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◆歯科医院経営ブログ

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都市に出るほど、歯科医院は“孤立”していく ~「便利さ」と引き換えに失われた関係資本~  [2025年10月29日]
おはようございます。
歯科医院経営コーチの森脇康博です。
 
私は大阪の開業医団体で30年勤務し、院長の近くで経営と医院づくりを応援したいと独立して13年が経ちます。
このブログでは歯科医院経営とマネジメントに役立つ情報を発信します。
しかし、答えは書きません。院長によって経営状況は違いますのでスタッフと一緒に考えて頂きたいからです。
もちろん、経営のサポートのご依頼は喜んでお引き受け致します。
では、本日のブログもご自分の医院の状況に照らして考えてみてくださいね。
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今日は脱・常識歯科経営シリーズです。

 

ここ数年、歯科医院の都市集中が急速に進んでいます。

再開発地域・駅前・商業施設内、人が集まる場所に、医院も集まる。

それは経営的に「賢い選択」に見えるかもしれません。

しかし私は、都市部への集中が進むほど、医院の孤立化が進行していると感じています。

今回はこの「見えない経営リスク」についてお話しします。

 

① “人が多いエリアつながりが希薄なエリア

都市部では患者の数こそ多いですが、その一方で患者の定着率にはマイナスの影響もあります。

・患者の職場が変われば通う医院も変える

・地域住民の引っ越しが多く、地域コミュニティが弱い

・医院を「選び続ける理由」が薄い

つまり、患者との関係はで終わりやすく、になりにくいのです。

医院にとって最も重要なのは、「便利な立地」よりも関係の持続性。

都市部の過当競争では、このつながり資本が失われやすいのです。

 

「選ばれる」よりも「記憶に残る」医院が生き残る

都市部の歯科医院は、患者にとって選択肢の一つに過ぎません。

ポータルサイトを見れば似たような医院が並び、内装・設備・治療内容も大差がない。

患者が医院を選ぶ理由は、「仕事帰りに通いやすい」「口コミが良い」など、表層的な要素が多くなります。

しかし、患者が通い続ける理由は違います。

「あの先生は自分をちゃんと覚えてくれている」

「あの医院は行くと安心する」

「あの歯科衛生士さんと話すとやる気が出る」

つまり、記憶に残る体験がある医院だけが、都市でも選ばれ続けるのです。

 

「関係資本」を築けない医院は、競争コストに飲み込まれる

都市部では競争が激しく、広告費や求人費が上がり続けています。

しかし、リピート率・紹介率が低い医院ほど、新規集患コストが雪だるま式に膨らむ。

この構造を変えるには、「数を追う経営」から「関係を深める経営」への転換が必要です。

関係資本とは、

・患者との信頼関係

・患者から拡がる紹介の繋がり

・医科・介護ネットワークとの連携関係

・地域社会との協働関係

・地域商店主やコミュニティとの信頼関係

これらのネットワークが医院の安定を支え、広告費を減らし、人材定着率を上げ、結果として経営の持続性を生むのです。

この関係資本が積み上がると近くにより大きく綺麗で便利な歯科医院が開院しても患者は転院しなくなります。

 

「関係性経営」へ転換する3つの実践ステップ

(1)「記憶される医院体験」を設計する

治療を終えた瞬間より、最後に感じた印象が記憶されます。

行動心理学でいう「ピーク・エンドの法則」です。

最後の5分で「感謝」「気づき」「安心」を感じてもらうこと。

この終わりの印象が、再来院・紹介を決定づけます。

 

(2) 「多職種連携」を地域レベルで再構築する

都市部こそ、医科・介護・行政との連携が分断されがちです。

しかし、ここを再構築できれば医院の信頼は一気に高まります。

◆医師・管理栄養士・理学療法士・言語聴覚師・薬剤師・訪問看護等との連携ミーティング

◆学校・保育園・地元企業での口腔健康教育

◆行政と組む高齢者口腔ケア講座

◆地域ネットワークで取り組む健康まつり

「地域の中で顔が見える歯科医院」こそ、孤立から抜け出す第一歩です。

 

「患者の人生に寄り添う」コミュニケーション設計

都市部では、患者の生活リズムが多様化しています。

便利な時間帯より、自分をわかってくれる医院を求める人が増えています。

「次回の予約は○○さんが使うバスの時間に合わせて考えましょう」

「保育所のお迎えの時間に間に合う様に治療を終えてもらいますね」

「腰が曲がりにくいと仰っていましたので椅子は起こし気味にしてあります」

「お孫さんの運動会どうでした?」

こうした言葉の配慮やキャッチボールが、信頼を築きます。

「私は大切にされている」と感じるコミュニケーション設計が、行動(通院継続)を自然に促すのです。

 

私がお世話になった院長は、部活で遅くなる高校生のかかりつけ患者の為に医院メンバーが帰った後に一人で治療されています。

その高校生が「小さな時から診ているから家族の様なものだよ」と嬉しそうに話してくださりました。

 

先生の医院ではどうでしょうか?

1.先生の医院は「便利」だけでなく地域住民の「記憶」に残っていますか?

2.患者との関係は通院期間ではなく人生単位で設計されていますか?

3.スタッフは「患者や地域との関係づくり」に時間を使えていますか?

4.医院が地域から信頼のインフラとして認識されていますか?

 

まとめ

都市に出るほど、患者は増える。

しかし、医院と患者の心の距離は遠くなりやすい。

「患者の手軽さ」をマーケティング軸にする経営は短期的に成果を出せても、「つながり」を育てる経営でなければ長期的には残れません。

数ではなく、関係をデザインする。

集患よりも、信頼を積み上げる。

それが、これからの都市型歯科医院が生き残る唯一の道なのです。

 

次回予告:

次回はこの流れを受けて、「医院を大きくしても、幸福度は上がらない」をテーマにお届けします。

 

拡大の先にあるジレンマ規模の最適解を探っていきましょう。

 

★こちらもご覧ください。
 
 
 
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