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「週1回30分」が医院を変える【第3回】 数値でスタッフは動かない。「目的」だけが人を動かす  [2026年07月14日]
おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
 
私は大阪の開業医団体で30年勤務し、院長の近くで経営と医院づくりを応援したいと独立して13年が経ちます。
このブログでは歯科医院経営とマネジメントに役立つ情報を発信します。
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数値目標を見て「よし、やるぞ」と目を輝かせるスタッフを、見たことがありますか?

院長が経営目標の数値達成状況をスタッフに伝えるとき、「よし、やるぞ」とスタッフが目を輝かせている、という医院は殆どないのではないでしょうか。売上目標の達成率、キャンセル率、ユニット稼働率。これらの数値を共有しても、スタッフのやる気はなかなか引き出せない。

でもそれは、スタッフのやる気がないからではありません。人は「手段」には動機づけられないからです。数値目標はあくまで手段です。その数値を達成することが「何のためになるのか」という目的が見えないまま、手段の話だけを聞かされても、人の行動は変わりません。

院長がスタッフに伝えるべき順番は、目的が先で、数値(手段)は後です。この順序を変えるだけで、同じ数値の話がでもスタッフに届く深さがまったく変わります。

「キャンセル率」を、目的の側から意味づけ直す

たとえば、代表的な管理指標であるキャンセル率を例にとります。「今月のキャンセル率が〇%で、目標の△%より高いです。キャンセルポリシーを必ず説明してキャンセル対策を徹底してください」。この伝え方は、手段の話だけをしています。スタッフは「また数字の話か」と受け取りやすく、行動への動機にはなりにくい。

同じキャンセル率という数値を、目的の側から意味づけ直すとどうなるか。「私たちの医院は、患者さんが必要な治療を中断せず、口腔の健康を長期的に守ることを大切にしています。キャンセルが続くと、患者さんの治療が途切れ、歯や歯茎の状態が悪化するリスクが高まります。だからキャンセル率を下げることは、患者さんの健康にとって必要な治療を守ることと同じ意味を持ちます」。この順序で話すと、キャンセル率という数値が「患者のために大切なこと」として受け取られます。

先生の医院で日常的に確認している数値は、医院の目的(理念)からみてどのような意味を持っていますか。その意味づけを、スタッフに伝えていますか。

「目的を追いかけたら、数値も一緒についてくる」仕組みをつくる

数値目標を達成することは、経営のためだけではありません。治療品質を高めるためにも、数値の裏側にある目的の達成は不可欠です。キャンセル率が下がれば、患者の治療継続率が上がり、口腔の状態が改善されます。ユニット稼働率が上がれば、より多くの患者に必要な治療を届けられます。

理想は、「目的の達成を追いかけたら、数値目標も一緒に達成できる仕組み」をつくることです。スタッフが「患者さんのために何かしたい」という動機で動いた結果、数値も改善される。この構造が生まれたとき、院長が数値の管理に四苦八苦しなくても、チームが自然に動き始めます。

そのためには、医院が掲げる目的(理念)と、日常の数値指標がどうつながっているかを、院長が言葉で整理しておく必要があります。「なぜこの数値を重視して達成するのか」を目的の側から説明できる院長と、数値の増減だけを伝える院長では、スタッフへの伝わり方がまったく異なります。

週1回の院長ラウンドで、院長がすべきこと

週1回30分の数値確認の場を、院長はどのように使うべきか。まず、数値の前に目的を語ることです。「今週私たちが大切にしたいこと」「患者さんにとってこの取り組みが意味すること」を短くても冒頭に置く。それだけで、その後の数値の話の受け取られ方が変わります。

次に、スタッフが抱えているトラブルや困りごとに耳を傾け、解決に手を貸すことです。院長の話が「数値を確認して指示を出す場」だけになると、スタッフは「数値の未達を詰められる時間」として受け取りやすくなります。院長が問題を一緒に解決しようとする姿勢を見せることで、ミーティングは「サポートしてもらえる場」として機能し始めます。

そして最後に、次の1週間の具体的な行動を決めます。目的の話を受けて、「では来週、自分たちは何をするか」をスタッフ自身が考えて発言できる場をつくる。院長が一方的に指示を出すのではなく、スタッフが「自分で決めた行動」として動く仕掛けを設計することが、内発的な動機づけにつながります。

組織が大きくなったら、幹部との週1回の確認に切り替える

権限の委譲が進み、組織に幹部が育ってきた段階では、院長が全スタッフに直接関与する形から、幹部との週1回の確認と修正の場に切り替えていくことが合理的です。

院長が幹部に目的と目標を伝え、幹部がそれぞれのチームに落とし込む。幹部とスタッフとの週1回の確認の場では、「目的に向かって動けているか」「数値の動きに気になる点はないか」「チームの中で解決が必要な問題はあるか」を短時間で確認する。この構造が整うと、院長の関与は「目的と方向性の確認」に集中でき、現場の細かい管理から少しずつ解放されていきます。

週1回30分という時間の使い方は、組織のステージによって変化します。しかしどのステージでも変わらないのは、「目的が先、数値は後」という順序です。この軸を院長が持ち続けることが、組織を動かす言葉の力の源泉になります。

まとめ

人は「手段」には動機づけられません。数値目標を達成しようと呼びかけても、スタッフの目は輝かない。しかし「目的」を語ったあとに数値の意味を伝えると、同じ数値がまったく違う重みで届きます。キャンセル率ひとつをとっても、「目的の側から意味づけ直す」だけで、スタッフの受け取り方は変わります。週1回30分の院長ラウンドは、数値を管理する場ではなく、目的を語り、スタッフをサポートし、次の行動を一緒に決める場として設計することが、チームを動かす鍵になります。

 

「目的を追いかけたら、数値も一緒についてくる」。その仕組みを先生の医院につくるお手伝いができれば幸いです。

先生の医院のこれからを、心から応援しています。

 

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