、医院の情報共有に参加できる仕組み(LINEグループでの業務情報の共有、月に一度の近況連絡など)があることで、スタッフは「自分はまだこの医院の一員だ」という感覚を保てます。復帰時の「浦島太郎状態」を防ぐためにも、育休中からつながりを維持することが重要です。もちろん、育休中は子どもの事に集中したいという意見も尊重します。

二つ目は「復帰後の役割を事前に設計する」ことです。パート勤務で復帰するスタッフに、フルタイム時代と同じ役割を求めることはできません。しかし、その制約の中でできる役割を明確にし、「あなたにはここで貢献してほしい」という期待を伝えることで、スタッフは復帰への意欲を持てます。役割が曖昧なまま復帰させることが、自己効力感の低下につながります。

三つ目は「将来のキャリアパスが見える設計」です。今はパートでしか働けないが、子どもが大きくなってフルタイムに戻ったときにどんな役割を担えるのか。この見通しが持てるスタッフは、育児の時期を「一時的な中断」ではなく「次のステージへの準備期間」として捉えられます。キャリアパスの見える化は、復帰後だけでなく育休中のスタッフの気持ちも支えます。

ロールモデルの存在が、後輩スタッフの未来を照らす

医院の中に「育児を経験しながら輝いているスタッフ」がいることは、後輩スタッフにとって大きな意味を持ちます。

「自分も産休・育休を取ってもここで働き続けられる」「ライフイベントを経てもキャリアが続いていく」という姿を、身近な先輩スタッフを通じて見られるとき、若いスタッフはこの医院で長く働くことをリアルにイメージできます。これが「ここで働き続けたい」という気持ちを育てます。

逆に、ライフイベントを経たスタッフが次々と辞めていく医院では、若いスタッフも「自分もいずれここを離れることになる」と無意識に感じます。長期的な関係を築こうとする意欲が生まれにくくなります。

ロールモデルは、院長が意図的につくっていくものです。ライフイベント後に復帰したスタッフが力を発揮できる役割を与え、その活躍を組織全体に見えるようにする。その積み重ねが、医院の文化をつくります。

時代の変化が「長期雇用設計」を待ったなしにしている

少子化による労働人口の減少は今後も続きます。医療業界より他業界の待遇が良ければ、優秀な人材はそちらに流れます。歯科医院も診療時間の短縮が進んできましたが、依然として夜遅くまで診療している医院も多い。この状況で人材を確保し続けることは、今後ますます難しくなります。

一方、物価や家賃・住宅価格の高騰により、若いスタッフの生活不安は高まっています。ライフイベント後も働き続けたいという人が増えているのには、そういう背景もあるのです。安心して働き続けられる環境、成長の機会がある環境、やりがいを感じながら働き続けられる環境。これらを整えている医院には、人材が集まります。整えていない医院には、集まらなくなっていきます。

特に小規模な保険医療機関では、賃上げ・待遇改善・育成環境整備にかけられる資金が限られます。この構造的な問題は、経営規模の設計と切り離して考えることができません。スタッフが長く働き続けられる環境を本気でつくろうとするなら、それを支えられる経営体力を持てる規模と収益モデルを、今から設計していくことが必要です。

3年後の明確なビジョンとアクションプランを描けていますか

ここで、院長に正直にお聞きします。

3年後、先生の医院はどんな規模で、どんな収益モデルで、どんなスタッフ構成で運営されているイメージを持っていますか。そしてそのビジョンに向けて、今年・来年・再来年に何をするかというアクションプランが描けていますか。

このビジョンとアクションプランが描けていない院長は、経営と人材活用の両面で苦戦することが確実です。なぜなら、スタッフが長く働き続けられる環境は、一朝一夕にはつくれないからです。育休制度を整える、キャリアパスを設計する、ロールモデルを育てる、採用戦略を立て優位性を築く、経営体力を高める。これらはすべて、時間をかけた積み重ねが必要な取り組みです。

今の規模で精一杯の状態から、突然「長期雇用環境」を整えることはできません。しかし3年後のビジョンから逆算して、今できることを一つひとつ積み上げていくことはできます。その積み重ねが、「ここで長く働きたい」と感じるスタッフが増える医院をつくっていきます。

先生の医院には今、その設計図がありますか。

まとめ

スタッフが長く働き続けられる組織をつくることは、気持ちの問題ではなく経営設計の問題です。ライフイベントへの対応、育休後の復帰設計、ロールモデルの育成、キャリアパスの見える化。これらを整えられるだけの経営体力を持てる規模と収益モデルを、今から設計していくことが必要です。

時代の変化は、この設計を待ったなしにしています。人材不足が加速する中で、長期雇用環境を整えた医院が人材を確保できる側に立ち、整えていない医院が苦戦する側に立ちます。3年後のビジョンとアクションプランを今から描き始めてください。

次回は、このシリーズの最終回として「スタッフが輝くとき、医院も輝く」というテーマでまとめをお届けします。

先生の医院のこれからを、心から応援しています。

 

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