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◆歯科医院経営ブログ

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「歯科医院が“地域で一番”を目指すのをやめたとき、独自の勝ち筋が見えてくる」 ~ 競争過多の都市部で生き残るための“関係戦略” ~  [2026年03月16日]
おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
 
私は大阪の開業医団体で30年勤務し、院長の近くで経営と医院づくりを応援したいと独立して13年が経ちます。
このブログでは歯科医院経営とマネジメントに役立つ情報を発信します。
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はじめに:「比べられる戦い」から降りるという選択

先生の医院の近くに、最近また新しい歯科医院ができませんでしたか。

最新の診療ユニット、広い駐車場、夜間・休日対応、ホワイトニング専用ルーム・・・。

競合医院が次々と設備や利便性を打ち出してくる中で、「うちも何か手を打たなければ」という焦りを感じている院長先生は少なくありません。

しかし、その焦りのまま動くことが、じつは経営を最も危うくします。

「地域で一番」を目指す競争は、資本力と体力の勝負になりがちです。大型グループ医院や資本の潤沢な新規参入者には、設備投資や広告費で太刀打ちできない場面が必ず来ます。

にもかかわらず、多くの中堅歯科医院が大型医院と同じ土俵で戦い続け、疲弊しているのが現実です。

今回のブログでは、「比べられる競争」から降り、自院ならではの関係性と強みで患者さんに選ばれ続ける「関係戦略」について考えます。

 

なぜ「便利さ競争」は中堅歯科医院を疲弊させるのか

経営学者マイケル・ポーターは、競争優位には「コストリーダーシップ」「差別化」「集中」の三つの基本戦略があると述べています。このうち「コストリーダーシップ」、つまり「安さ・お得さ・便利さで勝負する」戦略は、スケールメリットを持つ大規模プレイヤーに有利に働きます。

歯科医院に置き換えると、「駐車場の台数」「診療時間の長さ」「最新機器の導入」「ホームページのアクセス数」等々

これらは基本的にお金と規模で解決できる問題です。中堅規模の医院がここで大資本と競っても、疲弊するだけです。

先生の医院では、「よその医院にできることをうちもやらなければ」という発想で意思決定をしていないでしょうか。もしそうであれば、自院の強みを活かす戦略に転換するタイミングかもしれません。

 

「つながり資本」が患者定着を生む”リコールマネジメント”の本質

歯科医院の経営において、もっとも効率的な収益源は「既存患者の再来院」です。新患獲得のコストは、既存患者の維持コストの5倍以上かかるとも言われており、患者定着率の改善は収益と安定の両面に直結します。

ここで鍵になるのが「つながり資本」という概念です。患者さんが「この医院に来ると安心する」「担当の歯科衛生士に会いに来たい」「院長先生に話を聞いてもらいたい」と感じるとき、そこには単なる医療サービス以上の「関係性」が生まれています。

この関係性こそが、比較サイトやSNSでは数値化されない競争優位の源泉です。設備や立地では劣っていても、「この先生にしか任せたくない」という感情的つながりは、患者さんの離脱を防ぐ最も強力な防波堤になります。

例えば、次回予約の時の会話を「3ヶ月後に来院してもらう」という作業として捉えるのではなく、「患者さんとの関係を途切れさせない設計」として見直すことが重要です。

以下のような取り組みが効果的です。

担当歯科衛生士制の導入と、患者さんへの担当者の明示

※ただし、担当歯科衛生士制に移行しただけでは機能しません。担当歯科衛生士の役割と責任を明確にして、魅力を患者に表現出来なければ逆効果となります。

患者の来院時に、前回の患者との会話内容や関心事に触れるパーソナライズ(会話量:患者8、スタッフ2)

口腔状態の変化を丁寧に説明し、患者さん自身が「管理の必要性」を理解できるコミュニケーション設計(患者からの質問が出る)

定期管理を「義務」ではなく「自分への投資」として体感してもらえる院内体験の演出(主体を患者に)

こうした積み重ねが、患者さんが「また来たい」と感じる医院文化をつくります。

 

「捨てること」で強みが生まれる。専門特化か、総合管理か

差別化の本質は「選ばれること」ではなく「特定の人に強く選ばれること」です。すべての患者さんに満足してもらおうとすると、結果として「誰にとっても普通の医院」になってしまいます。

