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◆歯科医院経営ブログ

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【歯科の院長は"患者単価とLTV"をどう高めるのか?第1回】患者が「自分ごと」として治療に向き合う仕組みをつくる  [2026年07月07日]
おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
 
私は大阪の開業医団体で30年勤務し、院長の近くで経営と医院づくりを応援したいと独立して13年が経ちます。
このブログでは歯科医院経営とマネジメントに役立つ情報を発信します。
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「説明した」と「伝わった」は、まったく違う

物価高騰や人件費高騰に診療報酬のアップが追いつかない時代が続いています。診療報酬改定で予算の重点配分は新たな分野に向かっているのです。既存の保険診療で患者数を増やし続けることにも限界があります。広告コストが上昇する中で新患獲得に頼り続けることは、経営的なリスクをじわじわと高めます。これからの時代はトライアル型経営ではなくリピート型経営への移行が重要なのです。

ではリピート型経営に移行し患者単価とLTV(患者生涯価値)を高めるために、院長が最初に取り組むべきことは何でしょうか。それは自費診療の拡充でも、自費料金設定の見直しでもありません。患者が「自分の口腔の問題を自分ごととして捉え、自らの意志で治療に向き合う」流れを医院の中に設計することです。

ユニットサイドで短時間に処置の説明を済ませる。検査結果を簡潔に伝えて次の予約を取る。こうした診療スタイルは、患者の回転数が重視された保険診療の時代に形成されたものです。しかしその治療の流れの中では、患者は「なぜ治療が必要なのか」「このまま放置するとどうなるのか」を自分の問題として受け取ることができません。パノラマで説明されても患者が理解できる情報は限られるのです。

「説明した」と「患者に伝わった」は、まったく別のことです。そしてその差が、継続来院率と患者単価の差になって経営に現れます。

例えば「主訴を含み3か所のう蝕治療が必要な患者」が主訴のみの治療で来院しなくなったら、単純計算で患者単価は1/3となるし、う蝕管理、歯周病治療と管理、口腔機能管理などに移行できない。そして患者が治療や管理を中断すれば患者の口腔内の健康も守られないのです。

なぜ、規模が大きい医院ほど説明が仕組み化されるのか

カウンセリングルームを設け、初診カウンセリングと治療計画の提案を専任スタッフが担う。こうした仕組みを持つ医院は、医院規模が大きくなるほど増えます。理由はシンプルです。ユニットが増え、院長一人では患者への説明に時間をかけられなくなるから分業化が進むのです。

一方、ユニット3台規模の医院では、ユニットサイドでの説明が中心になりやすい。ユニットで患者に丁寧な説明をしていたら、次の予約の患者を呼べません。その制約の中で、説明は必要最小限に絞られていきます。

先生の医院では、患者への説明にどのくらいの時間と仕組みが割かれていますか。健康意識の高い患者ほど「治療について丁寧に説明してもらい、自分で治療方法を選びたい」という意識を持っています。その期待に応えられる環境が整っているかどうかが、患者が医院を選び続ける理由になります。

カウンセリングが「機能する」と、患者に何が起きるか

カウンセリングが本来の意味で機能し始めると、患者の行動に変化が現れます。最初は「こんな質問をしても良いのだろうか」と遠慮していた患者が、「わからないことは何でも聞いて良いのだ」という安心感を持ち始めます。患者からの質問が増え、自分の口腔の状態への関心が高まる。治療を「やらされるもの」から「自分が選ぶもの」として受け取り始めます。

そして次回来院したとき、患者はカウンセリングを担当したスタッフを目で探します。そのスタッフから先に声をかけてもらえると、さらに安心感が深まる。この関係性が、患者を継続来院へと引き寄せる最も強い力になります。

継続来院する患者は、医院への信頼を持っています。その信頼が、治療計画への同意率を高め、定期管理への移行を促し、家族や友人への紹介につながります。患者単価とLTVの向上は、この信頼の積み重ねの上に成り立つものです。

カウンセリングが「形だけ」になる理由

ただし、カウンセリングルームを設けても、機能しないケースがあります。最も多い原因は、説明が一方通行になることです。スライドを使って丁寧に情報を伝えることと、患者の話を引き出すことは、まったく異なる行為です。

患者が本当に必要としているのは、情報量ではありません。「自分の不安を受け取ってもらえた」「何を知りたいかを聞いてもらえた」という体験です。「患者がどうしたいのか」「何が不安で、何を知りたいのか」。これを丁寧に聞こうとする姿勢が、カウンセリングを機能させる土台になります。

だからこそ、カウンセリングを担当するスタッフにはコミュニケーション能力が問われます。誰でも良いわけではありません。患者が話しやすい場をつくれるか、相手の言葉の背後にある気持ちを受け取れるか。その能力を持つ人材を複数人選び、育てることが、仕組みを本当に機能させるための前提になります。

「自分ごと」にさせる仕組みの、三つの構成要素

患者が治療を自分ごととして受け取る流れを設計するには、三つの要素が必要です。

一つ目は初診カウンセリングです。初めて来院した患者が「この医院なら安心して任せられる」と感じる場を最初につくることが、その後の信頼関係の土台になります。主訴だけでなく、患者が口腔について何を不安に思い、どうなりたいのかを丁寧に聞く時間が必要です。

二つ目はPコンサルです。歯周病の検査結果を数値で示しながら、「今の状態がどういう意味を持つか」を患者が自分の問題として理解できるよう説明する。ここが機能すると、歯周病治療への主体的な参加が生まれます。

三つ目は治療計画の丁寧な提案です。院長や歯科衛生士などが治療の選択肢を示し、患者が自ら選ぶプロセスを設計する。「先生に言われたからやる」ではなく「自分で選んだ」という感覚が、治療の継続を支えます。

この三つが連動して機能するとき、患者は「通い続ける理由」を自分の中に持ちます。それがリピート型収益の基盤になります。

まとめ

患者単価とLTVを高める第一歩は、患者が治療を「自分ごと」として受け取る仕組みをつくることです。初診カウンセリング・Pコンサル・治療計画提案の三つが連動して機能するとき、患者との信頼関係が生まれ、継続来院・治療同意・紹介という連鎖が始まります。そのためには、カウンセリングを担うスタッフの選択と育成、そして「聞く」という姿勢の徹底が欠かせません。

トライアル型収益(新患への依存)からリピート型収益(継続管理・長期信頼)への転換は、患者との対話の質を変えることから始まります。

先生の医院のこれからを、心から応援しています。

 

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