歯科衛生士の国家資格取得者は増加していますが、実際に歯科医院で働いているのは6割程度にとどまります。
さらに都市部では医院間の採用競争が激化し、地方では応募者自体が少ない状況です。
つまり「求人を出せば採用できる時代」ではなくなり、院長が採用戦略を考えることが必須になっているのです。
戦略① 「医院の選ばれる力」を磨く
歯科衛生士は、求人票の給与だけで勤務先を決めているわけではありません。
・働きやすい雰囲気
・院長の理念、人柄
・スタッフの人間関係
・教育体制の有無
・自分の条件に合う働き方が出来るか
・ライフイベントへの対応
といった要素が「選ばれる医院」の条件になります。
ホームページやSNSに「働いているスタッフの声」「教育カリキュラム」「医院の未来像」を発信していくことが重要です。
戦略② 採用チャネルを増やす
採用が難しい時代に、求人サイトや紹介会社だけに依存するのはリスクです。
・衛生士学校への訪問や実習生受け入れ
・紹介会社との関係構築(条件交渉の工夫)
・SNS・YouTube・Web広告などの直接アプローチ
複数のチャネルを持つことで、安定的に人材と接点を持つことができます。
実際に採用できている院長ほどチャネルが多く、採用出来ていない院長ほどハローワークと衛生士学校に募集を出す位しか出来ていないのです。
ここでは具体的に書けませんが「なるほど」と感心する攻めた採用戦略を実施している院長がおられ成果も出しています。
ちなみに衛生士学校を訪問し「うちに歯科衛生士をまわして欲しい」と言う院長がおられるようですが逆効果だと思います。
戦略③ 給与より「働きがい」で差別化
もちろん給与水準は大切ですが、歯科衛生士の定着に直結するのは「働きがい」です。
・教育カリキュラムやキャリアパスの明示
・院内コミュニケーションの活性化
・「心理的安全性」のある職場環境
歯科衛生士が「ここで働き続けたい」と思える環境づくりこそが、採用成功のカギになります。
戦略④ 入職後の定着を設計する
せっかく採用しても、1年以内に辞めてしまうケースは少なくありません。
特に 入職1年・3年・5年の離職リスク期 をどう乗り越えるかがポイントです。
<新人の乗越えさせ方>
・メンター制度で新人をサポート(新人がスタッフの輪の中に入れているかが重要)
・定期的な1on1面談で不安を吸い上げる
・最初は限定的な業務しかさせない(ドクターが教えていないことを指示するので注意)
・自己効力感が低い場合には目の前の小さな課題しか見せない
等々、一律的ではなくその人に合う育て方が必要なのです。
二年目、三年目とスタッフが悩むポイントは変化していきますしベテランになったから安心という事もありません。
採用は「入口戦略」、定着は「出口戦略」。両方を設計してこそ持続的なチーム作りが可能になります。
戦略⑤ 採用は「経営戦略」の一部であると認識する
歯科衛生士の採用は「求人活動」ではなく「経営戦略」です。
どんな医院にしたいのか、そのためにどんな人材が必要なのかを明確にした上で、採用活動を行う必要があります。
とくに長期管理型など歯科衛生士の活躍が必須である収益モデルを選ぶのならば、歯科衛生士の採用は経営の生命線。
採用・教育・定着は、医院の理念とビジョンをスタッフと共有しながら設計していくものなのです。
まとめ
歯科衛生士の採用は難易度が高まっていますが、戦略を持って臨めば道は開けます。
・医院の「選ばれる力」を高める
・採用チャネルを多様化する
・給与だけでなく「働きがい」で差別化する
・入職後の定着戦略を組み込む
・採用を「経営戦略」として位置づける
院長がこれらを実行すれば、応募が集まり、採用でき、さらに定着へとつながります。
歯科衛生士が辞めない医院づくりでお悩みならば経営相談にお申込みくださいね。