ある都市部の歯科医院では、「矯正・インプラント・審美歯科はやらない」と決断し、「予防と定期管理に特化した地域のかかりつけ医」としての立ち位置を明確にしました。そして、地域の医科医療機関や薬局、介護施設や多職種と連携して患者をサポートしていく取組みを始めたのです。

交流会も開催し地域包括ケアに関わる専門職が真剣に意見を出し合い、地域医療や介護の在り方を模索し続けたのです。最初は患者数が減るかもしれないという不安もあったそうです。しかし実際には、地域からの紹介で患者が来るようになり、地域における、かかりつけ歯科医院としてのポジションが確立されていきました。

「捨てること」には勇気が必要です。しかし経営戦略の観点から見れば、「自院が最も価値を提供できる患者さん像」を絞り込むことで、マーケティングメッセージが明確になり、スタッフの専門性と意欲も自然と高まります。

先生の医院は、どのような患者さんに、どのような価値を届けることが最も得意ですか。その問いに答えられるとき、自院の「勝ち筋」が見えてきます。

 

「関係戦略」を支える組織づくり・・スタッフが語れる医院の物語

患者さんや地域との関係性を深める「関係戦略」は、院長一人では実現できません。日常の診療の中で患者さんと接しているのは、歯科衛生士や診療スタッフです。彼女・彼らが「この医院はこういう想いで患者さんに向き合っている」と自分の言葉で語れるかどうかが、医院全体の「つながり資本」の蓄積に直結します。

患者との関係性が構築されているかは、日常診療を見れば一瞬で分かります。院内のコミュニケーション量と質がまったく違うからです。

ハーバード・ビジネス・レビューに掲載されたサービス・プロフィット・チェーンの研究は、「スタッフの満足度が患者の満足度を決定し、患者の満足度が医院の収益を決定する」という連鎖を示しています。

スタッフが医院の理念や方向性に共感し、誇りを持って働いている環境こそが、患者さんに伝わる「空気感」をつくります(衛生要因だけではありません)。

そのためには、院長が「うちの医院はこういう患者さんのために、こういう医療をしていく」というビジョンをスタッフと共有し、日々の診療の中で具体的な行動指針として落とし込んでいくプロセスが欠かせません。

医院の「物語」を語れるスタッフが増えるほど、その医院は設備や立地を超えた競争優位を持つことができます。

 

自院の「勝ち筋」を見つけるための三つの問い

競争過多の環境で自院のポジションを再定義するために、以下の三つの問いから始めてみてください。

「うちの医院に来てくれている患者さんが、もっとも喜んでいる瞬間はどこか」⇒継続来院率の高い患者層に共通する体験を分析する

「うちの医院がサービスの提供をやめると、患者さんが本当に困ることは何か」⇒代替不可能な価値の核を特定する

「大型の競合医院が参入したとしても、離れていかない患者さんはどのような人か」⇒関係性で守れる患者層を可視化する

この三つの問いに答えていくことで、自院が「比べられない存在」になるための方向性が自然と浮かび上がってきます。

 

おわりに:先生の医院の「選ばれる理由」は、何ですか

「地域で一番になる」という目標は、一見わかりやすく、スタッフのモチベーションにも繋がりやすいように思えます。しかし、その「一番」の定義が「患者数」「売上」「設備」である限り、競争は終わりません。

一方、「特定の患者さんにとって、かけがえのない存在になる」という目標は、数値で簡単に比較できないだけに、じっくりと積み上げた関係性と信頼が競争優位の源泉になります。

先生の医院では、今の患者さんとどのような関係を築けていると感じていますか。そして、これから自院が大切にしていきたい患者さんの姿は、どのようなものでしょうか。

 

もし「自院の差別化ポイントをどう言語化したらよいかわからない」「継続来院率を上げたいが何から手をつければいいかわからない」「スタッフに医院の方向性をどう伝えればいいか迷っている」という課題をお持ちでしたら、ぜひ一度、経営相談(有料)にお申込みください。

 

院長先生のお話を聞かせていただくことから、一緒に「先生の医院ならではの勝ち筋」を探していきましょう。

 

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