多くの医院での予約時のやり取りは、
「次回は◯月◯日の◯時ですね」
「ご都合が悪ければご連絡ください」
といった確認で終わってしまいます。
しかし、これでは患者の感情は動きません。
キャンセル率改善の本質は、“患者が自分で予約を守りたくなる心理”を設計することにあります。
標準化+臨機応変が鍵
・誰が対応しても一定の質が担保できる「基本フレーズ」
・患者ごとの背景に寄り添う「臨機応変な一言」
この2つが揃って初めて、予約時の声かけは機能します。
具体例① ポジティブ・フレーミング
「次回に実施する治療を進めることで、歯ぐきの腫れがさらに落ち着いてきますよ」
→ “行かないと困る”ではなく、“行くと良いことがある”と未来をプラスに伝える。
具体例② 一貫性の原理を活用
「◯◯さんはこれまできちんと定期的に来院されてきたので、歯の状態が安定しています。次回もその流れを続けていきましょう」
→ 人は自分の“過去の行動”と一貫したいという心理を持っています。過去の努力を肯定し、次の予約をその延長線上に置くことで「守りたくなる」気持ちを引き出せます。
具体例③ 上昇選好を利用
「この3回の治療で炎症の数値が25から15に下がりました。次回以降のご予約で治療を続ければ、一桁台も見えてきますよ」
→ 数値の“改善”を可視化し、次の来院が成果につながることを具体的に示す。人は“良くなり続けている流れ”を途切れさせたくないと感じるものです。
具体例④ 共感と生活背景への寄り添い
「お仕事帰りに無理なく寄れる時間をご用意しました」
「お子さんのお迎えの前に立ち寄れるように、この時間を抑えてあります」
→ 患者の生活に合わせて予約を組むことで“自分ごと化”が進み、来院の優先度が高まります。
仕組み化のステップ
1.基本フレーズの医院内統一
(例:「次回でさらに改善が進みますよ」)
2.心理効果を活用したバリエーション集を作成
(一貫性・上昇選好・ポジティブなど)
3.ロールプレイ研修でスタッフ同士が実践練習
(実際の患者対応を想定して精度を高める)
まとめ
予約時の声かけは「確認」ではなく「行動設計」です。
・一貫性の原理で“自分の努力を続けたくなる”
・上昇選好で“良い流れを止めたくない”
・ポジティブ・フレーミングで“行くと得をする未来”をイメージさせる
こうした心理効果を組み込んだ仕組みを作ることで、患者の治療が継続して健康が守られ、キャンセル率は確実に改善していきます。
先生の医院では「予約時の声かけ」を、ただの予定確認で終わらせていませんか?
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