これまでのシリーズでは、経営計画を成果につなげるための考え方をお伝えしてきました。
第4回のテーマは、「チームでPDCAを回す仕組み」 です。
なぜチームでPDCAを回す必要があるのか?
院長一人で「計画 → 実行 → 振り返り → 改善」を回すのには限界があります。
日常診療に追われる中で、経営全体を見渡し改善策を継続的に実行するのは現実的ではありません。
一方、チーム全体がPDCAを習慣化できれば:
・院長は医院全体の方向づけに集中できる
・スタッフが主体的に改善を考える
・医院の成長スピードが加速する
という効果が期待できます。
チームでPDCAを回すための3つの仕組み
1. 定期ミーティングで「振り返り」を習慣化する
・週1回のショートミーティング(10分でもOK)で「先週の実行結果」を確認
・月1回はじっくり振り返り、成功・失敗の原因を分析
例:キャンセル率改善プロジェクトなら、
「先月のキャンセル率は10% → 今月は8%」と数値を共有し、
どの声かけが効果的だったかをスタッフから引き出し、次月のアクションを明確にする。
2. 数値を“見える化”する
・定期来院率、キャンセル率などをグラフで掲示
・スタッフが「今の医院の現状」を客観的に把握できるようにする
数値が見えると、「次は自分たちで改善できそう」と行動が変わる。部署ごとスタッフごとに何を実行すれば数値の改善に繋がるのか?が明確になっていることが重要です。
3. 役割と権限を委譲する
・プロジェクトごとにリーダー(歯科衛生士、受付、助手)を任命
・院長が「指示」するのではなく「支援」する立場になる
院長が全部決めるのではなく、スタッフが計画と改善を担うことで「主体性」が育ちます。
もちろん、最初から丸投げするのはNGです。どう取り組めば数値が改善するのかをプロジェクトリーダーに教えておく必要があるからです。
リーダーの能力が高ければ任せきっても良いのですが、多くの場合には成果を出せるのか不安を感じています。
だからリーダーが「成果を出すまでやり切れる」という感覚を持てるようにサポートする必要があるのです。
成功体験を積んでもらうことが大切なのでスタッフの能力を考慮した目標を設定してくださいね。
実際の事例
ある医院では「SPT患者の1年後継続来院率を上げる」ことを目標にしました。
・6年目の歯科衛生士がプロジェクトリーダー
・患者の管理台帳を作成し歯科衛生士ごとに現状を見える化
・歯科衛生士ごとに数値目標を設定
・OHIや歯周病コンサルの内容を見直しロープレ
・経験の浅い歯科衛生士をメンターがサポート
・月1回の振り返り会議
結果として、SPT患者の1年後継続来院率が58% → 74%へと改善しました。
まだまだ数値は低いのですが、自分たちで目標を掲げて改善を進めることが出来たのが素晴らしいと思います。
今日からできるチェックリスト
□院内で週1回・月1回の「振り返り時間」を確保しているか?
□キャンセル率や定期来院率など、数値をスタッフと共有しているか?
□院長以外のリーダーがPDCAを回す役割を担っているか?
まとめ
「計画を立てても実行できない」医院は、院長一人でPDCAを回そうとしています。
成果を出す医院は、チーム全員でPDCAを習慣化しているのです。
数値を共有し、振り返りを仕組み化し、役割を委譲する。
この3つの仕組みが、医院を持続的に成長させる原動力になります。
さて先生の医院では、PDCAをチームで回す仕組みはできていますか?
次回は「短期・中期・長期のビジョンをつなげる院長の役割」についてお伝えします。
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